
脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕
最新のエビデンスを反映させるなどの目的で、例年、全面改訂から2年後毎に追補版を発売してきたが、近年の本領域の進歩は長足であり、今回は全140項目中66項目を改訂した。エビデンスレベルの高い新しいエビデンスを加えたほか、新しいエビデンスはないものの推奨度が現実と乖離しているものなども見直したため、「追補」ではなく「改訂」として発売した。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023
日本神経学会監修による,エビデンスに基づいた筋萎縮性側索硬化症(ALS)のガイドライン改訂版.前版以降に蓄積されたALSの臨床・基礎研究の成果や,疾患修飾薬エダラボンの承認,呼吸療法と栄養療法による予後改善の可能性,協働意思決定や事前ケア計画の重要性などの新知見を盛り込んだ.臨床上重要となるクリニカルクエスチョン(CQ)について,その回答・推奨グレード,背景・目的,解説を詳述し,臨床医の日常診療を支援する必携の一冊となっている.

臨床・病理
脳腫瘍取扱い規約 第5版
5年ぶりの改訂となる第5版では、遺伝子異常に基づく分子診断への傾向がさらに強まった2021年WHO中枢神経系腫瘍分類に準拠した。
下垂体腫瘍が「下垂体神経内分泌腫瘍・下垂体NET(PitNET)」として、2022年WHO内分泌/神経内分泌腫瘍分類で扱われるようになったことに伴い、本書でも独立した項目として記載。最新の脳腫瘍全国集計調査報告結果も必見。
脳腫瘍診療に携わるすべての医療者に必携の一冊。

てんかん診療ガイドライン2018
患者数が多い神経疾患で、様々な診療科の医師が携わっている「てんかん」。日本神経学会監修による本ガイドラインは、成人および小児のてんかんの診断、検査、薬物治療、外科治療、予後に至るまで、エビデンスに基づいた臨床上の指針を網羅。クリニカル・クエスチョン形式で、専門医のみならず一般医にも理解しやすくまとめた。第2部として、3つのCQについて行った厳密なシステマティックレビューのダイジェストが加わった。

≪画像診断の勘ドコロNEO≫
頭部 画像診断の勘ドコロNEO
「画像診断の勘ドコロNEO」シリーズ第2弾は頭部。
「なぜそうみえるのか」がわかるモダリティの最重要ポイントに加え,スペシャリストたちが読影室で「どこを見て」「どう鑑別し」「どう診断しているのか」,多数の写真と明快な文章で解説する。項目別の「ここが勘ドコロ」など,スペシャリストたちからのアドバイスも満載し,頭部の勉強にも読影室で困ったときにも使える充実の一冊。
発展を続ける画像技術の要点やCOVID-19脳症を含めた最新の知見も網羅。執筆陣渾身の実践知が冴える,白熱の神経放射線読影教室。

自己免疫性脳炎・関連疾患ハンドブック
従来原因不明の難病とされてきたが,研究の発展によって救命・予後改善が期待できるようになってきた自己免疫性脳炎と関連疾患の診断と治療について解説.睡眠病,認知症,精神症状の原因も自己免疫性脳炎だった?治療可能な見過ごされている疾患,自己免疫性脳炎の本邦初のハンドブック.自己免疫性脳炎の歴史から抗体の種類,各種疾患群の病理・検査・治療法.各種抗体の特徴を本邦の専門家が執筆・網羅しています.

MMT・針筋電図ガイドブック
徒手筋力テスト(MMT)と針筋電図検査について同時に解説されており、神経内科医や脊柱・末梢神経外科医がこれらの検査法を用いて神経疾患や脊椎脊髄疾患の診断を行うために最適なガイドブック。針筋電図とMMTは密接に関係しており、特に神経生理検査の計画を立てる際の神経診察の中核はMMTである。各論では写真をふんだんに用い、各筋ごとに診察-検査の流れに沿って解説。この一冊で筋電図室での神経診察の習熟に大いに役立つ本となった。

ねころんで読めるてんかん診療
発作ゼロ・副作用ゼロ・不安ゼロ!
【かゆいところに手が届く、診療のツボが満載】
てんかんの奥深さ、問診~鑑別診断、治療まで、日本の大学病院で初めて「てんかん科」を興した著者が、わかりやすくまとめた待望のエッセイ。難しいことをやさしく、知っているようで知らない診療のツボが満載の1冊。

イラストレイテッド 脳波1・2・3 波形の診かた、考え方
現在、脳波判読を学ぶ実践的なアトラスは十数年前に作られたアトラスが中心となっていますが、この度、1952年にGibbs & Gibbsが出版した脳波アトラスの日本版的書籍が完成しました。
本書の脳波のサンプルについては、できるだけ原寸大に近い8秒間(3cm/秒、50µV/5mm)にて掲載されており、臨床現場で目にするような、より臨場感あふれる脳波アトラスとなるよう、心がけて作成されています。
脳波は読み解くことが難しいという先入観を捨てて、脳波判断に自信をもって取り組めるよう、一読をお薦めします。てんかん、意識障害、変性疾患を中心に、本書のタイトル通り、豊富なイラストから脳波の1・2・3を学べます。
序にかえて
近年の脳波計測装置の進歩は目覚ましいものがあります。多チャンネル化が進み、256チャンネルの計測装置も研究用に開発され、脳機能マッピングに必要不可欠となっています。しかしながら、頭皮上19チャンネルのルーチン脳波ですら、初心者には謎多き波形に見えます。脳MRIやCTが普及した現在では、脳神経内科医ですら、脳波判読を疎んじる傾向があります。しかし、脳波は画像で写らない脳機能を可視化できる貴重な手段です。てんかんや意識障害の診断には不可欠です。
21世紀に入り、デジタル脳波計が脳波計測の主流になりました。デジタル脳波計は、アナログ脳波計(ペン書き脳波)とは異なり、脳波データをアナログ信号からデジタル信号へ変換し、電子媒体でデータ管理と保管を行う脳波計です。機器が小型化され、ペーパーレスとなり、コストが削減されました。電子データはネットワークでも判読できます。アナログ脳波計を使った脳波記録では、紙送りスピード3cm/秒、感度50lV/5mm、周波数帯域0.5〜60Hz、モンタージュ固定でした。一方、デジタル脳波計の特徴は、リモンタージュ機能とリフィルタリング機能です。前者はシステムリファレンスを用いて脳波を記録するため、基準電極導出や双極導出など必要に応じてモンタージュを選択できる機能です。てんかん性放電や徐波の局在決定にこのリモンタージュ機能は欠かせません。後者は、時定数(低周波数フィルタ)や高周波数フィルタを変えることにより、動きによる基線の揺れや、体動などの筋電図を除去することにより脳波の判読をしやすくする機能です。必要に応じて、紙送りスピードや感度を変更でき、位相逆転やてんかん発作の放電パターンを見やすくすることも可能です。
我が国では多数の優れた脳波テキストが出版されています。私もこれまでに初心者・中級者向けの脳波に関するテキストを3冊出版し、幸いにも好評でした。しかしながら、我が国には脳波学のパイオニアであるGibbs & Gibbsが1952年に出版した脳波アトラス的なものがありません。なんとか脳波アトラスを世に出せないかと思い、今回アトラスとしてまとめました。本書にある脳波サンプルは、できるだけ実寸大に近い8秒間(3cm/秒、50lV/5mm)を提示しています。これにより、より臨場感あふれる脳波アトラスになるよう心がけました。また、脳血管障害や脳腫瘍などの脳占拠性病変では、脳波の診断能は脳CTやMRIに比べて遙かに劣り、急性期に臨床の場で記録されることはほとんどありません。そのため、本書ではてんかんや意識障害、変性疾患に重点を置きました。
脳波は周波数分析、波形分析です。豊富なイラストから脳波の1・2・3を学んでいただければ幸いです。本書には「脳波=難解」という先入観を捨て、脳波の部屋の扉を開け、脳波の部屋を覗いて、脳波判読を楽しむようになっていただきたいと期待を込めています。最後に九州大学病院(脳神経内科、小児科、中検脳波室)および福岡中央病院(脳神経内科、検査室)諸氏のご協力に深謝します。
2022年晩秋
飛松省三

症例で学ぶ中枢神経の画像診断[Web動画付]
脳腫瘍や脳血管障害、外傷、変性疾患、認知症、感染症、代謝性疾患、先天性疾患など脳神経内科・外科領域の疾患を臨床での遭遇頻度によって3段階に分類して掲載しています。初めに紙面とWeb動画に掲載した症例情報と画像所見から診断名を想像して、実力を試してみましょう。
その後、疾患の疫学的な知識や画像診断のポイント、治療法と本文を読み進めることで、研修医レベルから専門医レベルまで段階を追って学習できます。

≪新NS NOW 3≫
基本開頭術と頭蓋底開頭術
速く・美しい展開への道しるべ
開頭は脳神経外科手術の根底にある技術で,これ如何によって術野の出血・手術時間・適切なアプローチなどが左右される。
オールカラー・ビジュアル・わかりやすい紙面が特徴の『新NS NOW』シリーズ No.3では,開頭術を取り上げ,皮切や体位・各種器具の使用法など術前の知識から,前頭・側頭・後頭の基本的な開頭術,蝶形骨近傍や錐体骨周辺など頭蓋底部の開頭術まで,若手脳外科医に必須の知識と技術を網羅。開閉頭に精通した新進気鋭の医師たちが,初歩から応用まで,頭部に切り込んでいく際に「なぜここでこうするのか」を丁寧に解説し,わかりやすく紹介。脳神経外科医専門医も,これから専門医をめざす医師も必読の1冊。

脳神経外科レジデントマニュアル
定評あるレジデントマニュアルシリーズ、待望の脳神経外科版。脳神経外科診療の現場においてレジデントレベルで必要とされる全般的事項を、実践的かつコンパクトにまとめた。実際の診療手順や処方例、患者管理、救急対応など具体的な記載にあふれ、本書を開けばすぐに知りたいことを確認できる。脳神経外科研修医はもちろん、脳神経外科疾患に携わる機会のあるすべての医師にお勧めしたい、ポケットサイズの頼りになる1冊。

ジェネラリストのための神経疾患の診かた
神経内科は苦手! そんなジェネラリストの必携書.外来で良く見かける神経内科関連の主訴ベスト5(「物忘れ」「頭痛」「けいれん」「震え」「しびれ感」)について,おこなうべき問診や検査,標準的な治療,脳神経内科に紹介するタイミングなどをわかりやすく解説.これ一冊で,神経内科疾患に対する,あなたの不安感を解消します!

ねころんで読める歩行障害
【すっきり理解! もう神経所見で躓かない!】日常診療で診る患者さんの歩行・歩容をよく観察すると、思いがけない疾患が見えてくる。平易な講義形式で、病態・症状からどんな検査を行い、どう診断・治療するか、コツがよく分かる。外来で、当直で、在宅で、明日から使える神経学的アプローチが学べる1冊。

知っておきたい 頸部~頭部の動脈破格
MRAとCTAの読影が楽しくなる!
脳・頭頸部の画像診断では正常と異常の境界が問題となる。頭頸部動脈の「形態」は多様で、正常像から離れていてもそれが特に機能的な問題を生じない場合、解剖学的にはこれを「破格」と呼び、正常範囲内で形態の多様性の一つとして考えられる。
頭頸部画像診断における「破格」研究の第一人者が、蓄積した画像デ−タを元に動脈破格を分かりやすく解説。「破格ならばこの本を見ればわかる!」という読影に必携の一冊。

非定型パーキンソニズム
基礎と臨床
非定型パーキンソニズムは主に進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,レヴィ小体型認知症,多系統萎縮症などのパーキンソン病に似た症状を示す疾患群で,この領域は基礎,臨床ともに進歩が著しい.本書は,非定型パーキンソニズムの最新の研究動向,現在の診療における課題を提示しつつ,日常診療に役立つ内容となっている.本領域の専門以外の神経内科医も知っておくべき最新の情報がふんだんに盛り込まれている.

日本医大式 脳卒中ポケットマニュアル
●真に現場で役立つ超実践マニュアル!
●日本医科大の脳卒中診療プロトコルが一冊に!

パーキンソン病 実践診療マニュアル 第2版
パーキンソン病患者は増加の一途をたどり,非専門医でも日常的に診断・治療を行う機会が増えてきた.そのよう
な現状を踏まえ,本書ではパーキンソン病を含む運動障害を専門とはしない医療従事者,研修医をターゲットに,
その病態や診断,治療法,ケアまでを平易に解説.エキスパートの診療を再現した.改訂第2版では「パーキンソ
ン病診療ガイドライン2018」の内容を反映.実践的な最新知識を得られる心強い1冊.

内科当直 意識障害診療指南
医師を長時間労働から解放し、患者に最良の医療として還元すべく始まる全科当直・内科当直。そのために、意識障害に特化した当直マニュアルを作成しました。今は違う科にいる医師にもわかりやすいように、また、過去の学習を思い出してもらえるように疾患名、鑑別、検査、治療案の提示などを記しています。ただ、専門科でなければ太刀打ちできない場面も実際には多々あるので、そこは「専門医コールポイント」として明示しています。必要なときは専門医を頼って限界を表明できる体制こそ、患者の安全につながる真の働き方改革をもたらします。
序文
長時間労働が美徳とされるこの国にも、働き方改革の波が訪れた。医師に関しては導入が先延ばしにされたことで、医師の労働問題の複雑さが逆に際立ってしまった。1週間のうちのどこかで療養型病院など寝当直の日を設けて睡眠不足を補う、それ以外は多忙な当直に明け暮れる、という医局員の派遣プランは、別に声高に語るまでもないごく普通の勤務体制であった。表向きの当直日数が週1回程度と少ない病院では、「担当医制度」が取られ、当直医ではなく担当医が24時間365日呼び出しに応じる生活があった。もちろんこうした呼び出しは任意であり、時間外手当はない。
もっと古い話だと、かつて総合病院の隣には雀荘やバーがあり、医師たちは当直以外の夜間・休日でも任意で集まり、ついでに病院内の回診をしたり呼び出しに応じていた。もちろんただ集まって遊んでいるだけであり給料は出ない。大先輩方から逸話として聴取した。滅私奉公の美しさの片鱗がないとは言えないこのような逸話も、やがて失われていくだろう。これらを過去の話として語る一方で、執筆現在においても、たった数年前には希望にあふれていた者が、燃え尽き症候群によって最前線を辞退していく現状がある。
世間への医療情報の提供は、とかく病院受診を促す方向で行われてきた。結果、国民医療費は44兆円、経済活動としての医療は右肩上がりの成長を続けている。経済的に著しい成長分野でありながら、末端の担い手・医師は相応の増員をしておらず、対価としての給与が年々上がっている事実もない。
働き方改革によって何か変わるのか。労働基準法の8時間に限定してしまうと多くの病院で医師の数は充分ではない。一人一人が膨大な数の患者さんを交代で担当し、雀荘やバーでのようなつながりもないならば症例のちょっとした相談をすることもできない。逆に医師を適正な数に増やせたとして、経営者は対価を払えない。この国の病院の数と医師の数のバランスは、総合病院や大学病院での無償の奉仕を前提として成り立ってきた。
医療はこれまで、専門性を高めることで進歩し、科の垣根は高く積み上がるばかりであった。今後、医師の育成段階から、科や地域の分配を行う、専門に偏らず幅広い知識を持つ総合内科の医師を増やす、など改革が行われていく。この先はきっと今より明るい。ただ、それらの抜本的な対策が奏効するのはまだ先のことだ。救援人員が現場に届けられないまま、いきなり始まる働き方改革に伴い、医師一人あたりの当直回数を減らす方法が模索されている。なんとか工夫を凝らした方法のうちの一つとして、全科当直や内科合同当直が挙げられる。
慢性的な医師不足にある総合病院で行われてきたこれらの当直体制が、専門分化した病院でも行われる。全科当直は小児科、外科、産婦人科、内科、精神科、いずれの科の医師でも、病院の標榜科すべての夜間・休日診療を病棟・外来で行う体制のことである。内科合同当直とは血液内科、脳神経内科、内分泌科などの各内科系の専門科の垣根を超えて夜間・休日診療を病棟・外来で行う体制のことである。全科や内科合同の組み合わせはそれぞれの病院で異なるが、これまで以上に、医師一人一人に総合内科的な知識と、各々の科のコモンディジーズに関する知識のアップデートが求められている。
いまこそ、それぞれの科が、夜間当直で出合う頻度の高い疾患や、緊急性が高くその場で処置や検査を進めていくべき疾患の知識を出し合う時である。リウマチ科からの生物学的製剤の注意点解説や、血液・腫瘍内科からの抗癌剤TIPSなど、全科当直にあたって知りたいものだ。さしあたって神経内科専門医の私からは「意識障害診療のまとめ」を提出する。夜間・休日の意識障害診療で、脳神経内科医以外の医師も時間外診療で慌てず落ち着いて全力を発揮できるよう、意識障害におけるコモンを要約した。

脳腫瘍診療ガイドライン 小児脳腫瘍編 2022年版
2019年版に収載されたSEGAを含め、代表的な6腫瘍型を収載した。小児がん領域では、脳腫瘍は白血病に次いで2番目に発症頻度が高く、最も予後不良である。また、腫瘍型によって生物学的悪性度や好発年齢・好発部位、治療反応性に大きく異なることから、小児脳腫瘍の適切な治療法に関する情報提供を目的として作成された。関連学会、患者団体にもご協力いただき、脳腫瘍診療に臨む医療者に役立つ内容となっている。