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健康格差社会 第2版【電子版】

何が心と健康を蝕むのか

近藤 克則 (著)

出版社
医学書院
電子版ISBN
978-4-260-64968-1
電子版発売日
2022/07/04
ページ数
264ページ
 判型
A5
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥2,860 (本体¥2,600+税10%)

印刷版ISBN
978-4-260-04968-9
印刷版発行年月
2022/06
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概要

日本が「健康格差社会」であることを世に示した初版の発行後、社会疫学研究の進展により健康格差の存在は共通認識となり、健康格差の縮小が国の政策目標に掲げられるに至った。第2版では初版の内容を基盤にしつつ、この間に蓄積された多くの科学的知見を追加。「健康の社会的決定要因」などに関する議論の動向も解説する。「健康格差」の基本を知る上で最適な定番書。

目次

I 健康格差社会と求められる総合的な対策
 第1章 健康格差社会──何が心と健康を蝕むのか
  放置すれば拡大する社会経済格差
  健康格差社会の実像
  なぜ社会経済格差が健康に影響するのか
  ではどうしたらよいか
  社会政策への示唆
  第1章のまとめ
 第2章 見直しを迫られる健康・疾病観と保健・医療
  うまくいかなかった生活習慣病対策と介護予防
  なぜうまくいかなかったのか
  なぜ個人への介入だけではうまくいかないのか
  どのように取り組めばよいか
  第2章のまとめ

II 生物・心理・社会(bio-psycho-social)モデルと社会疫学
 第3章 生物・医学モデルを超えて──パラダイムとは何か
  パラダイムあるいはモデルとは何か
  従来型の介護予防モデル
  心理・社会・環境要因によるモデル──要介護高齢者は低所得者に多い
  健康や疾患をどうとらえるか
  2つのフロンティア──見えない世界の「見える化」
  第3章のまとめ──本書で取り上げる(研究)課題

 第4章 上位層は健康で,底辺層は不健康──社会経済状態と健康
  投げかけられた疑問
  健康格差は過去の話か
  健康格差は物質的欠乏(貧困)が原因か
  健康格差は縮小できるのか
  第4章のまとめ

 第5章 なぜ学歴・職業・所得(社会経済的要因)が健康に影響するのか
  関連と因果関係
  社会疫学研究の難しさ
  影響する5つの経路
  複雑に絡み合う関係
  今後の研究課題
  第5章のまとめ

III 社会と健康をつなぐもの──心の大切さ
 第6章 「病は気から」はどこまで実証されているのか──主観的健康感・心理・認知の重要性
  主観的健康感がもつ死亡リスク予測力
  なぜ主観的健康感は大きな予測力をもつのか
  主観的・心理的要因重視の動き
  客観と主観の関係の二面性
  ストレス認知モデル
  心理的ストレスが健康に影響する経路
  治療効果が実証されている認知行動療法
  第6章のまとめ

 第7章 うつは心の風邪か──うつの重要性
  うつの重要性
  多面的なリスクであるうつ
  うつにおける生物学的変化
  社会経済的要因とうつ
  第7章のまとめ

 第8章 ポジティブな「生き抜く力」は命を救う──ストレス対処能力
  ポジティブな主観的認知は客観的な回復をもたらす
  笑いは健康によい?
  人生における指向性
  「生き抜く力」と関連する概念
  ストレス対処能力,SOC(首尾一貫感覚)
  何が「健康」を生み出すのか
  「生き抜く力」とストレス対処
  学習される「生き抜く力」
  外的資源としての社会経済的要因
  社会経済的要因と「生き抜く力」
  第8章のまとめ

 第9章 なぜ結婚や友達は健康によいのか──人間関係と健康
  人間関係と健康の位置づけ
  社会的ネットワークと健康
  結婚と健康
  なぜ結婚は健康によいのか
  学際的な関心を呼んでいる「人間関係と健康」
  社会的ネットワークと社会的サポートと社会参加
  健康への主効果とストレス軽減効果
  第9章のまとめ

 第10章 仕事と健康──職業性ストレスから健康経営まで
  職場レベルにおける決定要因──職業性ストレス
  法人や企業レベルにおける決定要因
  社会・国レベルの決定要因
  なぜ職域・職業における健康格差は生まれるのか
  第10章のまとめ

IV 社会のありようと健康
 第11章 所得格差と健康──相対所得と格差が大きな社会の影響
  拡大している経済格差
  国際比較研究で発見された格差社会の影響仮説
  格差社会の影響──仮説への批判と反論
  なぜ所得の不平等が不健康をもたらすのか
  第11章のまとめ

 第12章 コミュニティの力,再発見!──ソーシャル・キャピタル
  注目を集めるソーシャル・キャピタル
  ソーシャル・キャピタルとは何か
  ソーシャル・キャピタルの下位分類
  ソーシャル・キャピタル論を巡る論点──批判と反証
  第12章のまとめ

 第13章 介入すべきは個人か社会か──ハイリスク・ストラテジーの限界
  健康に影響する要因の階層構造
  個人への介入の限界
  なぜ健康教育の効果は薄いのか──禁煙を例に
  ハイリスク・ストラテジーの特徴と限界
  ゼロ次予防──健康によい社会づくり
  第13章のまとめ

V 社会と健康をめぐる課題
 第14章 基礎科学としての社会疫学の課題
  社会疫学の2つの課題──科学的合理性と社会的合理性
  基礎科学としての疫学
  基礎科学としての研究課題
  社会に還元するうえでの課題
  第14章のまとめ

 第15章 医療と公衆衛生・健康政策の見直しに向けた課題
  医学・医療界における変化
  「健康日本21(第3次)」に向けて
  「第3次」に向けた見直しの3つの視点
  介護予防政策の見直し
  歴史的に考える
  第15章のまとめ

 第16章 「健康によい社会政策」を考えよう
  社会疫学の知見が示唆するもの
  社会経済格差の拡大を招く政策の見直し
  医学・医療以外の分野での課題
  予想される2つの批判
  第16章のまとめ

 第17章 社会疫学──社会のための科学・21世紀のための科学
  社会のための科学
  21世紀のための科学
  第17章のまとめ

あとがき
索引

column
 エビデンスのレベル
 JAGES(日本老年学的評価研究)の概要
 教育年数が短いほど「健診を受診したことがない」
 システマティック・レビューとメタ分析
 社会階層別のうつ状態の分布
 お金持ちは転びにくい!?
 社会階層が低い人ほど「閉じこもり」が多い
 要介護者の半数は,リスクがない状態から発生している
 低所得であるほど社会的サポートの授受が少ない人が多い
 男性の1人暮らしにはうつ状態が多く,1人暮らしは低学歴層に多い
 教育年数・所得とうつ
 ストレス対処能力SOCと健康,そして社会階層
 結婚と心理的健康──背景としての社会経済的要因
 プロジェクトとイニシアティブ