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感染症疫学のためのデータ分析入門 数理モデル編【電子版】

西浦 博(編著)

京都大学大学院医学研究科健康危機管理情報解析学分野および社会健康医学系専攻環境衛生学分野教授

出版社
金芳堂
電子版ISBN
 
電子版発売日
2026/05/28
ページ数
320ページ
 判型
A5
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥5,940 (本体¥5,400+税10%)

印刷版ISBN
978-4-7653-1997-3
印刷版発行年月
2026/05
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概要

本書は、好評を博した『感染症疫学のためのデータ分析入門』(2021年10月刊)の応用編として、数理モデルおよびネットワーク分析を体系的にまとめた続編です。前著で扱った基礎知識を踏まえ、「実際の観察データをどのように扱うか」という実践的な視点から、初学者にもわかりやすく解説しています。内容は京都大学大学院医学研究科(公衆衛生修士コース)の講義「感染症数理モデル入門」に準拠しており、感染症の伝播能力の評価、閾値現象の理解、ワクチン効果の検証といった理論から、コンピュータを用いた流行モデルの数値計算や統計学的推定まで、単に読むだけではなく、章末の確認問題を解いていくことによって、着実に理解を深めることができます。また、HPから本書に掲載されているサンプルデータおよびコードをダウンロードでき、読者が自らの手でデータを扱いながら、シミュレーションやデータ分析の実践的手法を身につけられるよう工夫されています。感染症数理モデルを体系的に学び、実務や研究への応用を目指す方にとって、必携の一冊となります。

目次

Part1 感染症数理モデルの必須方法論
Chapter1 コンパートメントモデルによる感染症流行の記述
本章の目的

1 感染症流行のコンパートメントモデルの考え方

2 SIRモデルによる流行の動的な記述
(1)SIRモデルの定式化
(2)基本再生産数
(3)SIRモデルの適用例
(4)状況に合わせた拡張・その1:人口動態の導入
(5)状況に合わせた拡張・その2:感染性の変動の導入

まとめ

章末確認問題

chapter2 異質性を捉えるサイエンス:次世代行列
本章の目的

1 基本再生産数の定義

2 接触の異質性とWAIFW行列

3 接触を規定するもの

4 インフルエンザの予防接種

5 次世代行列

付録

章末確認問題

chapter3 複雑ネットワーク、集団免疫と最終規模:ランダムな接触と異質な接触
本章の目的

1 複雑ネットワーク
(1)グラフ理論
(2)ネットワークの指標
(3)ネットワークの種類

2 集団免疫と最終規模
(1)ランダムな接触における集団免疫と最終規模
(2)異質な接触を加味した場合の最終規模
(3)異質性は集団免疫と最終規模へどのように影響する

まとめ

chapter4 モデルから次世代行列を導こう
本章の目的

1 モデルの次世代行列と基本再生産数R0
(1)SEIRモデル
(2)性感染症のモデル
(3)地域間の移動を含むモデル

まとめ

付録 ベクトルと行列の計算公式

章末確認問題

chapter5 安定性分析に入門しよう
本章の目的

1 平衡解と基本再生産数R0
(1)感染症のない平衡解
(2)エンデミックな平衡解

2 局所安定性
(1)感染症のない平衡解
(2)エンデミックな平衡解
(3)ヤコビ行列

3 大域安定性
(1)感染症のない平衡解
(2)エンデミックな平衡解

まとめ

章末確認問題

Part2 流行モデルを社会実装する
chapter6 流行時における基本再生産数の推定
本章の目的

1 基本再生産数と成長率
(1)感染症流行のタイプ
(2)流行初期における感染者数の指数関数的増加
(3)成長率と基本再生産数の関係

2 基本再生産数の推定

3 最終規模の推定
(1)基本再生産数と最終規模の関係
(2)次世代行列を利用した最終規模の推定

4 オイラー=ロトカの方程式と積率母関数の導出
(1)オイラー=ロトカの方程式の導出
(2)基本再生産数を推定するための積率母関数
(3)積率母関数の利用:指数分布の例

まとめ

chapter7 発症間隔と世代時間の推定
本章の目的

1 はじめに

2 発症間隔
(1)発症間隔の特徴
(2)発症間隔の量的推定
(3)発症間隔の実用的な意味

3 世代時間
(1)世代時間の特徴
(2)3種(内在的、後向き、前向き)の世代時間
(3)時刻依存の世代時間に関する実践的な考え方
(4)家庭内伝播データからの内的世代時間の推定

まとめ

章末確認問題

chapter8 蔓延時(エンデミック期)における基本再生産数の推定
本章の目的

1 エンデミック状態の感染症
(1)エンデミック状態を想像しよう
(2)触媒モデル(catalytic model)

2 集団免疫に満たないワクチン接種

3 血清疫学データに基づく基本再生産数

4 血清疫学データを用いた感染力の推定プロセス

(1)年齢に独立な感染力の推定
(2)年齢に依存する感染力の推定

5 発展編:母体由来免疫や免疫の失活を加味しよう
(1)母体由来免疫を加味したエンデミックデータの分析
(2)免疫失活を加味した感染力の推定

まとめ

章末確認問題

chapter9 小規模流行:確率過程で数理モデル化をしよう
本章の目的

1 感染症の伝播と確率論
(1)なぜ感染症の流行動態は毎回違うのか?
(2)マルコフ過程とコンパートメントモデル

2 分岐過程と絶滅
(1)ゴルトン・ワトソン分岐過程(Galton-Watson branching process)
(2)感染の広がり方
(3)絶滅確率

3 出生死亡過程
(1)出生過程
(2)出生死亡過程
(3)出生と死亡を伴うSIRモデル

4 連鎖型二項過程
(1)Reed-FrostとGreenwoodの流行モデル
(2)En’koの流行モデルも検討してみよう
(3)家庭内感染

まとめ

章末確認問題

chapter10 空間的な流行拡大を捉えよう
本章の目的

1 感染症の空間的な伝播
(1)空間構造を持つ数理モデル
(2)空間的カップリングモデル
(3)移動モデル

2 メタ個体群モデル

3 国際的な伝播を予測する数理モデル
1)メタ個体群モデルを用いたリアルタイム予測
2)実効距離を用いた輸入感染症のリスク推定

まとめ

章末確認問題

chapter11 リアルタイムモデリング
本章の目的

1 リアルタイムモデリングの重要性

2 致命割合の推定
(1)粗計算における致命割合の問題点
(2)時間の遅れを考慮したCFR推定モデル
(3)個人別尤度を使ったモデル化

3 人獣共通感染症アウトブレイクにおける基本再生産数の推定
(1)人獣共通感染症のスピルオーバー
(2)診断バイアスと基本再生産数の推定
(3)継続するスピルオーバー

4 実効再生産数のリアルタイム推定における観測打ち切り
(1)ナウキャスティング
(2)逆計算
(3)現実のデータへの対応

まとめ

章末確認問題

chapter12 蚊媒介感染症(マラリア・デング熱)の数理モデル
本章の目的

1 蚊媒介感染症の特徴とそのモデル化
(1)数理モデルの視点から見た蚊媒介感染症
(2)蚊媒介感染症の基本モデル

2 Ross-Macdonaldモデルの導出
(1)モデルの基本構造
(2)感染力のモデル化
(3)Ross-Macdonaldモデルにおける基本再生産数
(4)Ross-Macdonaldモデルにおける定常状態
(5)蚊の垂直感染のモデルへの影響

3 蚊媒介感染症における疫学指標
(1)基本再生産数
(2)昆虫学的接種率
(3)媒介蚊感染能

4 マラリア休眠体による長期潜伏の考慮
(1)マラリア原虫の長期潜伏
(2)二極化した潜伏期間の数理モデル上の取り扱い

まとめ

章末確認問題

chapter13 国境における検疫のモデル
本章の目的

1 はじめに

2 これまでの検疫期間の決定論拠と問題点
(1)クラシックな検疫期間の決定手法とコンセプト
(2)クラシックな検疫期間の決定手法の問題点

3 不顕性感染者を考慮した検疫期間の決定
(1)感染性宿主の侵入を防止する効果
(2)不完全な検疫と診断補助がある場合の検疫の効果
(3)侵入者によって生じる2次感染者数の抑制効果

4 侵入者によって引き起こされる流行に対する検疫の疫学的効果
(1)流行の絶滅確率を利用したモデ
(2)侵入者によって流行が引き起こされる確率の相対的減少

5 流行観察の遅れを及ぼす検疫の効果

6 応用方法

まとめ

章末確認問題

chapter14 疾患別の数理モデル(季節性インフルエンザ、結核、HIV/AIDS)
本章の目的

1 季節性インフルエンザの数理モデル

2 結核の数理モデル
(1)結核の内的動態を捉えた数理モデル
(2)インターフェロンガンマ遊離アッセイを利用した年間感染リスクの推定

3 HIV/AIDSの発展型逆計算モデル

まとめ

章末確認問題

章末確認問題 解答編
あとがきにかえて:もっと感染症数理モデルを学ぶ人のために
索引
著者略歴