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神経性やせ症の思考と行動 患者さんが教えてくれた病態と治療【電子版】

大隈 和喜(著)

出版社
三輪書店
電子版ISBN
 
電子版発売日
2026/07/27
ページ数
152ページ
 判型
A5
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥4,400 (本体¥4,000+税10%)

印刷版ISBN
978-4-89590-887-0
印刷版発行年月
2026/07
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2
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58 MB以上
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概要

難解な神経性やせ症の病態とその治療を、患者自身の表現と病態生理学を用いてわかりやすく解説した画期的な書!

治療に抵抗していた患者が毎日「感想文」をつづるなかで少しずつ変わっていく。
本書は神経性やせ症の臨床に長年向き合ってきた筆者が、「感想文」上に表出される患者の思考、行動パターンに一定の法則を見出し、病態の進展や治療の要諦をわかりやすく解説したものである。その論説の底流には、基本病理を“理屈でやせたい概念調節”と“健康体を維持しようとする本能調節”との果てしない相克と捉える生理学的視点があるが、それは食欲調節の基礎研究や肥満症の食行動評価・治療にも従事してきた筆者の真骨頂である。
一方、心療内科医である筆者の関心は、長期罹病による親子関係や対人関係の歪みにまで注がれており本疾患の全貌に迫ろうとする1冊となっている。

目次

はじめに

第1章 神経性やせ症の基本的病態
1 初期の病相─やせの蜜月期とその破綻、発病と病態の進展
 神経性やせ症 (anorexia nervosa) の典型例
 神経性やせ症に特異的な背景因子は
 病気の発端は「どうしてもやせたい」で十分
 “やせの蜜月期”現象
 やせの蜜月期はやがて破綻する
 ダイエットの実態─食べ物に対する価値のラベルを付け替える学習
 拒食と過活動の“やせのプログラム”、数字へのとらわれでやせが止まらない
 積み重ね発想
 喪われる身体感覚
 食べ物に対する負のイメージが食欲を削ぎ、食事を困難にする
 身体的な不食因子
 月経が止まり女性ホルモンの機能が停止する
 脂肪の貯蓄を使い果たし筋肉を溶かして使う
 日常生活を阻害する身体機能の低下
 天井値を設定してやせを維持する
 ボディイメージのゆがみとやせの確認行為
 極端な減量、飢餓状態で脳機能が変容していく

2 予期せぬ本能の逆襲と誤った対処による病像の悪化
 脳は脂質でできていて、神経伝達物質はタンパク質由来で、エネルギーはブドウ糖
 本能的食欲調節を抑えつけるいびつな概念調節
 頭に食べ物が点滅する
 突然襲ってくる過食衝動の衝撃
 制限型と過食・排出型の分かれ目
 下剤乱用とその影響
 過食嘔吐は本人の意図を超え、自動的に繰り返される
 習慣性嘔吐のもたらす被害
 習慣化した過食嘔吐による刹那的メリットとその弊害
 リス現象
 食事や食べ物に対する不安・恐怖の増大
 過食衝動による過体重体験は、神経性やせ症を難治化する
 比較の心理

3 長期罹病で生じる心理・社会的問題と人格への影響
 家族との関係性の変化と母子密着現象
 二次的に引き起こされるコミュニケーション障害と社会不適応
 共食はコミュニケーションの原点
 気晴らしや逃避手段としての過食嘔吐
 病気の進展とともに下がりつづける自己評価
 神経性やせ症を維持させる家庭内の疾病利潤とは
 親や姉妹に食べさせる、支配する
 細くてか弱い女性像への憧れ
 “すがりつき型恋愛”とその破綻
 神経性やせ症を難治化させる病的自我“悪い自分”の登場
 増大する悪い自分の脅威
 悪い自分は患者自身も非難し攻撃する
 悪い自分は内弁慶。人前では出てこない
 下がりつづける耐久性、忍耐力
 繰り返し嘘をつくのに慣れてしまう病気の構図
 盗癖、万引き
 目標を見失うとますますやせにしがみつく
 逃避・回避で人格の成長も止まる
 世間の女性は誰でもいつでもやせたがっているという幻想
 アルコールの問題
 食行動異常と不適応の悪循環
 “心の癖”がついて治らない
 体重は身体機能の総和。大きく損なえば本能との果てしない闘いになる

第2章 摂食症のバリエーション
 神経性大食症 (bulimia nervosa)
 過食から始まる神経性大食症
 心因性嘔吐から始まる神経性やせ症、神経性大食症
 うつ病、うつ状態から始まる神経性やせ症
 アスリートと神経性やせ症
 回避・制限性摂食症(avoidant/restrictive food intake disorder:ARFID)
 自閉症スペクトラムと摂食症
 SNSで拡散する神経性やせ症

第3章 神経性やせ症が治るということ
 治療導入の困難さ。さまざまな治療抵抗因子の存在
 重要なのは治療動機
 神経性やせ症が治るとは。本能を信じて自然な食欲調節に戻すこと
 栄養摂取により身体機能・脳機能が回復する
 共食できることが円滑なコミュニケーションにつながる
 “感想文”を用いた外来通院治療例
 症例1 21歳女性、制限型神経性やせ症の治療経過
 やせのプログラムからの離脱で回復していく身体と心と対人交流
 病気を維持・強化していた背景因子(誘因)への気づき
 症例2 19歳女性、制限型神経性やせ症の治療経過
 誘因のない真面目な努力家でも難治化する
 難治の意味、真に治癒することの意味
 治療プロセスが人格の成長や社会適応を促進する

第4章 「行動制限療法」による入院治療─原点にかえって
 深町の「行動制限療法」
 「行動制限療法」開発の経緯
 「行動制限療法」変法
 症例3 29歳女性、過食排出型神経性やせ症の治療経過
 退院時のアンケート結果
 症例を振り返って
 身体機能の回復、感情のよみがえり、対人交流の回復
 母性の回復
 「行動制限療法」の有効性を支えているもの
 「行動制限療法」に適した治療環境とは
 行動制限の治療的意義についての調査結果
 摂取エネルギーと体重の関係の真実を知る

コラム「深町建と九州大学第1内科代謝生理研究室について」
おわりに
主要論文、総説、症例報告、著書