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病いのリアリティ【電子版】

江口 重幸 (著)

出版社
金剛出版
電子版ISBN
978-4-7724-9719-0
電子版発売日
2025/05/14
ページ数
400ページ
 判型
A5
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥5,280 (本体¥4,800+税10%)

印刷版ISBN
978-4-7724-2081-5
印刷版発行年月
2025/04
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概要

本書は,医療人類学や文化精神医学の知見を踏まえて,病いや苦悩をめぐる精神科臨床につなげていこうとする論集である。なぜ精神医療の領域のものに,民族誌(エスノグラフィー)といった,人文・社会科学系の場違いにみえる方法を持ち込もうとするのか?

今日,細分化され精緻化された専門領域の臨床マニュアルを携えてアプローチすれば済むことではないか? そう思われるかもしれない。しかし,一旦患者や家族,相談者の側にたつとはっきりするが,それだけでは病いや苦悩を抱えた人の経験の核心には届かないのだ。それを超えるリアリティを感じ,さらにはそれを手に入れるためにはどうしたらいいのか。

著者は,臨床人類学の物語論から,力動精神医学の歴史へとさかのぼり,さらに民俗学ないし民族誌学的な視点へと迂回する「北西航路」をたどろうとする。それは,あくまで人文科学系のアプローチであるが,じつは身体になじませ,「身体技法」にいたる,環境的で生物学的リアリティを含む部分をゴールに据えようとするものなのである。この領域の圧倒的先達であるクラインマンやグッド,土居健郎や中井久夫から,シャルコーやジャネやミッチェル,ドゥヴルーを経て,子規や柳田国男に導かれるこの一種の「回峰行」を,読者とともにたどれたらと思う。

目次

■序編 臨床民族誌をめざして
臨床家のよみがえりと民俗学的想像力
病いのリアリティ―民俗学的架橋の試み
ローカルな声を聞く―人間科学としての多文化間精神医学をめざして
ケアをめぐる北西航路―臨床とその余白
クラインマンから学んだいくつかのこと―臨床人類学が医療やケアにもたらすもの

■第Ⅰ部 文化精神医学と「癒す」ことの系譜
文化精神医学の役割―個人的覚書
再び病いの経験を聴く―臨床物語論再訪
精神療法の歴史―動物磁気から近代精神療法へ
医療と宗教と心理学は出会えるのか―エマニュエル運動と『Psychotherapy』講座
なぜ民俗学か,なぜ柳田国男か?

■第Ⅱ部 精神と身体と文化―その架橋の歴史
文化と統合失調症―精神科臨床のどこで文化は作動するのか
文化と妄想―妄想研究とエスノグラフィーの可能性
文化の中にみる解離現象―ジャネの解離理論を中心に
憑依・変身・模倣―「身体技法」(Mauss)としての解離
[講演]シャルコーの大ヒステリー理論とミッチェルの休息療法からみた身体と心的領域

■第Ⅲ部 読書の軌跡―解説,書評,その他
「中井連峰」を遥かに望んで(中井久夫『「伝える」ことと「伝わる」こと』解説
中井久夫先生を追想する
『土居健郎選集 第二巻』解説
『臨床の記述と「義」―樽味伸論文集』解説
地貌と流謫―大月康義『語りの底に』改題
『抗うつ薬の功罪―SSRI論争と訴訟』(デイヴィッド・ヒーリー著)書評
〈ズワズラ〉考―菅原和孝の「原野の想像力」
村瀬嘉代子先生に教えられたこと
村瀬嘉代子の三編について
狂気について―白川静とドゥヴルーの著作を読みながら
[講演]慢性の病いとケアの諸相―子規の病牀記を読む