CAR-T細胞療法のトリセツ【電子版】
- 出版社
- 中外医学社
- 電子版ISBN
- 電子版発売日
- 2023/08/23
- ページ数
- 237ページ
- 判型
- A5判
- フォーマット
- PDF(パソコンへのダウンロード不可)
電子版販売価格:¥3,135 (本体¥2,850+税10%)
- 印刷版ISBN
- 978-4-498-22544-2
- 印刷版発行年月
- 2023/08
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概要
事前準備から細胞調製の実際,適応判断から投与後の合併症管理まで,紹介元施設やCAR-T実施施設で行うすべてのプロセスを,医師・看護師・臨床検査技師など多様な職種からなる本治療のトップランナー「京大病院『チームCAR-T』」が丁寧に解説.最新知見をふまえ,CAR-T細胞療法の将来展望についても解説.多職種が有機的に関わりあう細胞療法の運用・管理を体系的に捉える試みとして,筆者らが提唱する「細胞療法運用学」の実践入門書としても最適.
目次
1-1●造血器腫瘍における新規治療の必要性
1 造血器腫瘍発症のメカニズム〈高折晃史〉
・がん遺伝子の活性化とがん抑制遺伝子の不活化の機序
・B細胞の分化成熟と発がん
・B細胞腫瘍の特異性とCAR-T療法
2 B細胞腫瘍における化学療法の現状〈錦織桃子〉
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
・濾胞性リンパ腫
3 B細胞腫瘍における新規治療〈錦織桃子〉
・免疫チェックポイント阻害薬
・二重特異性抗体
・その他の新規治療薬
1-2●CAR-Tの基本
1 CAR-Tの構造とその作用機序〈城 友泰〉
・キメラ抗原受容体(CAR)の構造とCAR-T細胞
・CAR-T細胞の作用機序
2 CAR-T臨床応用の歴史〈城 友泰〉
・CAR開発以前の免疫療法
・CARの初期開発
・CARの改良
・B細胞腫瘍に対するCD19標的CAR-T細胞療法の開発
・その他の標的抗原に対するCARの開発
3 保険診療で使用可能な製剤とその特徴〈城 友泰〉
・CD19を標的とするCAR-T細胞療法
・BCMAを標的とするCAR-T細胞療法
CHAPTER 2: CAR-T細胞療法導入の準備
2-1●採用準備と施設監査
1 チーム立ち上げの必要性と各メンバーの役割〈新井康之〉
・細胞療法センターの設立
・チームCAR-Tの立ち上げと任務
・臨床現場におけるチームCAR-T内での情報共有
2 施設維持のための文書管理〈松井恵子〉
・ノバルティスファーマ社によるGlobal Auditの経験から
・文書管理体系の確立
・施設維持のための手順書と記録書
・CAR-T細胞療法の実施のための文書管理
3 FACTやISOに基づいたQMS〈松井恵子〉
・CAR-T細胞療法における医療機関の位置づけと品質管理
・FACTやISOに基づくQMS
・品質リスクマネジメント
2-2●臨床現場での準備
1 準備すべき手順書や記録書〈新井康之〉
・アフェレーシスに関する手順書・記録書
・細胞調製に関する手順書・記録書
・細胞取り扱いに関する手順書・記録書
・細胞投与やその後の経過観察に関する手順
・細胞療法運用全体に関する手順
2 他施設や製薬会社との連携〈新井康之〉
・施設間連携の重要性
・製薬会社との連携の重要性
2-3●適格性と患者選択
1 保険診療上の適格性と施設における受入基準〈新井康之〉
・B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)
・悪性リンパ腫
・多発性骨髄腫
2 患者紹介のタイミングと日程調整〈新井康之〉
・患者紹介の最適化
CHAPTER 3: アフェレーシスと細胞調製
3-1●アフェレーシス
1 リンパ球アフェレーシスの原理と手技〈吉田和広〉
・バスキュラーアクセス
・準備
・採取原理と採取の実際
・装置関連のトラブルシューティング
2 アフェレーシスの計画と効率化〈城 友泰〉
・アフェレーシスの計画
・アフェレーシス効率化の取り組み
3 CAR-Tアフェレーシス中の症状と患者観察〈片山智元 村崎真紀子〉
・アフェレーシスの合併症
・体動制限などによる安楽障害・ADL低下
3-2●細胞調製
1 単核球の分離と凍結〈丹羽紀実〉
・遠心
・上清除去
・凍結保護液作成
・凍結保護液添加,凍結バッグへの分注
・凍結
2 アフェレーシス産物の品質管理と記録〈丹羽紀実〉
・アフェレーシス終了から単核球分離まで
・単核球分離中
・プログラムフリーザーでの凍結保存
・凍結保存終了から出荷まで
3 CD3測定の標準化〈渡邉珠緒〉
・機器・要員の管理
・検査実施
CHAPTER 4: CAR-T細胞療法前の管理
4-1●製造
1 製造状況の確認と製造失敗の予測〈城 友泰〉
・製造状況の確認
・製造失敗の予測
2 規格外製品治験の準備と運用〈松山倫子〉
・規格外製品とは何か
・規格外製品提供に関する規制
・規格外製品治験立ち上げのポイント
・スムーズな移行・実施のためのコツ
4-2●投与前治療
1 ブリッジング療法の内容とタイミング〈水本智咲〉
・化学療法の種類
・化学療法のタイミング
・放射線療法
2 リンパ球除去化学療法と処方監査〈谷口理沙〉
・リンパ球除去化学療法の目的
・リンパ球除去化学療法の用法・用量とハイドレーション
・腎機能低下時の減量
・併用に注意する薬剤
CHAPTER 5: CAR-T細胞投与後の管理
5-1●投与直後から急性期の管理
1 投与管理と観察項目〈福田裕子〉
・CAR-T細胞療法の主な副作用
・投与管理
・副作用管理(観察項目)
2 投与直後の観察と急性期対応〈諫田淳也〉
・サイトカイン放出症候群(CRS)
・免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)
・アナフィラキシー
・腫瘍崩壊症候群
・偽増悪(pseudo-progression)
3 CAR-T細胞療法後のICU管理〈平松英文〉
・CAR-T細胞療法の臨床応用
・ELIANA試験における知見
・Tisagenlecleucelの市販後の評価
・CAR-T細胞療法の主たる合併症であるCRS
・ICU管理に対する準備
・重症CRSの経過とマネージメントの実際
Column CAR-T療法後の重症化と集中治療〈甲斐慎一〉
5-2●投与後中長期の対応
1 治療効果判定と後治療〈北脇年雄〉
・大細胞型B細胞リンパ腫におけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療
・B-ALLにおけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療
・多発性骨髄腫におけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療
2 血球減少と免疫不全〈北脇年雄〉
・CAR-T療法後の血球減少
・CAR-T療法後の免疫不全
3 CAR-T細胞療法後のリハビリテーション〈濱田涼太〉
・リハビリテーション視点からのCAR-T細胞療法症例の特徴
・CAR-T細胞療法症例に対するリハビリテーション
CHAPTER 6: 細胞療法の未来
6-1●構築すべきシステム
1 細胞療法におけるデジタルトランスフォーメーション〈新井康之〉
・細胞療法におけるDXの例
・今後の課題
2 細胞療法における医療安全〈山本 崇〉
・新薬に関するリスク
・集中治療室入室に関する体制
・説明および同意の取得に関する体制
・適応外使用に関する体制
・不具合に関する対応
3 OJTに基づいた人材教育〈松井恵子〉
・OJTとは
・細胞培養加工施設(CCMT)での取り組み
・OJTとPDCAサイクル
・細胞療法を促進するために
6-2●将来展望
1 新規細胞療法の臨床開発〈深堀 理 中島貴子〉
・固形がんCAR-T療法の開発状況
・CAR-T細胞のoff-the-shelf製剤
・当院の取り組み,固形がん細胞療法チームの結成
2 リアルワールドデータ解析による治療成績の向上〈新井康之〉
・臨床現場からのクリニカルクエスチョン
・投与後の凝固異常症
・投与後の電解質異常
・再発予測
結びに
索引