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超高齢者看護と看護倫理【電子版】

倫理的課題をとらえなおす

湯浅 美千代 (編集)

順天堂大学大学院医療看護学研究科

出版社
へるす出版
電子版ISBN
 
電子版発売日
2025/07/02
ページ数
192ページ
 判型
B5
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥3,850 (本体¥3,500+税10%)

印刷版ISBN
978-4-86719-117-0
印刷版発行年月
2025/06
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概要

超高齢社会に至ったわが国で,いま必読の1冊

❖安全を優先するあまりに,高齢者に行動をがまんしてもらう
❖高齢者の能力を低く見積もり,手厚い看護計画を立てる
❖意思表示は難しそうと判断し,高齢者の家族にだけじっくり話を伺う

高齢者や認知症のある人への看護・ケア場面で,このような対応をみかけることはありませんか。対象が成人患者であれば取らないであろう方法で,高齢者の看護・ケアにあたってしまう場面が,病棟や在宅,施設でみられているかもしれません。よかれと思った看護・ケアでも,倫理的視点から振り返ると,見直すべきかかわり・課題が浮かび上がってくる場合があります。
医学的対応に限らない,日々のケアにみられる日常倫理をとらえなおす。そのきっかけに,またその手引きに,本書をぜひお役立てください。
日本の高齢者の心身機能は向上しています。また疾病の治療効果は高まり,疾病があったとしても自己管理できるようになっています。いまや前期高齢者は成人後期といえなくもないでしょう。そこで本書では,85歳以上の超高齢者を老年期の特徴をもつ看護の対象であるととらえ,事例の分析や振り返りを行いました。
超高齢社会での看護・ケア場面に際して,エイジズム(年齢による差別意識),あるいは認知症の人に対する偏見や差別意識に基づく対応をしてしまっていないか,本書をご参考に,ぜひ振り返ってみていただければ幸いです。

目次

<Ⅰ章 総論>
①老年看護と看護倫理
 高齢者に対する認識と倫理的課題
 さまざまな老年看護の場に生じやすい倫理的課題

②老年看護の場における倫理的課題をとらえ,解決するための基礎知識
 高齢者の権利保障
 意思決定支援
 老年看護の場における倫理調整のためのアプローチ方法

③倫理的実践に向けた取り組み
 倫理的感受性を高める看護師教育とその成果
 超高齢者を看護するうえでの倫理的行動尺度の活用に向けて
 倫理的課題にどのように向き合っていくか

<Ⅱ章 超高齢者への看護場面にみられる倫理的課題>
※本書掲載の事例はすべて架空の事例です
※事例内の患者例はすべて仮名であり実在しません

【倫理的課題1 高齢者本人以外が優先される】
夜間に眠れるようにするために,疲れていても日中は起こしておくほうが患者のためなの?
「ベッドに戻りたい」と訴えているのに…

症状が改善してきているのに,離床センサーを使い続けていいの?
本人も「監視されているみたい」といやがっているのに…

病院の規則を優先して,最期が近い終末期高齢者の望みに向き合わないままでいいの?
会いたいと願う人に会えないまま亡くなるかもしれないのに…

家族の意向が優先されて療養の場が決定されていいの?
本人の意向を聞き取っているのに…

摂取量を増やそうと全介助することが患者のためになるの?
時間をかければ自分で食べられる人なのに…

【倫理的課題2 身体拘束】
自己抜去防止の身体拘束が継続されていることに,誰も疑問を抱かないの?
本人ははずしてほしいと希望しているのに…

深夜,不穏状態だからと薬で眠らせたけれど,これって薬物による拘束じゃないの?
昼間も眠ってしまっているのに…

1人で行動しないことを強制できるの?
1人でも歩けるし,行動せずにはいられない人なのに…

【倫理的課題3 高齢者本人の価値・自尊心を低めるスタッフの態度】
一見反応がない高齢者に声もかけずに処置やケアをしてしまうのはどうして?
反応がない人へのコミュニケーションも意味があるのに…

親しみを込めて愛称で呼ぶことを,なぜ注意されなければならないの?
ケアがスムーズに進んでいるのに…

高齢者の身なりが整わないまま,ほかの人のいる場所に連れていくのはどうしてだろう?
自分だったらいやだろうに…

配偶者の死別を本人に伝えないのは誰のため?
認知症になって忘れてしまうことがあっても…

認知機能が低下してきた人が「自分でできる」と言っている。本人に任せたいけれど,任せられない。どうしたらいいの?
インスリン治療を行う糖尿病の自己管理には危険が伴うのに…

【倫理的課題4 高齢者個々に適した医療・ケア提供への努力が行われていない】
高齢者が理解できるように説明しないまま,治療を進めていいの?
救急治療の場だからこそ…

高齢者が痛みを訴えているのに治療・処置の方法を見直さなくていいの?
認知症があり判断力が低下しているからこそ…

家族と主治医だけで透析導入を決めてしまっていいの?
高齢者とはいえ,自分で判断できる人なのに…

家族から突然「透析中止」の意向が伝えられたけれど,本当にそれでいいの?
終末期とはいえない状態なのに…

【倫理的課題5 本人の意思が反映されない決定】
「受診はしなくていい」という本人の言葉どおりに対応することが,「意思の尊重」になるの?
状態が悪くなっているのに…

本人の意思を確認せずに胃瘻を造設しようとしているけれど,本当にそれでいいの?
意思疎通が図れるときもあるのに…

退院先の希望を本人に聞かないのはなぜ?
QOLに影響するのに…

独居生活を望む高齢者と,体調を心配し施設に入ってもらいたい家族との間で,どのようにかかわったらいいの?
本人は自宅でやりたいことがあるようだけれど…

【倫理的課題6 介入されにくい・気づきにくい倫理的課題】
高齢者・認知症というだけで「ケアが大変な人」と思い,ケア自体を避けたいと考えてしまうのはなぜ?
ほかの部署に押しつけようとしているのでは…

たくさんの人がいる外来の待合室で,プライバシーにかかわることを質問していいの?
高齢者だから恥ずかしくないわけじゃないのに…

介護の負担が大きいとわかっているのに家族の意向を確認しないまま自宅退院の方針を決めたけれど,それで大丈夫?
本人の意思は明確であるけれど…

在宅看取りの方針を決めるにあたって,家族について理解していただろうか?
本人の希望をかなえようとしたのだけれど…

延命治療を希望していない高齢のALS患者が状態悪化で搬送されてきたとき,救急外来でできることはあるの?
「延命治療はしなくていい」と表明していた人だけれど…

【そのほかの想定される場面】
清潔保持のため,シャワー浴を断る高齢者の意思を受け入れない
自分で更衣できる高齢者にも介助するよう指導される
食品の持ち込みや取り置きが禁止されているため,好みの食べ物を食べてもらえず栄養状態が改善しない
医療者の意向で退院後のサービスが決定される
高齢者が希望するからと,看護師にとって楽なケアを選択する
家族の要望により,自己摂取できる高齢者に全介助している
入院時に身体拘束具を準備し,前もって家族に拘束の同意を求めている
超高齢者の行動により同室者に不利益があるからと,薬物使用を検討している
危険だからと自由に出ていけないように自室に外から鍵をかけている
ナースコールが鳴っても対応せず,スタッフステーション内に連れてこられたまま放置されてよいのだろうか?
希望がかなわない高齢者から怒られ理不尽に思う
食事の後,衣服が汚れていてもそのままにしている
高齢者にがんの告知をしないよう家族が要望する
人の役に立ちたいという高齢者のニーズを満たしていない
高齢者の状況を考慮した対応ではないことをその看護師に伝えられない
看護師の感情が先立ち,高齢者の状況を考慮した対応をしていない
認知症の超高齢者に鎮痛薬が処方されない
安全な血液透析実施のために,毎回身体拘束が行われている
脳死状態となった超高齢者に対し,家族が延命治療・救命処置を希望している
家族の気持ちに配慮するために,在宅で終末期を過ごしたいという高齢者の望みがかなえられない
家族の同意によって,認知症の高齢者の意思を考慮せずに胃瘻造設が進められている
運動性失語の高齢者の意思を把握する努力をせずに胃瘻造設が進められている
家族も超高齢者自身も在宅療養の意向があるのに,主治医から施設入所を勧められる
認知症の妻の介護では心配と,本人と妻の意向に反した施設入所が勧められようとしている
食事を中断してしまう超高齢者に,「自分でできるかも」と思いながらも全介助している
外来での高齢者の排泄介助においてプライバシーが守られていない
受け入れの悪い家族と思い,自宅退院を選択肢に入れない
超高齢者は自宅退院を望むが,介護負担が増える高齢の配偶者が犠牲になりそう
BPSDを示す認知症高齢者の入院を継続できるか悩む