心と社会を書く方法【電子版】

臨床エスノグラフィー序説

東畑 開人(編著)
電子版販売価格: ¥ 4,400 (本体:¥4,000 + 税10%)
出版社名
金剛出版
発行年月
電子版発売日
ページ数
440ページ
判型
A5
印刷版ISBN
978-4-7724-2203-1
電子版ISBN
978-4-7724-9799-2

概要

研究とはつながりを描き、つながりを作り出すためにある。支援のための研究論であり、現場を描くための研究法論。臨床心理学と対人支援の学の新たな時代を切りひらく必携本。

「つながり」を書く。それは心と社会が重なるところに生ずるものを書くことに他ならない。しかし、心を見ようとすると社会は見えなくなり、社会を見ようとすると心は見えなくなる。この「心か、社会か」の分裂から「心も、社会も」の複眼を可能にするために、新たな研究法が必要であった。それこそが本書で示される「臨床エスノグラフィー」であり、つまりは臨床現場全体を書く方法である。

本書ではまず、東畑開人による臨床心理学史を更新する金字塔的論文で方法論が呈示されたのち、全国の現場でなされている実践の臨床エスノグラフィーが描かれる。
医療観察法病棟、特別支援学校、児童デイサービス、離島、被災地、総合病院内での糖尿病治療、児童心理治療施設。それらには権力があり、メリトクラシーがあり、自己コントロールがある。臨床現場には、社会的な問題が埋め込まれていて、そして同時にそれを個人の小さな心が生きている。この両方を描くのが臨床エスノグラフィーであり、まさに無限の「居るのはつらいよ」が本書では生み出されている。
末尾にはそのような臨床エスノグラフィーを生み出す母体となった研究会についてのエスノグラフィーが山崎孝明によって描き出される。いわば方法論を可能にするための方法論であり、稀有な論考である。

臨床現場には社会と心の両方がある。構造と個人がせめぎ合っている。そこで生み出されるつながりを書く方法が十全に示された一冊。臨床科学でもあり、臨床文学でもあるような新しい研究法がここにある。

目次

まえがき――心と社会を同時に書くこと/東畑開人

第Ⅰ部 方法論Ⅰ
臨床エスノグラフィーとは何か――社会論的転回序説6/東畑開人

第Ⅱ部 臨床エスノグラフィーズ
2-1 つながりを書く
強制性のもとで治療関係はいかに成立するか――医療観察法病棟における権力配置の臨床エスノグラフィー/小片圭子
知的障害特別支援学校におけるスクールカウンセリング――「こころの痛み」をめぐる組織的防衛の変容プロセス/長谷綾子
パンデミックが襲う時――コロナ禍の児童心理治療施設におけるつながりの危機と対応について/尾谷 健

2-2 組織を書く
管理職の心理臨床学――その臨床的機能と反臨床的側面/諏訪淳哉
心理臨床の〈場〉をつくる――心理職の職業的発達と管理職の福祉組織運営/本阿彌はるな
「仕事をつくる」という仕事――心理職が組織で仕事を拡げていく過程/梨谷竜也

2-3 地域を書く
離島の臨床エスノグラフィー――面接外遭遇と揺らぐ倫理/津山紀彦
「FUKUSHIMA」における中長期のこころの支援/岩倉 拓

2-4 心を書く
「病気だけど病気ではない」――糖尿病心理臨床のエスノグラフィー/東海林渉
心理検査の第三者性の問題――検査の運用をめぐる病院心理職の軌跡/小川 基

第Ⅲ部 方法論Ⅱ
「研究会」とはなにか――研究、運動、ケアの交差点/山崎孝明

あとがき/山崎孝明

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