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感染症疫学のためのデータ分析入門【電子版】

西浦 博 (編著)

京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻環境衛生学分野教授

出版社
金芳堂
電子版ISBN
 
電子版発売日
2021/10/11
ページ数
240ページ
 判型
A5
フォーマット
PDF(パソコンへのダウンロード不可)

電子版販売価格:¥4,180 (本体¥3,800+税10%)

印刷版ISBN
978-4-7653-1882-2
印刷版発行年月
2021/10
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概要

本書は京都大学大学院医学研究科の社会健康医学系専攻において専門職大学院課程(School of Public Health)コア科目「感染症疫学」の教育内容に準拠して執筆された入門書である。

編著者自身が過去10年を通じて毎年更新しながらきめ細やかに作成・更新を続けてきた「感染症疫学」の到達目標

1.感染症が他の疾患と比べて特別である特徴を説明することができる
2.無症候性感染の公衆衛生学的意義について述べることができる
3.感染および死亡の疫学的リスクについて分類し、記述することができる
4.集団免疫のコンセプトと疫学的検討におけるその重要性について記述できる
5.仮説検定の意味で流行の早期探知のコンセプトを述べることができる
6.予防接種の効果について分類し、記述することができる
7.アウトブレイク調査やサーベイランスの目的と実践について記述可能である

を教育マテリアルとして活用し、入門書の範囲にとどまらない、感染症特有の調整、アイデアなども解説。読者諸氏にとって、感染症データとの向かい合い方を根幹から変える書を目指した。

また、章末確認問題では、実際のデータの取り扱い方法を確認でき、理解度を深めるのに役立つ。

目次

まえがき

chapter1 感染と感染症のメカニズムと疫学的指標

1.感染症疫学の特徴
2.感染症疫学の基礎
(1)感染と感染症(infection and infectious disease)
(2)コッホの条件(Koch’s Postulates)
(3)疫学三角(epidemiologic triad)
(4)飛沫感染と空気感染
(5)感染症の根絶・排除の条件
(6)感染症の重症度(severity)
3.感染症疫学で使われるその他の用語
(1)インデックス・ケース(index case)
(2)1次/2次/3次感染者(primary/secondary/tertiary case)
(3)感染症の発生頻度
章末確認問題

chapter2 感染症の自然史

1.はじめに
2.自然史と感染症サーベイランスのデータ:診断バイアスの問題
(1)不顕性感染の事例検討
(2)不顕性感染と致命リスク
3.自然史の時間経過
4.潜伏期間の有用性
(1)重症度の予測因子となる潜伏期間
(2)潜伏期間と感染症の季節性の関係
(3)単一曝露流行における曝露時刻の推定
(4)潜伏期間による感染時点の逆計算
(5)検疫期間の決定
(6)隔離と接触者追跡で制御できるのか
5.さいごに
章末確認問題

chapter3 感染性と重篤度の評価

1.感染性の評価
(1)2次感染リスク
(2)基本再生産数(basic reproduction number: R0)
2.重症度の評価
章末確認問題

chapter4 アウトブレイク調査:能動的サーベイランス

1.能動的サーベイランス
2.症例定義
(1)症例定義(case definition)とは
(2)症例定義の評価
3.記述疫学
(1)時(time)、場所(place)、人(person)
(2)流行曲線epidemic curve(エピカーブ:epi curve)
(3)感染パターン別の流行曲線
(4)流行曲線の作成方法
4.仮説の検証
(1)症例対照研究(case control study)
(2)因果関係(causation)
章末確認問題

chapter5 感染者割合の推定

1.感染者割合の分析
2.診断検査データを活用した感染者割合の推定
3.逆計算法を利用した感染者割合の推定
(1)逆計算の基本的構造(basic concept of back-calculation)
(2)逆計算法の応用(application of back-calculation method)
(3)HIV/AIDSの流行制御の難しさ(challenges to control HIV/AIDS epidemic)
(4)ネットワーク構造と感染症疫学
4.捕獲再捕獲法を利用した感染者割合の推定
(1)Petersen法(Petersen method)
(2)疫学分野での応用と課題(application and challenges in epidemiology)
5.血清疫学調査の活用
(1)累積罹患率(cumulative incidence)
(2)重症度の推定(estimate of severity)
6.おわりに
章末確認問題

chapter6 予防接種の評価

1.感染症と免疫
(1)感染症における従属性現象
(2)免疫の種類
(3)自然感染による免疫の持続性
(4)予防接種の種類
2.予防接種の集団レベルの評価
(1)相対危険による評価
(2)私たちの従来型の常識を取り除いて考えよう
3.予防接種の個人レベルの評価
(1)2次感染リスク
(2)インフルエンザの個人レベルのリスク
4.予防接種の政策評価
5.まとめ
章末確認問題

chapter7 受動的サーベイランスとそのデータ分析

1.はじめに
2.サーベイランスの定義
3.サーベイランスに関わる用語
(1)受動的サーベイランス(passive surveillance)と積極的サーベイランス(active surveillance)
(2)全数サーベイランス(universal case reporting surveillance)と定点サーベイランス(sentinel surveillance)
(3)症候群サーベイランス
(4)検査室ベースドサーベイランス
4.サーベイランスの構成要素
(1)収集(collection)
(2)照合(collation)
(3)解析と解釈(analysis and interpretation)
(4)普及と利用(dissemination and utilization)
5.サーベイランスの利用
(1)流行の大きさを推定
(2)感染分布と蔓延の把握
(3)病気の自然史を理解する
(4)仮説を立て研究を刺激する
(5)アウトブレイク発生の検出
(6)管理・予防策の評価
6.受動的サーベイランスの問題点
(1)努力とリソースの重複
(2)アウトブレイクの特定と報告の遅れ
(3)地域レベルの普及とフィードバックの不足
(4)訓練とサーベイランス実務活動の統合の欠如
(5)プログラム評価が限定的
(6)研究室の関与が不十分
7.まとめ
章末確認問題

chapter8 アウトブレイクの早期検出

1.アウトブレイク検出のコンセプト
閾値と異常
2.アウトブレイクの定量的な定義問題
(1)アウトブレイクの数理的定義
(2)報告の遅れの調整
(3)系統的なばらつき
(4)過去の異常による影響
(5)アウトブレイク検出システムの複雑さと堅牢性
3.閾値決定の方法
(1)回帰法
(2)時系列分析
(3)統計的プロセス制御法
(4)地理情報を組み込んだ技法
4.アウトブレイク検出のためのサーベイランスの実際
5.まとめ
章末確認問題

chapter9 感染症数理モデル入門

1.短期的な感染症流行の特徴
2.コンパートメントモデル
3.アウトブレイクを起こす条件
4.アウトブレイク初期の感染拡大の速度
5.集団免疫閾値
6.最終規模(累積罹患率または流行サイズ)
7.人口の異質性
(1)可視化による理解
(2)行列による理解
8.伝播の異質性を加味したSIRモデル
9.数理モデル補論
(1)線形微分方程式の解
(2)最終規模方程式の導出
(3)次世代行列の使用
(4)異質性を伴うSIRモデルからの次世代行列の記述
(5)保有宿主(リザーバ)の数理的定義

chapter10 流行のモニタリング

1.実効再生産数
(1)ある世代tでのR
(2)2次感染の評価指数としての実効再生産数
2.実効再生産数の種類とその推定
(1)瞬間的再生産数(instantaneous reproduction number)
(2)コホート再生産数(cohort reproduction number)
(3)2つの再生産数の使い分け
3.実効再生産数の統計学的推定における注意点
(1)報告遅れの調整
(2)感染日の関数としてR(t)を推定
(3)適切な世代時間の必要性
(4)平均化ウィンドウ
(5)さらなるデータの問題点
4.Rを用いた推定
(1)データセットについて
(2)分布について
(3)逆計算の実施
(4)遅れの補正を伴う再生産方程式

chapter11 2次感染のバラつきと流行発生確率

1.2次感染はバラつく
(1)スーパースプレッディング
(2)スーパースプレッディング現象による公衆衛生対策の示唆
2.大規模流行の確率
(1)分岐過程モデル
(2)輸入感染者による流行確率
(3)中国の移動制限による日本でのリスク低下
3.流行収束
(1)流行収束の判定
(2)診断バイアスの問題
4.さいごに

章末確認問題 解答編
索引
著者略歴