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ファーマナビゲーター 抗スクレロスチン抗体編【電子版】

松本 俊夫 中島 友紀 (編集)

徳島大学藤井節郎記念医科学センター顧問 東京医科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学教授

出版社
メディカルレビュー社
電子版ISBN
 
電子版発売日
2020/08/31
ページ数
210ページ
 判型
B6判変型
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥9,020 (本体¥8,200+税10%)

印刷版ISBN
978-4-7792-2522-2
印刷版発行年月
2020/08
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概要

基礎・前臨床におけるスクレロスチンの骨作用、ならびに抗スクレロスチン抗体がもたらす骨粗鬆症への影響と最新情報を網羅した一冊。

本書では,Wnt シグナルおよび骨代謝領域研究の第一線でご活躍中の先生方に参画していただき,Chapter 1 ではスクレロスチンの骨代謝調節作用の基礎知識を整理するため,スクレロスチンのOverview に続いて骨形成と骨吸収の制御,力学的負荷への反応,ホルモンによる発現調節およびWnt シグナル分子の異常と骨系統疾患について述べていただいた.Chapter 2 ではスクレロスチンの遺伝子改変マウス,骨粗鬆症などの疾患モデルマウスや骨折治癒過程における抗スクレロスチン抗体の効果などに関する動物実験成績についてまとめていただいた.そしてChapter 3 では骨粗鬆症治療薬としてのロモソズマブの効果について,薬物体内動態,デノスマブとの逐次治療効果をプラセボ対照患者と比較したFRAME 試験成績,アレンドロネートとの逐次治療効果について高骨折リスク患者を対象とし検討したARCH 試験成績,そして,ビスホスホネート治療後の患者に対する効果をテリパラチドの1年間投与と比較したSTRUCTURE 試験成績,男性骨粗鬆症患者に対する効果を検討したBRIDGE 試験成績,骨粗鬆症の治療目標の達成(goal-directed therapy)におけるロモソズマブ治療の位置付け,そして最後にARCH 試験においてアレンドロネート群との間にみられた重篤と判定された心血管系事象の発現率の不均衡とロモソズマブの安全性について,わが国の最新の市販後調査成績を含め紹介していただいた.
(松本俊夫/「序文」より抜粋)

目次

Chapter 1 スクレロスチンの骨作用:基礎
1 骨でのWnt シグナルとスクレロスチン:Overview/福本誠二
 1 Wnt シグナル
 2 骨におけるWnt シグナルと骨疾患
 3 骨,軟骨におけるWnt 作用
 4 薬剤標的としてのスクレロスチン
2 スクレロスチンと骨芽細胞/西村理行/波多賢二
 1 スクレロスチンとロモソズマブの作用機序
 2 骨芽細胞と骨細胞に対するスクレロスチンの効果
 3 脂肪細胞分化に対するスクレロスチンの作用
 4 抗スクレロスチン抗体による骨形成促進効果の時間的変動
 5 抗スクレロスチン抗体の自己制御の分子メカニズム
3 スクレロスチンによる骨吸収の制御/小林泰浩
 1 古典的Wnt 経路による骨吸収抑制作用
 2 骨吸収によるスクレロスチンの発現制御
 3 抗スクレロスチン抗体による骨吸収抑制作用
 4 非古典的Wnt 経路による骨吸収制御
4 スクレロスチンと力学的負荷/中島友紀
 1 骨に埋め込まれた特殊な細胞,骨細胞
 2 骨細胞におけるスクレロスチン発現の分子メカニズム
 3 骨細胞が力学的な環境変化を感知するメカニズム
5 スクレロスチンとホルモン/福本誠二
 1 スクレロスチン産生の調節機構
 2 骨以外の組織におけるスクレロスチンの作用
 3 FGF 23 とWnt シグナリング
6 Wnt シグナル・スクレロスチンと骨系統疾患/窪田拓生/大薗恵一
 1 Wnt シグナル経路
 2 骨系統疾患
  1.LRP 5
  2.LRP 6
  3.LRP 4
  4.MESD(mesoderm development)
  5.スクレロスチン
  6.SFRP 4
  7.WNT 1(wingless-type MMTV integration site family 1)
 3 GWAS
  1.Estrada K, et al. 2012
  2.Moayyeri A, et al. 2014
  3.Styrkarsdottir U, et al. 2016
  4.Zhou H, et al. 2016
  5.Kemp JP, et al. 2017
  6.Trajanoska K, et al. 2018
  7.Morris JA, et al. 2019

Chapter 2 スクレロスチンの骨作用:前臨床
1 スクレロスチンの遺伝子改変マウス/中島友紀
 1 骨細胞の産生する分子,スクレロスチンの機能
 2 骨細胞研究の新たな目標
2 多様な疾患モデル動物に対する抗スクレロスチン抗体の効果/今井祐記
 1 骨粗鬆症モデル
 2 骨折治癒モデル
 3 関節リウマチモデル
 4 糖尿病モデル
 5 CKD-MBD(chronic kidney disease-mineral and bone disorder)モデル
3 骨折治癒過程に対する抗スクレロスチン抗体の作用/前田和洋/斎藤 充/丸毛啓史
 1 骨折の治癒過程
  1.一次骨癒合と二次骨癒合
  2.全身の骨リモデリングが骨折修復に及ぼす影響
 2 Wnt シグナルとWnt 抑制因子
 3 骨形成促進剤が骨折治癒に及ぼす影響
  1.PTH 製剤
  2.抗スクレロスチン抗体製剤

Chapter 3 抗スクレロスチン抗体ロモソズマブと骨粗鬆症
1 ロモソズマブの薬物体内動態/及川桂史
 1 血清中濃度推移
  1.健康な閉経後女性
  2.閉経後骨粗鬆症患者
  3.性差
  4.吸収
 2 腎機能障害患者
 3 ビスホスホネート系薬剤の治療歴がある被験者
 4 薬物動態と骨代謝マーカー
 5 日本人と非日本人との間の用量−反応の類似性
2 骨粗鬆症に対するロモソズマブ,デノスマブの逐次療法(FRAME 試験)/大野久美子/田中 栄
 1 FRAME 試験の各時点における骨折と骨密度に対する影響
  1.12ヵ月時評価:ロモソズマブ/プラセボ投与12ヵ月
  2.24ヵ月時評価:ロモソズマブ/プラセボ投与12ヵ月後デノスマブ投与12ヵ月
  3.36ヵ月時評価:ロモソズマブ/プラセボ投与12ヵ月後デノスマブ投与24ヵ月
 2 日本人を対象としたサブ解析
 3 安全性
3 骨粗鬆症に対する抗スクレロスチン抗体-アレンドロネートの逐次療法(ARCH 試験)/井上大輔
 1 ARCH 試験
  1.試験デザイン
  2.エントリー基準と患者背景
  3.エンドポイント
  4.結果
  5.有害事象
 2 スクレロスチンと動脈硬化
 3 ビスホスホネートの心血管イベントに対する効果
4 骨粗鬆症に対するロモソズマブとテリパラチドの効果の比較(STRUCTURE 試験)/竹内靖博
 1 対象
 2 方法
 3 結果
 4 考察
5 男性骨粗鬆症に対するロモソズマブの有効性・安全性(BRIDGE 試験)/宮内章光
 1 男性骨粗鬆症に対するロモソズマブの有効性・安全性
  1.目的
  2.対象
  3.除外基準
  4.主要評価項目
  5.副次的評価項目
  6.探索的評価項目
  7.統計解析法
  8.結果
 2 心血管系事象の発現について
6 骨粗鬆症に対するgoal-directed therapy とロモソズマブ/宗圓 聰
 1 goal-directed therapy
 2 各種薬物療法による骨密度増加効果
 3 ロモソズマブの有用性
7 ロモソズマブ,デノスマブ投与後の逐次治療/山内美香/杉本利嗣
 1 ロモソズマブ第Ⅱ相臨床試験の概要
 2 ロモソズマブ中止後の骨密度および骨代謝マーカーの変化
 3 ロモソズマブ投与後の逐次治療
  1.ロモソズマブ→デノスマブ逐次治療
  2.ロモソズマブ→アレンドロネート逐次治療
  3.ロモソズマブ→ゾレドロネート逐次治療
 4 他の骨粗鬆症治療薬投与後のロモソズマブ逐次治療
  1.アレンドロネート→ロモソズマブ逐次治療
  2.アレンドロネート→ロモソズマブ→デノスマブ逐次治療
  3.アレンドロネート→ロモソズマブ→プラセボ逐次治療
 5 ロモソズマブの再投与
  1.ロモソズマブ→プラセボ→ロモソズマブ逐次治療
  2.ロモソズマブ→デノスマブ→ロモソズマブ逐次治療
8 ロモソズマブの安全性と心血管疾患/遠藤逸朗/松本俊夫
 1 ロモソズマブの大規模臨床試験と心血管系事象報告
 2 ビスホスホネートによる血管保護効果
 3 骨粗鬆症の重症度と動脈硬化
 4 スクレロスチン阻害による心血管系有害事象増加の可能性について
 5 市販後調査より推計した心血管系事象の発現率とロモソズマブによる心血管系事象の詳細