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厄介で関わりたくない精神科患者とどうかかわるか【電子版】

成瀬 暢也 (著)

埼玉県立精神医療センター副病院長

出版社
中外医学社
電子版ISBN
 
電子版発売日
2021/04/09
ページ数
195ページ
 判型
A5判
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥3,080 (本体¥2,800+税10%)

印刷版ISBN
978-4-498-22930-3
印刷版発行年月
2021/04
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概要

患者の快復を願って必要な治療を提供しようとする.ただそれだけのことなのに,時として生まれる対立,そして陰性感情.そこに絶対的に不足しているのは患者と治療者の信頼関係です.厄介で関わりたくない精神科患者は必ず,深く傷ついています.必要なのは信頼関係に裏付けられた癒しです.人が人を癒すということは精神科医療の原点.しかし,これが容易ではありません.ではどうすればいいのでしょうか.

目次

はじめに

1 厄介で関わりたくない患者とは
  1 厄介で関わりたくない患者は誰もが敬遠する
  2 厄介で関わりたくない患者は病状が改善しない
  3 厄介で関わりたくない患者は治療が続かない
  4 厄介で関わりたくない患者は人を傷つけ,傷つけられる
  5 厄介で関わりたくない患者は誰とも信頼関係を持てない
  6 厄介で関わりたくない患者は偏見・スティグマを持たれる
  7 厄介で関わりたくない患者は熱心な治療者を燃え尽きさせる
  8 厄介で関わりたくない患者は治療過程で悪化することが多い
  9 厄介で関わりたくない患者は孤独である
  10 厄介で関わりたくない患者は生きていることが苦しい
  11 厄介で関わりたくない患者は自殺のリスクが高い
  12 厄介で関わりたくない患者は他者への助けを求められない

2 厄介で関りたくない患者とその具体的な対応
 A.問題行動・暴力行為・自殺企図を繰り返す患者
  1 暴力的な患者
  2 問題行動を繰り返す患者
  3 犯罪を繰り返す患者
  4 酔って絡んでくる患者
  5 違法薬物を全くやめられない患者
  6 自傷行為を繰り返す患者
  7 過量服薬を繰り返す患者
  8 過食嘔吐が止まらない患者
  9 拒食が続き低体重で身体的に深刻な患者
  10 性的逸脱行為・性犯罪を繰り返す患者
  11 付き合う男性から繰り返し暴力を受ける患者
  12 人を殺したいと繰り返し訴える患者
  13 死にたいと頻回に訴える患者
  14 深刻な自殺企図を繰り返す患者
  15 不眠やイライラを訴えて強い薬を要求する患者
  16 治療担当者の交代を要求する患者
  17 無理なことを要求してくる患者
  18 反社会的勢力と関係がある患者

 B.治療関係が築きにくい患者
  1 治療者を信用できない患者
  2 治療者が陰性感情を持ってしまう患者
  3 知ったかぶりをしてくる患者
  4 自閉的で孤独な患者
  5 嘘が多く人にいいところしか見せられない患者
  6 自分は病気ではないと言い張る患者
  7 受診に拒否的な患者
  8 「特別を」要求する患者
  9 治療者に対して恋愛感情を表明する患者
  10 治療者に被害妄想を持っている患者
  11 LGBT・薬物依存症・HIV陽性の患者
  12 治療者に対するクレームが激しい患者
  13 言葉が通じない外国人の患者

 C.症状がよくならない患者
  1 薬物療法が効かない患者
  2 一向によくならない患者
  3 幻聴や妄想がとれずに苦しんでいる患者
  4 強迫的で確認や保証を繰り返し求める患者
  5 頑張りすぎて燃え尽きる患者
  6 人格交代や解離症状を繰り返す患者
  7 身体症状の訴えが執拗な心気的患者
  8 治療者に依存的で繰り返し入院を求める患者
  9 いくつも精神科合併症を持っている患者
  10 保護室での隔離が長期になっている患者
  11 身体拘束が解除できない患者
  12 身体合併症が問題となる患者
  13 副作用が深刻で薬が使えない患者
  14 容易に怠薬して入院を繰り返す患者

 D.患者を取り巻く環境がよくない患者
  1 家族内で虐待を受けてきた患者
  2 問題のある家族で調整役を果たしてきた患者
  3 性被害・いじめ・暴力を受けてきた患者
  4 家族が治療に協力的ではない患者
  5 家族から厳しく責めたてられる患者
  6 家族が治療者や治療に不信感を持っている患者

3 厄介で関わりたくない患者と上手に関わるコツ
  1 患者中心の対応を徹底する
  2 患者に尊厳ある人として敬意をもって接する
  3 患者が治療を求めてきたことを評価する
  4 患者のつらさに共感する
  5 患者の良いところを見つけて患者に伝える
  6 患者の生きてきた人生を想像する
  7 患者を批判せず丸ごと受け入れる
  8 患者を無理やり変えようとしない
  9 患者の変わらない自由も尊重する
  10 患者は孤独で人に癒されていないと理解する
  11 患者は病者であり弱者であることに留意する
  12 関わりを拒む患者ほど支援を要すると知る
  13 招かれざる患者ほど歓迎する
  14 問題行動を起こす心理的背景について理解する
  15 問題行動を無理にやめさせようとしない
  16 患者と信頼関係を築くことを最優先する
  17 救世主になろうとしてはいけない
  18 一対一からチームへ連携へとつないでいく
  19 患者と関わる際の限界を知っておく
  20 同僚・関係者・回復者と信頼関係が築けている

4 人は人に癒されて生きていけるようになる

5 信頼関係の構築から遠ざかる現代の精神科医療
  1 現代の精神科治療と信頼関係の構築
  2 脳科学優先の精神医学の時代に心すること
  3 薬物療法は症状を改善し信頼関係は人を癒す
  4 信頼関係のない精神科医療は患者を傷つける
  5 信頼関係がないとスティグマが蔓延る
  6 精神療法と診療報酬 ~精神療法の形骸化~
  7 精神科救急と信頼関係
  8 行動制限最小化と信頼関係
  9 長期入院患者と信頼関係
  10 わが国の精神科医療改革に向けて
  11 人間関係が希薄な現代社会の精神科医療
  12 信頼関係の構築が精神科医療の最優先課題である

6 人と信頼関係を構築するためにどうすればいいか
  1 信頼関係を持てるとはどういうことか
  2 厄介で関わりたくない患者と信頼関係を築くために必要なこと

7 厄介で関わりたくない患者にこそ支援は必要である

おわりに