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≪救急・集中治療アドバンス≫

急性循環不全【電子版】

藤野 裕士 (編集)

大阪大学

出版社
中山書店
電子版ISBN
 
電子版発売日
2021/10/04
ページ数
344ページ
 判型
B5
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥11,000 (本体¥10,000+税10%)

印刷版ISBN
978-4-521-74335-6
印刷版発行年月
2019/05
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概要

生命に危機の迫る急性循環不全に対しては,その病態を正確に判断し,適切に対処しなければならない.
本書では,管理に不可欠な各種モニタリング法の目的と限界,循環不全を引き起こすショックと重症心疾患を取り上げて,それぞれの病態と治療について解説した.
IABP,ECMO,補助人工心臓などの導入と管理のポイント,輸液療法や薬物療法などについても詳述.集中治療医,救急医必携の1冊.

目次

1章 定義と診断
 1-1 循環不全の定義と診断 (橋本壮志,天谷文昌)
  1 循環の生理学的意義
  2 循環不全ならびにショックの定義
  3 ショックの定義の変遷
  4 循環不全の診断
 1-2 急性循環不全の病態 (松田直之)
  1 急性循環不全の病態の基本
  2 急性循環不全を誘導する4つの病態
  3 ずり応力に依存した血管径調節作用
  4 急性循環不全における虚血領域の血管拡張反応の病態
  5 急性循環不全における心機能抑制の病態
  6 急性循環不全に随伴する全身性病態
   Column Na+-Ca2+交換系(NCX)
 1-3 急性循環不全の重症度評価(高橋一則,中根正樹)
  1 初期評価
  2 それぞれの病態に対する重症度評価
   Column ショック症状をきたさない低血圧

2章 診断補助
 2-1 モニタリング総論 (森松博史,松﨑 孝,廣井一正)
  1 画像診断
  2 生理学的検査/血液検査
  3 血管内デバイス
 2-2 胸部X線 (立木規与秀,安宅一晃)
  1 臥位撮影での注意点
  2 心原性における所見
  3 循環血液量減少性における所見
  4 閉塞性における所見
 2-3 心電図 (水野裕八)
  1 モニター誘導と標準12誘導
  2 基本パラメータの把握
  3 緊張性の高い心電図と注意すべき心電図変化
  4 注意すべき心電図
  5 心電図に影響を与えうる病態
   Column Cabrera forma
   Column 12誘導心電図から心室性不整脈の起源を同定する
 2-4 血液ガス分析 (藤野裕士)
  1 血液ガス分析の実際
  2 体外循環におけるPaCO2管理
 2-5 心エコー (山田 聡)
  1 心エコー法の役割
  2 左室収縮機能と1回拍出量の評価
  3 左室拡張機能と左室充満圧の評価
   Advice 初期の心エコー検査の適応
   Topics ASEによる左室拡張機能評価のアルゴリズム
 2-6 CT (小山靖史,林 祐作)
  1 CT検査で行うtriple rule out
  2 急性大動脈解離の診断
  3 急性肺血栓塞栓症の診断
  4 急性心筋梗塞の診断
 2-7 心臓カテーテル検査 (小林欣夫,立石和也)
  1 冠動脈造影検査
  2 右心カテーテル検査
  3 心筋生検
   Column door-to-balloon time
   Column 抗血小板薬のローディング
   Column CULPRIT-SHOCK 試験
 2-8 バイオマーカー (佐藤幸人)
  1 心筋梗塞診断における心筋トロポニンT,心筋トロポニンI測定
  2 急性心不全診断におけるBNP,NT-proBNP測定
  3 肺動脈血栓塞栓症診断におけるD-ダイマー測定
  4 急性心不全の治療経過におけるバイオマーカーの推移
   Advice バイオマーカーの一般的注意
 2-9 心拍出量モニター (小竹良文)
  1 急性循環不全の原因鑑別とモニタリング
  2 動脈圧波形解析法の原理
  3 酸素需給バランスの指標としての静脈血酸素飽和度
  4 モニターから得られる指標に基づいた輸液蘇生
   Topics プロトコール化された輸液蘇生
   Column 肺動脈カテーテル
   Topics 呼気終末閉塞テスト

3章 症状・疾患における病態と治療
[1.ショック]
 3-1-1 閉塞性・拘束性ショック (京 道人,志馬伸朗)
  1 定義
  2 閉塞性・拘束性ショックの病態
  3 閉塞性・拘束性ショックの身体所見
  4 閉塞性・拘束性ショックの検査所見
  5 鑑別
  6 閉塞性・拘束性ショックの治療
   Column 肺血栓塞栓症の否定
 3-1-2 出血性ショック (浅香葉子,瀬尾龍太郎)
  1 定義
  2 出血性ショックの身体所見
  3 出血性ショックの検査所見
  4 鑑別,原因疾患
  5 出血性ショックの治療
   Topics トロンボエラストグラフィー(TEGR),トロンボエラストメトリー(ROTEMR)
 3-1-3 心原性ショック (大塚将秀)
  1 定義
  2 心原性ショックの病態
  3 心原性ショックの身体所見
  4 心原性ショックの検査所見
  5 鑑別
  6 心原性ショックの原因疾患
  7 心原性ショックの治療
 3-1-4 敗血症性ショック (赤塚正幸,升田好樹)
  1 敗血症性ショックの病態
  2 敗血症性ショックの治療
  3 今後の展望
 3-1-5 アナフィラキシーショック (大藤 純)
  1 定義と診断基準
  2 アナフィラキシーショックの病態生理
  3 アナフィラキシーショックの身体所見
  4 アナフィラキシーショックの検査所見
  5 アナフィラキシーショックの治療
  6 症例提示
   Column Kounis症候群
   Column Bezold-Jarisch反射
 3-1-6 神経原性ショック (土井賢治,武居哲洋)
  1 定義
  2 神経原性ショックの病態
  3 神経原性ショックの原因
  4 神経原性ショックの診断
  5 神経原性ショックの治療
 3-1-7 産科ショック (安田則久,後藤孝治)
  1 産科ショックと妊産婦死亡の発生状況
  2 産科ショックをきたす疾患
  3 産科DIC
  4 産科危機的出血への対応
 3-1-8 内分泌疾患によるショック (高橋 完)
  1 甲状腺クリーゼ
  2 粘液水腫性昏睡
  3 急性副腎不全(副腎クリーゼ)
  4 高血糖緊急症
   Column 副腎クリーゼと胃腸炎
 [2.重症心疾患]
 3-2-1 虚血性心疾患 (澤田賢一郎,川上将司,安田 聡)
  1 急性冠症候群
  2 心原性ショックを合併する急性冠症候群
  3 急性心筋梗塞に合併する機械的合併症
  4 右室梗塞
   Column PCI vs CABG
   Column 肺動脈カテーテル
 3-2-2 非虚血性心筋症 (坂田泰史,余西智香)
  1 主な非虚血性心筋症
  2 非虚血性心筋症の診断
  3 非虚血性心筋症の治療
 3-2-3 重症不整脈 (野上昭彦)
  1 重症心室性不整脈の病態
  2 重症心室性不整脈の検査
  3 重症心室性不整脈の治療
   Column アブレーション施行群と非施行群の無作為化比較試験
 3-2-4 劇症型心筋炎 (猪又孝元)
  1 劇症型心筋炎の病態
  2 劇症型心筋炎の診断
  3 劇症型心筋炎の治療
   Column 心筋炎の定義と疾患概念のズレ
 3-2-5 たこつぼ症候群 (明石嘉浩)
  1 たこつぼ症候群の診断基準
  2 たこつぼ症候群の病態
  3 たこつぼ症候群の症状と検査所見
  4 たこつぼ症候群の治療
  5 たこつぼ症候群の予後

4章 治療選択
 4-1 呼吸管理 (内山昭則)
  1 右心機能と呼吸
  2 陽圧換気と胸腔内圧
  3 肺水腫とPEEP
  4 左心不全とPEEP
  5 非侵襲的陽圧換気(NPPV)
  6 侵襲的呼吸管理
  7 換気量の設定をどうするか?:肺保護換気について
  8 人工呼吸からのウィーニングと循環
 4-2 カテコラミン (松本聡治朗,原 哲也)
  1 カテコラミンの生合成および代謝
  2 カテコラミンの生理作用
  3 各種カテコラミン
  4 薬物-受容体相互作用
  5 PDE-III阻害薬
   Column カテコラミンとPDE-III阻害薬
 4-3 輸液療法 (渡邉誠之,讃井將満)
  1 初期輸液の考え方
  2 輸液製剤の選択
  3 輸液の生理学
  4 輸液方法
 4-4 IABP:導入と管理のポイント (那須崇人,森野禎浩)
  1 背景
  2 IABPの原理
  3 IABPの導入:適応
  4 IABPの禁忌
  5 管理上のポイント
  6 IABPの離脱
 4-5 ECMO:導入と管理のポイント (竹田晋浩,大山慶介)
  1 ECMOの適応
  2 VA-ECMOの導入方法
  3 導入時の3段階
  4 導入後
  5 VA-ECMO特有の合併症
  6 離脱
  7 IMPELLA
   Topics PCPSとVA-ECMO
   Column Dirty double
   Column 鼠径部の穿刺
   Column 各社カニューレの特徴
 4-6 補助人工心臓:導入と管理のポイント (絹川弘一郎)
  1 体外設置型VADの適応
  2 体外設置型VAD挿入後の予防的管理
  3 心機能回復への試み
   Column LVAD装着後のリバースリモデリングとは?
 4-7 一時ペーシングとペースメーカー植込み (石川利之)
  1 一時ペーシング
  2 永久ペースメーカー植込み
   Column 生理的ペースメーカーと非生理的ペースメーカー
 4-8 植込み型除細動器(ICD)・着用型自動除細動器(WCD) (庭野慎一)
  1 器質的疾患を有する症例の突然死リスクとICD
  2 急性期病態における突然死リスクと除細動デバイス
  3 着用型自動除細動器(WCD)とその適応
   Column 突然死の一次予防と二次予防の疫学
   Column 心筋梗塞発症後早期のICD使用
 4-9 輸血 (大田典之)
  1 輸血の危険性
  2 restrictive strategy(制限輸血),liberal strategy(非制限輸血)の是非
  3 大量輸血
 4-10 利尿薬 (内田篤治郎)
  1 ループ利尿薬
  2 抗アルドステロン薬
  3 サイアザイド系利尿薬
  4 ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)
   Column 利尿薬への抵抗性を形成する要因
   Topics 敗血症における急性腎障害とバソプレシン
 4-11 心筋保護薬 (奥村貴裕)
  1 心筋保護薬とは
  2 左室駆出率からみた心不全の分類とリバースリモデリング
  3 心筋保護薬のエビデンス
  4 服薬遵守の重要性
  5 心筋保護薬使用のタイミング,コツとピットフォール
  6 HFpEFに対する心筋保護薬のエビデンス
 4-12 抗血小板薬・抗凝固薬 (奥山裕司)
  1 抗血小板薬・抗凝固薬の作用機序
  2 急性循環不全を呈する病態での使用法
  3 抗血小板薬・抗凝固薬内服中の出血への対処法
 4-13 抗不整脈薬 (池田隆徳)
  1 抗不整脈薬の分類と種類
  2 抗不整脈薬の作用機転
  3 抗不整脈薬の使用目的
  4 抗不整脈薬の適応疾患
  5 各薬剤の使用ポイント
  6 併用療法
  7 抗不整脈薬の副作用
  8 禁忌疾患
   Column Naチャネル遮断薬とKチャネル遮断薬の作用の違い
   Column 発作性心房細動に対する停止法としての“pill-in-the-pocket”
   Advice 抗不整脈薬の排泄経路と主な副作用
 4-14 ステロイド (江木盛時)
  1 急性循環不全におけるステロイド
  2 敗血症に対するステロイド療法
  3 敗血症性ショック患者すべてにステロイドを使用すべきか?
  4 敗血症性ショックに対するステロイド投与に関し不明確な事項