OCTできわめる 新生血管型加齢黄斑変性の診療アトラス【電子版】
- 出版社名
- 三輪書店
- 発行年月
- 電子版発売日
- ページ数
- 248ページ
- 判型
- B5
- 印刷版ISBN
- 978-4-89590-893-1
- 電子版ISBN
概要
黄斑専門医の思考プロセスを日常外来で実践し診断・薬剤選択・投与間隔の迷いを確かな判断へ
活動性評価から長期管理まで実践的アプローチを体系化
新生血管型加齢黄斑変性(AMD)の診療は、大きく変わりつつあります。
これまで診断や病型分類、疾患活動性の評価に重要な役割を果たしてきた蛍光眼底造影は、造影剤による副作用のリスクや患者への負担を伴います。一方、光干渉断層計(OCT)の高性能化と光干渉断層血管撮影(OCTA)の普及により、現在では多くの症例で、OCT・OCTAを中心とした画像所見から黄斑新生血管(MNV)の存在やタイプを判断し、滲出性変化を評価することが可能になっています。『新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン』でも、ほかの検査所見からMNVの存在が明らかな場合には蛍光眼底造影を必須としない考え方が示されています。
OCTはすでに多くのクリニックや市中病院に普及し、抗VEGF薬硝子体内注射も日常診療で広く行われています。つまり、高齢化に伴って患者数が増えるなか、地域の眼科医にも、AMDを診断し、治療し、長期に管理する力がこれまで以上に求められています。
本書では、
・OCTでどのスキャンを確認すべきか
・fluidをどう評価するか
・OCTAのprojection artifactやsegmentation errorをどう見抜くか
・1型、2型、1+2型、3型MNVをどの所見から判別するか
・ポリープ状病巣をどう疑うか
・よく似た黄斑疾患をどこで見分けるか
新生血管型AMD診療で実際に迷いやすいこれらのポイントを、豊富な実画像を用いて段階的に解説します。
さらに、本書が扱うのは「診断」までではありません。抗VEGF薬の選択、固定投与・必要時投与・treat-and-extend、治療反応が不十分な症例での薬剤切り替え、光線力学的療法(PDT)の追加、パキコロイド新生血管症への治療、ポリープ状脈絡膜血管症に伴う黄斑下血腫への対応、さらには治療を行わず経過観察すべきquiescent MNVや瘢痕病巣まで、診断後に生じる「次に何をするか」を具体的に示します。
また、抗VEGF治療では、薬剤を投与すること以上に、その後の判断が重要です。本書では、dry maculaをどこまで重視するか、導入期治療への反応からその後の経過をどう予測するか、投与間隔をいつ延長し、いつ短縮するかを実際の画像経過で提示。さらに、眼内炎症、網膜色素上皮裂孔、網膜下線維性瘢痕など、治療中に見逃したくない合併症についても取り上げています。
そして「Chapter6 症例で学ぶ読影から治療まで」では、1型MNV、2型MNV、3型MNV、1+2型MNV、ポリープ状病巣、パキコロイド新生血管症など9症例を収載。初診時の画像から「何を読むか」を示し、診断のポイント、治療方針、さらに数ヵ月から数年にわたる治療経過を連続した画像で追います。抗VEGF薬で投与間隔を順調に延長できた症例だけでなく、滲出再燃によって投与間隔を短縮した症例、薬剤を切り替えた症例、PDTを追加した症例も収載しており、「この画像をどう解釈し、次に何をするのか」という専門医の臨床思考を、実際の診療の流れに沿って学ぶことができます。
蛍光眼底造影ができないからAMD診療は難しい、OCT所見には自信があるが治療方針には迷う、抗VEGF治療を始めたものの投与間隔の調整や難治例への対応に悩む。そのような眼科医にこそ手に取ってほしい実践的な診療アトラスです。
目次
Chapter 1 新生血管型AMDの画像検査
マルチモーダルイメージング
OCTのスキャンパターン
OCTによるfluidの評価
OCTA画像を読影する際の注意点
Chapter 2 新生血管型AMDの初期病態とMNV分類
初期病態
MNV分類の基本
初期病態
ドルーゼン,網膜下ドルーゼン様沈着物 69歳,女性.右視力(1.0)
パキコロイド色素上皮症 52歳,女性.左視力(1.2)
MNV分類の基本
1型MNV,ポリープ状病巣なし 76歳,男性.右視力(1.0)
1型MNV,ポリープ状病巣なし(パキコロイド新生血管症) 54歳,男性.左視力(0.6)
1型MNV,ポリープ状病巣あり(ポリープ状脈絡膜血管症) 66歳,男性.左視力(0.3)
2型MNV 75歳,男性.左視力(0.1)
1+2型MNV 81歳,男性.左視力(0.2)
1+2型MNV(ポリープ状病巣あり) 73歳,男性.左視力(0.1)
3型MNV(網膜血管腫状増殖) 81歳,女性.右視力(0.15)
3型MNV(網膜血管腫状増殖)(両眼) 80歳,女性.右視力(0.4),左視力(1.2)
Chapter 3 新生血管型AMDと鑑別を要する疾患
鑑別❶ 中心性漿液性脈絡網膜症とパキコロイド新生血管症(1型MNV,ポリープ状病巣なし)
鑑別❷ ドルーゼンと新生血管型AMD(1型MNV,ポリープ状病巣なし)
鑑別❸ 後天性卵黄様病巣と新生血管型AMD(2型MNV)
鑑別❹ 網膜細動脈瘤破裂とポリープ状脈絡膜血管症に伴う黄斑下血腫
鑑別❺ 糖尿病網膜症と新生血管型AMD(3型MNV)
鑑別❻ 脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条と新生血管型AMD
鑑別❼ 近視性MNVと新生血管型AMD(2型MNV)
鑑別❶
中心性漿液性脈絡網膜症 43歳,男性.左視力(1.2)
パキコロイド新生血管症(1型MNV,ポリープ状病巣なし) 47歳,男性.右視力(1.2)
鑑別❷
ドルーゼン 83歳,男性.右視力(0.9)
新生血管型AMD(1型MNV,ポリープ状病巣なし) 74歳,女性.左視力(0.9)
鑑別❸
後天性卵黄様病巣 56歳,男性.右視力(1.2)
新生血管型AMD(2型MNV) 84歳,男性.右視力(0.3)
鑑別❹
網膜細動脈瘤破裂 88歳,女性.右視力(0.02)
ポリープ状脈絡膜血管症に伴う黄斑下血腫 75歳,男性.右視力(0.9)
鑑別❺
糖尿病網膜症 74歳,女性.右視力(1.0)
新生血管型AMD(3型MNV) 84歳,女性.左視力(1.2)
鑑別❻
脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条 57歳,女性.右視力(0.7)
新生血管型AMD 54歳,女性.右視力(0.2)
鑑別❼
近視性MNV 49歳,女性.左視力(0.7)
新生血管型AMD(2型MNV) 79歳,男性.左視力(0.5)
近視性単純型黄斑部出血 30歳,男性.右視力(0.2)
Chapter 4 新生血管型AMDの治療戦略
抗VEGF薬の種類
抗VEGF薬の投与レジメン
抗VEGF薬の切り替え
光線力学的療法
抗VEGF薬の効果が出やすい/出にくい症例の特徴
パキコロイド新生血管症に対する治療
ポリープ状脈絡膜血管症に伴う黄斑下血腫に対する治療
経過観察が基本となる症例
抗VEGF薬の投与レジメン
パキコロイド新生血管症(1型MNV,ポリープ状病巣なし)―抗VEGF薬treat-and-extend 77歳,女性.左視力(1.0)
抗VEGF薬の切り替え
1型MNV,ポリープ状病巣あり ―抗VEGF薬の切り替え 59歳,男性.左視力(0.6)
光線力学的療法
1型MNV,ポリープ状病巣あり ―光線力学的療法 83歳,男性.左視力(0.7)
抗VEGF薬の効果が出やすい/出にくい症例の特徴
2型MNV ―抗VEGF薬著効例 74歳,男性.左視力(0.15)
3型MNV ―抗VEGF薬著効例 79歳,女性.左視力(0.9)
1+2型MNV ―抗VEGF薬抵抗例 69歳,男性.右視力(0.5)
パキコロイド新生血管症に対する治療
パキコロイド新生血管症(1型MNV,ポリープ状病巣なし) ―抗VEGF薬併用照射エネルギー半量光線力学的療法 62歳,男性.左視力(1.2)
ポリープ状脈絡膜血管症に伴う黄斑下血腫に対する治療
ポリープ状脈絡膜血管症に伴う黄斑下血腫 ―硝子体内ガス注入術 54歳,女性.右視力(0.15)
経過観察が基本となる症例
Quiescent MNV ―経過観察 53歳,男性.左視力(1.2)
瘢痕病巣 ―経過観察 86歳,男性.左視力(0.07)
Chapter 5 治療中のモニタリング
Dry maculaの重要性
導入期治療後の効果判定の重要性
治療関連合併症への注意
Dry maculaの重要性
Dry macula維持を重視した治療 1型MNV,ポリープ状病巣なし ―抗VEGF薬treat-and-extend 83歳,女性.右視力(0.7)
導入期治療後の効果判定の重要性
導入期治療後8週でdry macula達成 1型MNV,ポリープ状病巣あり―抗VEGF薬treat-and-extend 76歳,男性.左視力(0.6)
導入期治療後8週でdry macula未達成 1型MNV,ポリープ状病巣あり ―抗VEGF薬treat-and-extend 81歳,男性.右視力(1.0)
治療関連合併症への注意
眼内炎症 1+2型MNV ―抗VEGF薬硝子体内注射 88歳,男性.右視力(0.5)
網膜色素上皮裂孔 1型MNV,ポリープ状病巣なし ―抗VEGF薬硝子体内注射 75歳,男性.左視力(1.0)
網膜下線維性瘢痕 1+2型MNV ―抗VEGF薬硝子体内注射 81歳,男性.左視力(0.2)
Chapter 6 症例で学ぶ診断から治療まで
症例1 1型MNV,ポリープ状病巣あり:抗VEGF薬treat-and-extend
網膜色素上皮裂孔を形成したが,十分な滲出抑制により良好な視力を維持した例
79歳,男性.左視力(1.2)
症例2 1型MNV,ポリープ状病巣なし:抗VEGF薬treat-and-extend
維持期に8週と12週の投与間隔を繰り返したが,視力が改善した例
75歳,男性.左視力(0.2)
症例3 2型MNV:抗VEGF薬treat-and-extend
MNV血流が残存してもdry maculaを維持し,投与間隔を16週まで延長できた例
72歳,男性.右視力(0.3)
症例4 2型MNV:抗VEGF薬切り替え
最短投与間隔でも滲出が残存し,薬剤切り替えにより投与間隔を延長できた例
70歳,男性.左視力(0.3)
症例5 3型MNV:抗VEGF薬treat-and-extend
早期診断・治療により良好な視力を維持し,投与間隔を16週まで延長できた例
86歳,女性.右視力(0.8)
症例6 1+2型MNV(ポリープ状病巣あり):抗VEGF薬treat-and-extend
投与間隔を16週まで延長し,大幅な視力改善が得られた例
60歳,男性.右視力(0.4)
症例7 1+2型MNV:抗VEGF薬treat-and-extend
滲出を抑制しても,線維性瘢痕に伴う視細胞障害のため視力改善が得られなかった例
92歳,男性.右視力(0.2)
症例8 パキコロイド新生血管症:抗VEGF薬併用照射エネルギー半量光線力学的療法
初回の併用療法のみで2年間にわたり滲出を抑制し,良好な視力が維持された例
61歳,女性.左視力(1.2)
症例9 1型MNV,ポリープ状病巣あり:抗VEGF薬切り替え後に光線力学的療法を追加
複数の抗VEGF薬で活動性が残存したが,光線力学的療法の追加でdry maculaが得られた例
77歳,男性.左視力(0.9)
COLUMN
ライフスタイルの指導
パキコロイドの病態
特に注意を要するMNVタイプ
どの抗VEGF薬を使うべきか?
抗VEGF薬硝子体内注射後のフォローアップ間隔は?
抗VEGF薬硝子体内注射の前後に抗菌薬点眼は必要か?
脳梗塞や心筋梗塞の既往がある患者に抗VEGF薬硝子体内注射を施行してもよいか?
抗VEGF薬硝子体内注射はいつまで続けるべきか?
同日に両眼へ抗VEGF薬硝子体内注射を施行してもよいか?
紹介のタイミング
索引