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医系免疫学 改訂16版【電子版】

矢田 純一 (著)

東京医科歯科大学名誉教授

出版社
中外医学社
電子版ISBN
 
電子版発売日
2021/11/12
ページ数
1075ページ
 判型
B5判
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥10,120 (本体¥9,200+税10%)

印刷版ISBN
978-4-498-10607-9
印刷版発行年月
2021/11
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概要

1989年の初版刊行時から,免疫学の正統的な入門書として定評を得ている書.本領域の急速な進歩に合わせて約2年ごとに改訂を重ね,常に最新の情報をアップデートしてきた.改訂16版となる今版では,明らかになってきた免疫機構の詳細をより深く解説し,註などで補足説明を行っている.免疫学を簡潔かつ平易に解き明かしていながら,表面的ではなく,重層的な知識を得ることができる.まさに決定版と言える一冊だ.

目次

1 免疫とは―免疫系概説―
  1.免疫系の生体における役割
  2.どうやって“非自己”を識別するか
  3.無数に近い種類の抗原レセプターをどうやって用意するのか
  4.“非自己”の認識から“非自己”の排除へ
  5.反応の増幅と制御
  6.リンパ球にはいくつかの異った性質のグループがある
  7.“非自己”の認識と排除の即戦力的な機構(自然免疫),獲得免疫との相異
  8.免疫ができるとは(獲得免疫の成り立ち)
  9.粘膜免疫系と全身免疫系
  10.“非自己”の排除には“自己”の犠牲も伴う―アレルギーとの関係
  11.免疫と臨床

2 抗体についての基礎知識
  ■要点
  1.抗体とはどのようなものか
  2.抗原とはどのようなものか
  3.抗体の分子構造
  4.免疫グロブリン
  5.免疫グロブリン各クラスの特性
  6.血清免疫グロブリン値と疾患
  Advanced Knowledge●
   [1]抗原と抗体との特異的結合
   [2]FcRnの役割

3 抗体のもたらす反応とそれを利用した検査
  ■要点
  1.凝集反応
  2.赤血球凝集反応
  3.菌凝集反応
  4.受身凝集反応
  5.沈降反応
  6.ゲル内沈降反応
  7.補体結合反応
  8.免疫溶菌反応
  9.細胞傷害試験
  10.免疫粘着反応
  11.中和試験
  12.標識抗体法
  13.ラジオ イムノアッセイ (RIA)
  14.エンザイム イムノアッセイ (EIA)
  15.その他のイムノアッセイ
  16.ウエスタン ブロット法
  17.免疫画像診断

4 抗体を利用した疾患の予防と治療
  ■要点
  1.抗体をどのようにして入手するか
  2.ウイルス感染症の発症予防
  3.細菌感染症の治療
  4.無・低γグロブリン血症の感染予防
  5.血液型不適合妊娠における感作の予防
  6.がんの治療
  7.血小板減少性紫斑病の治療
  8.自己免疫病,免疫複合体病の治療
  9.川崎病の治療
  10.免疫抑制療法
  11.アレルギーの治療

5 リンパ球の働き
  ■要点
  1.体液性免疫と細胞性免疫
  2.T細胞の発生
  3.T細胞の抗原認識
  4.T細胞の機能
  5.B細胞の発生と機能
  6.K細胞
  7.NK 細胞
  8.NKT 細胞
  9.LAK 細胞
  10.自然リンパ球(ILCs)
  11.リンパ組織
  Advanced Knowledge●
   [1]ヘルパーT細胞によるキラーT細胞の補助
   [2]T細胞による細胞傷害の機序
   [3]Th 1細胞とTh 2細胞の分化
   [4]樹状細胞の分化と動態
   [5]NK細胞のサブセット
   [6]NK細胞表面のレセプター
   [7]古典的NKT細胞の由来と機能
   [8]腸管リンパ組織における免疫応答
   [9]末梢リンパ組織の器官形成
   [10]粘膜免疫系
   [11]リンパ球の動態とケモカイン・接着分子

6 細胞表面機能分子―接着分子など―
  ■要点
  1.細胞表面分子の CD 表示
  2.接着分子の種類
  3.接着分子の役割
  Advanced Knowledge●
   [1]ケモカインによる接着分子インテグリンの変化
   [2]接着分子によるT細胞の活性化

7 B細胞の分化と機能発現
  ■要点
  1.免疫グロブリン可変領域遺伝子の再編成
  2.免疫グロブリンのクラススイッチ
  3.B細胞系の分化過程
  4.自己反応性B細胞の除去
  5.B細胞の由来と種類
  6.B細胞の活性化
  7.B細胞の増殖・抗体産生細胞への分化に対するT細胞の関与
  8.抗体産生
  Advanced Knowledge●
   [1]免疫グロブリン可変領域遺伝子再編成の機序
   [2]免疫グロブリン可変領域遺伝子の体細胞突然変異の機序
   [3]免疫グロブリン対立遺伝子排除
   [4]免疫グロブリンのクラススイッチ機構
   [5]pre-B細胞レセプターの役割
   [6]B細胞系への分化と転写因子
   [7]自己反応性B細胞がアネルギーとなったりアポトーシスを起こす機序
   [8]B1a細胞とB1b細胞の相違
   [9]B細胞活性化の細胞内シグナル伝達
   [10]TLRによるB細胞の活性化
   [11]細胞内シグナル伝達にかかわるチロシンキナーゼ群とアダプター分子
   [12]BAFF(Blys)・APRILのB細胞への作用
   [13]胚中心におけるB細胞の反応
   [14]濾胞ヘルパーT細胞
   [15]形質細胞・記憶B細胞への分化
   [16]辺縁帯B細胞の役割

8 T細胞の分化と機能発現
  ■要点
  1.T細胞レセプター(T細胞抗原レセプター)
  2.T細胞の抗原認識
  3.T細胞の活性化
  4.抗原の処理と提示(抗原提示細胞)
  5.T細胞の分化過程
  6.T細胞の分化と胸腺
  7.T細胞の機能的分化
  8.T細胞の動態
  Advanced Knowledge●
   [1]T細胞レセプターの多様性の形成
   [2]ヒトT細胞レセプター多様性の実測値
   [3]脂質抗原のCD1分子による提示とそれに対するT細胞の応答
   [4]γ64 T細胞の抗原認識
   [5]T細胞レセプターとリガンドの結合
   [6]T細胞の活性化とシグナル伝達およびその制御
   [7]T細胞の活性化とGEM/raft
   [8]共刺激なしに抗原と反応したT細胞がアナジー(不応状態)に陥る機序
   [9]T細胞レセプターからのシグナルによる細胞内骨格の機能誘導
   [10]T細胞レセプターからのシグナルによるインテグリンの接着能増強
   [11]樹状細胞の成熟と性状の変化
   [12]抗原提示における樹状細胞とT細胞の相互作用
   [13]樹状細胞の抗原物質の取り込みおよび成熟とパターン認識レセプター
   [14]T細胞が活性化されるかトレランス(不応状態)になるかと樹状細胞
   [15]抗原の処理と提示の機序
   [16]プロテアソームの構造
   [17]cross presentationの機序
   [18]MHCクラスIIの発現とCIITA,MHCクラスIの発現とNLRC 5(CITA)
   [19]免疫学的シナプス
   [20]樹状細胞などが産生する活性型ビタミンとリンパ球のホーミングおよびレギュラトリーT細胞の誘導
   [21]T細胞の分化とNotchレセプター,E蛋白,Id蛋白,転写因子
   [22]T細胞のCD4+,CD8+への分化とMHCクラスII/MHCクラスI拘束性
   [23]innate T細胞
   [24]胸腺におけるT細胞の動態とケモカイン・接着分子
   [25]胸腺T細胞における正の選択・負の選択とT細胞レセプターからのシグナル
   [26]γ64型T細胞の機能
   [27]CD8+メモリーT細胞の生存とキラーIg様レセプター
   [28]皮膚へ侵入した抗原に対するT細胞の反応
   [29]ナイーブT細胞とメモリー(記憶)T細胞

9 リンパ球の検査
  ■要点
  1.リンパ球系の状態の把握
  2.リンパ球亜群の測定
  3.T細胞サブセット
  4.T細胞のクロナリティ
  5.リンパ球の機能検査
  6.特定抗原に対するリンパ球の感作の有無の測定

10 補体とその働き
  ■要点
  1.補体とは
  2.活性化補体の作用
  3.補体の活性化
  4.活性化補体の不活化
  5.補体レセプター
  6.補体の産生と消費

11 サイトカインとその働き
  ■要点
  1.インターロイキン
  2.TNF(腫瘍壊死因子)
  3.インターフェロン (IFN)
  4.その他のリンホカイン
  5.TGF-β
  6.細胞増殖因子
  7.オステオポンチン
  8.BAFF(Blys)・APRIL
  9.白血球遊走にかかわるサイトカイン(ケモカイン)
  10.造血に関与するサイトカイン
  11.サイトカインのレセプター
  12.サイトカインの治療への応用
  Advanced Knowledge●
   [1]IL-1β,IL-18の分泌とinflammasome
   [2]IL-2レセプターからのシグナル伝達
   [3]サイトカインによるリンパ球の生存維持
   [4]IL-10によるT細胞・樹状細胞・マクロファージの抑制
   [5]インターフェロン(IFN)の抗ウイルス作用
   [6]TGF-βレセプターからのシグナル伝達
   [7]細胞の遊走とケモカインレセプターシグナル
   [8]サイトカインレセプターからのシグナル抑制機構

12 食細胞―好中球とマクロファージ
  ■要点
  1.好中球の貪食作用
  2.好中球の殺菌物質
  3.好中球による組織傷害
  4.マクロファージとその働き
  5.マクロファージの活性化
  6.マクロファージの多様な機能
  Advanced Knowledge●
   [1]食細胞のFcγレセプターを介する活性化
   [2]細胞質顆粒内容の放出とSNARE
   [3]細胞の種類と表出Toll様レセプター(TLR)
   [4]細胞質のパターン認識レセプター
   [5]LPSによるマクロファージの活性化
   [6]各TLRからのシグナル伝達
   [7]マクロファージ・樹状細胞活性化の制御
   [8]DAMPsと炎症反応

13 感染防御免疫機構
  ■要点
  1.局所免疫
  2.ウイルスの排除
  3.ウイルスの拡散の阻止
  4.ウイルス感染の予防
  5.クラミジアの防御
  6.化膿菌の防御
  7.細胞内寄生性細菌の防御
  8.真菌の防御
  9.寄生虫の防御
  10.感染防御における自然免疫と獲得免疫
  11.感染症診断のための免疫学的検査
  Advanced Knowledge●
   [1]皮膚から侵入してくる微生物に対する免疫応答
   [2]ウイルス核酸による樹状細胞,マクロファージなどの活性化と細胞内核酸感知分子
   [3]heterologous immunityおよびantigenic sinとウイルス感染に対する免疫応答
   [4]ウイルスの免疫回避機構
   [5]アジュバントの作用機序
   [6]細菌DNA CpG配列のアジュバント作用
   [7]マスト細胞の感染防御における役割
   [8]腸管粘膜における共生菌との共存と病原菌との戦い
   [9]尿路粘膜における細菌防御
   [10]細菌の免疫回避機構
   [11]原虫の免疫回避機構
   [12]蠕虫の免疫回避機構
   [13]発熱と感染防御免疫反応

14 免疫不全
  ■要点
  1.免疫不全とは
  2.免疫不全と感染
  3.免疫不全症の成因
  4.原発性免疫不全症の主な病型
  5.免疫不全症の治療
  6.免疫不全症の検査
  7.好中球異常症
  8.好中球機能検査
  9.好中球異常の治療
  10.補体欠損症
  11.続発性免疫不全症
  Advanced Knowledge●
   [1]副腎皮質ステロイドの免疫抑制作用の機序
   [2]ストレスによる免疫機能の変化
   [3]蠕虫感染の免疫系への影響

15 免疫応答の制御および免疫トレランス
  ■要点
  1.抗イディオタイプ抗体
  2.免疫制御T細胞
  3.T細胞以外の免疫制御細胞
  4.Fcレセプターを介する免疫抑制
  5.細胞死による抑制
  6.抑制シグナルを送る表面分子
  7.シグナル伝達制御分子による抑制
  8.可溶性サイトカインレセプターによるサイトカイン作用の抑制
  9.神経ペプチドによる抑制
  10.miRNA・lncRNAによる制御
  11.RNA結合蛋白によるmRNAの阻害
  12.免疫トレランス
  13.自己抗原に対して免疫トレランスが成立しやすい理由
  Advanced Knowledge●
   [1]CD4+CD25+Foxp 3+レギュラトリーT細胞の性質
   [2]免疫機能とアポトーシス制御分子Bcl-2ファミリー
   [3]神経ペプチドによる炎症と免疫反応の抑制
   [4]活性化かトレランスかを決定するシグナル

16 アレルギー
  ■要点
  1.I型アレルギー
  2.I型アレルギーの検査と治療
  3.II型アレルギー
  4.III型アレルギー
  5.免疫複合体の測定
  6.IV型アレルギー
  Advanced Knowledge●
   [1]FcεレセプターIの架橋によるマスト細胞の活性化
   [2]TSLP・IL-18・IL-33・IL-25とアレルギー
   [3]アレルギー発症の個人差
   [4]遅発喘息反応と気道リモデリングにおける好酸球とT細胞の関与
   [5]抗原物質中のプロテアーゼやMD 2様物質とアレルギーの誘導
   [6]アレルギーの免疫学的治療・研究段階の治療

17 自己免疫現象と自己免疫疾患
  ■要点
  1.自己免疫と自己免疫疾患
  2.自己免疫の成因
  3.臓器特異的自己免疫疾患
  4.抗核抗体
  5.全身性自己免疫疾患
  6.自己免疫疾患の治療
  Advanced Knowledge●
   [1]前眼房における免疫抑制の機序
   [2]SLEの病態とI型インターフェロンおよびDNA・抗DNA抗体免疫複合体
   [3]自己免疫疾患の免疫学的治療の試み

18 輸血と臓器移植
  ■要点
  1.血液型
  2.輸血反応
  3.血液型不適合妊娠
  4.組織適合抗原
  5.HLA 抗原の決定法(タイピング)
  6.拒絶反応の機序
  7.移植細胞対宿主反応
  8.移植拒絶反応の抑制
  9.各臓器の移植
  10.免疫応答遺伝子と組織適合抗原
  11.HLA 抗原と病気の発症危険率
  12.血液型,組織適合抗原以外の同種抗原
  Advanced Knowledge●
   [1]NK細胞による同種骨髄細胞の拒絶
   [2]移植片対白血病効果
   [3]研究段階の免疫学的な移植拒絶反応抑制法

19 腫瘍と免疫
  ■要点
  1.腫瘍に対する免疫は存在するか
  2.腫瘍関連抗原
  3.抗腫瘍免疫のメカニズム
  4.抗腫瘍免疫が回避されてしまう機序
  5.腫瘍の免疫療法
  Advanced Knowledge●
   [1]腫瘍関連抗原の同定法
   [2]腫瘍関連抗原の提示とストレス蛋白

20 生殖と免疫
  ■要点
  1.胎児の免疫学的拒絶(流産)の阻止機構
  2.原発性習慣性流産
  3.妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
  4.胞状奇胎
  5.抗精子抗体と不妊
  6.抗卵透明帯抗体と不妊
  7.自己免疫性卵巣炎,精巣炎と不妊
  8.母親からの抗体やリンパ球による児の疾患
  9.児のリンパ球の侵入による母の病気
  10.妊婦の免疫機能

21 免疫系の発達と老化
  ■要点
  1.免疫系の系統発生
  2.ヒトにおける免疫系の個体発生
  3.免疫系の老化
  4.免疫機能の性差

  附.遺伝子の発現機構―遺伝子の転写と翻訳―
  和文索引
  欧文・数字索引