やさしい腫瘍学【電子版】
- 出版社
- 南江堂
- 電子版ISBN
- 978-4-524-28642-3
- 電子版発売日
- 2016/06/06
- ページ数
- 241ページ
- 判型
- B5
- フォーマット
- PDF(パソコンへのダウンロード不可)
電子版販売価格:¥3,520 (本体¥3,200+税10%)
- 印刷版ISBN
- 978-4-524-26991-4
- 印刷版発行年月
- 2014/12
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概要
目次
第I章 正常細胞の誕生と増殖と死
1 正常組織の恒常性を維持する機構
A 今日のあなたは昨日のあなたと同じ?-新陳代謝の意義
B ヒトの細胞にはなぜ寿命があるのか?
C 臓器の恒常性維持はどのように行われているのか?
(1) 細胞の寿命とは何か?
(2) ヘイフリックの限界を乗り越える細胞の存在-幹細胞システムの意義
a■ 組織幹細胞
b■ 幹細胞としての生殖細胞
c■ 幹細胞はなぜ必要なのか?
2 正常細胞はどのように生きているのか?
A 正常細胞の生存に必要な要素は何か?
B なぜ分解して吸収するのか?
C 吸収された栄養はどのように絶え間なく供給されるのか?
D エネルギーはどのように産生されるのか?-酸素・栄養供給の必要性
(1) ATPの産生-嫌気性解糖系とTCA回路の違いは何か?
(2) 酸素と栄養を運ぶ血管
3 正常細胞はどのように生まれるのか?
A 正常細胞はどのように増殖をスタートするのか?-増殖因子と増殖因子受容体
(1) 外傷後の修復過程
(2) 増殖因子の働きは何か?
B 増殖の指令はどのように核まで伝わるのか?-シグナル伝達の役割
(1) シグナル伝達の意味
(2) シグナル伝達のメカニズム
(3) 増殖因子のシグナル伝達に関与するタンパク
C 細胞周期
D 分化の機構
4 老化した細胞はどのように死ぬのか?-細胞の死の制御機構
A 細胞死の役割は何か?
(1) 単細胞生物から多細胞生物へ
(2) 老化した細胞の排除
B 大部分の細胞の死は自殺なのか?-自殺と他殺の意義
C 細胞の生と死を決めるメカニズムは何か?
D 死を誘導するメカニズムがあるのか?-死のシグナルの意義
(1) ミトコンドリアを介する死のシグナル
(2) 死の受容体を介する死のシグナル
E 細胞死の例-ウイルス感染細胞のリンパ球による排除
第II章 がん細胞の誕生とがん細胞の特徴
1 がんの特徴-がんとは何か?
A 腫瘍とは何か?悪性腫瘍とは何か?がんとは何か?
(1) 腫瘍とは何か?
(2) 悪性腫瘍とは何か?
(3) がんとは何か?
B 単クローン由来の証明
(1) X染色体による証明
(2) 成人T細胞性白血病による証明
C がんは何年くらいかかって大きくなるのか?
(1) 1個のがん細胞から直径1cmのがんへの経過
(2) 直径1cmのがんになるための計算上の分裂回数
(3) 広島と長崎の原爆被爆からわかること-ヒトでのがん発生の時間経過
(4) 膵がんの進展の経過
2 がん細胞はどのように誕生するのか?
A がん遺伝子とは何か?
(1) がんウイルス
a■ がんウイルスの発見とがん化の原因遺伝子存在の推測
b■ がんウイルスの遺伝子と原がん遺伝子の発見
(2) がん遺伝子の誕生のメカニズム
(3) 原がん遺伝子の本来の役割
a■ 原がん遺伝子の役割の発見
b■ 原がん遺伝子と細胞増殖
c■ 増殖シグナルが常時スイッチオンとなるメカニズム
B がん抑制遺伝子とは何か?
(1) がん抑制遺伝子の存在の確認
a■ がん細胞と正常細胞の融合
b■ クヌドソンのツーヒットセオリー
(2) がん抑制遺伝子の本来の役割-p53の機能
(3) がん抑制遺伝子の喪失はがん細胞に何をもたらすのか?
C 遺伝子異常は1個で十分か?
(1) 遺伝子対rasとmyc -両遺伝子の活性化によるがん化
(2) ヒトの細胞のがん化に遺伝子異常は何個必要か?
3 がん細胞は細胞死しにくいのか?-細胞死機構における変化
A 細胞死誘導シグナル伝達系の異常-アポトーシス抵抗性
B テロメラーゼ活性と細胞の不死化
4 がんの原因は何か?-遺伝子の変異をもたらしている原因
A がんのなりやすさは遺伝するのか?-遺伝要因と環境要因
B 遺伝子変異とDNAポリメラーゼのミス
(1) 放射線被曝や発がん物質
(2) DNAポリメラーゼのミス
(3) DNAポリメラーゼのミスの意義-進化への貢献
C 放射線の与える影響
D 化学発がん物質の作用
(1) 職業がんから化学発がん物質の発見
(2) 化学発がん物質
(3) たばことたばこの煙に含まれる化学発がん物質
E 感染によるがん発症
F 重層的ながんの原因
5 がん化に必要な血管新生
A がん細胞は豊富な栄養と酸素に恵まれているのか?
B がん組織における酸素濃度
C 血管新生のメカニズム
6 がん幹細胞
(1) がん幹細胞の証明-白血病幹細胞
(2) 正常幹細胞とがん幹細胞の関係
(3) がん幹細胞の意義
第III章 どのように人はがんで死亡するのか?-転移
1 転移こそがん死亡の原因か?
A がんの進展過程(原発巣の増大と転移)
B がんの進行に伴う転移の増加
(1) 病期の進行に伴う転移の増加が生存率低下をもたらす
(2) 進展に伴う不均一な細胞集団の形成-転移能力の獲得
2 転移先臓器の特異性
A 転移先として多い臓器とその理由-血液循環の役割
B がんの違いによる転移先の好み(!?)の違い
(1) 肺転移,肝転移
(2) 骨転移
3 がん細胞の転移機構
A 正常に起こる細胞の移動とその機構
(1) 白血球の移動
B がんの転移に必要なステップは何か?
(1) 血管新生とがん細胞の血管内への侵入
a■ 血管の形成
b■ がん細胞がバラバラに離れる
c■ 血管内へ侵入
(2) 転移臓器での血管外脱出
a■ 造血幹細胞の骨髄定着機構
b■ がん細胞の骨髄への定着機構
c■ がん細胞の肺,肝定着機構(仮説)
(3) 転移臓器内での増殖
4 がん細胞はなぜ転移するのか?
A ケモカイン仮説
BS eed &Soil Theory(種と畑仮説)
C 微小環境仮説
第IV章 がんの診断
1 がんはどのように診断するのか?
A がんの診断の実際の流れ
(1) 肺がん診断の例
B スクリーニング検査
(1) スクリーニング検査とは
(2) スクリーニング検査のデメリット
(3) スクリーニング検査の有用性と実際
2 腫瘍マーカーとは何か?
A 腫瘍マーカーの定義
(1) 腫瘍マーカーの探求
(2) 腫瘍マーカーの意義
B 腫瘍マーカーの臨床的意義
(1) がんのスクリーニング検査としての意義
(2) がんの進展度診断における意義
(3) 治療効果のモニタリング
(4) 再発の監視
3 がんの確定診断には何が必要か?
A 細胞診
(1) 細胞診で診断可能な疾患
B 病理組織診断
4 病気の進行度(病期)はどのように診断するのか?
A 病期診断の意義
B 病期分類
C 病期ごとの治療法選択
5 最新の診断法
APET /CT検査
B 遺伝子検査
(1) がん特異的変異タンパクの検出
(2) 遺伝性/家族性がんの遺伝子異常の検出
(3) 予後の予測のための遺伝子検査
第V章 がんの治療
1 進歩するがん治療
(1) 個別化医療の進捗
(2) 手術方法の進捗
(3) 放射線療法の進捗
(4) 支持療法の進捗
2 がんの手術療法
A 拡大手術から縮小手術へ
B 手術療法の実際の方法
C 手術療法の選択
D 内視鏡手術の進歩
E 鏡視下手術の進歩
F 高齢者に対する手術療法の進歩
3 がんの放射線療法
A 姑息的治療法から根治療法へ
B 放射線療法の進歩
(1) 定位放射線治療
(2) 強度変調放射線治療
(3) 密封小線源治療
(4) 粒子線治療
C 緩和治療としての放射線療法
4 がんの化学療法
A がん化学療法の基礎
(1) 抗がん薬開発のきっかけ
(2) 主な抗がん薬の抗腫瘍メカニズム
a■ 代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)
b■ プラチナ製剤
c■ アルキル化薬
d■ 抗がん抗菌薬(アントラサイクリン系)
B がん化学療法のメカニズム
(1) 白血病に対する化学療法
(2) 固形がんに対するがん化学療法
(3) がん化学療法が治癒に結び付く理論的条件
(4) 進行期固形がんに対する化学療法はどこまで効くのか?
a■ ステージIV期の非小細胞肺がんに対する化学療法
b■ ステージIV期大腸がんに対する化学療法
C 術後補助化学療法
(1) 術後補助化学療法の理論的根拠
(2) 術後補助化学療法の実際
(3) 術後補助化学療法の効果
D 術前化学療法
E がん化学療法の副作用
(1) 消化器症状
a■ 悪心・嘔吐
b■ 下痢
(2) 骨髄抑制
a■ 抗がん薬による骨髄抑制
b■ 顆粒球減少時の感染リスクと対策
(3) 脱毛,皮膚症状
a■ 脱毛
b■ 手足症候群
c■ 爪障害
(4) 神経症状
(5) 薬剤性間質性肺炎(肺障害)
(6) 心毒性
(7) 肝障害
a■ 直接の肝細胞障害
b■ ウイルス肝炎の活性化
(8) 腎障害
a■ 腎への直接作用
b■ 腫瘍崩壊症候群
c■ 腎障害の予防
F 抗がん薬耐性
(1) 細胞膜の変化,薬剤の膜輸送機構の変化
(2) 標的酵素,タンパクの増量
(3) 薬剤代謝の変化による薬剤耐性
(4) 傷害修復機構,DNA修復の亢進
5 先端医療
A 免疫療法
(1) がんに対する免疫応答
a■ 放射線照射がん細胞の皮下移植によるがん細胞特異的免疫の誘導
b■ がん細胞に対する免疫寛容の例
c■ 低親和性特異的T細胞の存在する可能性
B 新しい免疫療法
(1) 抗体療法
(2) 樹状細胞や活性化リンパ球の移入療法
(3) ペプチドワクチン
C 分子標的治療
(1) 分子標的治療薬の種類
(2) 分子標的治療薬のメカニズム
(3) 分子標的治療の効果
第VI章 がんの予防
1 そもそもがんの予防は可能か?
A がんの原因
(1) 化学物質
(2) 放射線
(3) たばこ
(4) 動物のがんが示唆すること
B 減っている「がん」はあるのか?
C がんのリスク要因
2 効率的ながん予防-高リスク要因をもつグループを対象に
A 高リスクグループ
(1) ウイルス感染者,ヘリコバクター・ピロリ菌感染者
a■ 肝炎ウイルス
b■ ヒトパピローマウイルス
c■ ヘリコバクター・ピロリ菌
(2) 喫煙者
(3) 遺伝子異常,変異をもつ人
(4) 肥満,やせ体型の人
(5) 運動不足の人
索引