免疫力を見極める 非結核性抗酸菌症(MAC症)診療【電子版】

- 出版社
- 南山堂
- 電子版ISBN
- 978-4-525-98580-6
- 電子版発売日
- 2025/03/07
- ページ数
- 240ページ
- 判型
- B5
- フォーマット
- PDF(パソコンへのダウンロード不可)
電子版販売価格:¥8,800 (本体¥8,000+税10%)
- 印刷版ISBN
- 978-4-525-26601-1
- 印刷版発行年月
- 2025/02
- ご利用方法
- ダウンロード型配信サービス(買切型)
- 同時使用端末数
- 2
- 対応OS
-
iOS最新の2世代前まで / Android最新の2世代前まで
※コンテンツの使用にあたり、専用ビューアisho.jpが必要
※Androidは、Android2世代前の端末のうち、国内キャリア経由で販売されている端末(Xperia、GALAXY、AQUOS、ARROWS、Nexusなど)にて動作確認しています - 必要メモリ容量
- 100 MB以上
- ご利用方法
- アクセス型配信サービス(買切型)
- 同時使用端末数
- 1
※インターネット経由でのWEBブラウザによるアクセス参照
※導入・利用方法の詳細はこちら
この商品を買った人は、こんな商品も買っています。
概要
目次
一言まとめ:MACの一般人口での既感染率は高く,膨大な感染者の一部が健診で発見されていることがわが国の増加の主因であろう.本来穏やかな経過を取る予後のよい疾患で,その半数以上で治療を必要とせず,自然治癒率も高い.
1章 MAC症の多彩な病像―免疫の視点からの解析
一言まとめ:MAC症には,肺野に肉芽腫を形成しきわめて緩慢な経過を取りしばしば自然消退する「肉芽腫型」と,浸潤性病変・空洞を形成し肺を破壊していく「浸出型」があり,その予後は異なり,治療方針も異なってくる.
2章 治療開始時期―治療はただちに始めるべきか,当面経過観察でよいのか?
一言まとめ:肉芽腫型が主である場合まずは経過を観察し,進展増悪があれば治療するwatchful waitingが標準的な対応である.空洞がある場合ただちに治療を始めるべきと推奨されるがその科学的根拠はない.空洞のタイプにもよる.
3章 MAC症の治療:レジメン,治療期間
一言まとめ:「標準治療」のレジメン,期間には科学的根拠はない.特にRFPについてはさまざまな負の問題が浮上しており使用されない流れとなっている.治療期間についてもエビデンスはなく,肉芽腫型で副作用が強い場合短めにしても何ら問題はない.丁寧な観察が肝要.
4章 空洞の考え方
一言まとめ:MAC症の空洞は一律に強力な治療を行う必要はない.肉芽腫型の空洞は制御は容易なことが多く,一方周囲に浸出性病変を伴う空洞は強力な治療を必要とする.気管支の嚢状拡張を空洞と誤認しないことも大切である.
5章 治療困難例にどう対処するか?
一言まとめ:肉芽腫型で年の単位で拡大していく場合は,その都度の短期化学療法に加えて運動療法,ストレスの除去などの生活指導でよい.一方浸出型で週~月の単位で進行する場合は,多剤治療,必要に応じて短期間のステロイドも考慮する.
6章 再発にどう対処するか?
一言まとめ:MAC症の治療後再発は特にNB型で多い.その75%は再感染である.初回の化療を延長しても再発率は低下しない.再発は起こってからの治療でよい.そもそも観察だけでよい場合も多い.
7章 運動と栄養の重要性
一言まとめ:治療抵抗性,もしくは再発を繰り返す場合,薬物療法だけではこれを制御できない.規則正しい運動(ウォーキング)の慢性炎症性疾患における有効性は今や国際的に確立されている.栄養療法も劣らず重要である.
8章 MAC症の治療目標
一言まとめ:菌陰性化を治療の至上目標とすることは時にいたずらに患者を苦しめ,患者の幸福を目指すべき医療のありかたとは背馳する.癌などの他疾患と同様に,長期生存,良好な肺機能,良好なQOLを目標とすべきである.
9章 自然経過で治癒するMAC症
一言まとめ:MAC症の自然治癒は10~20%で起こる.それだけヒトはMACと共存する能力を持っていると言える.患者が本来の免疫力が発揮できるよう環境を整えることも医師の仕事の一つである.
10章 MAC症と気管支拡張症
一言まとめ:MAC症は高頻度に気管支拡張症を合併する.MAC症という病気の本質的な展開様式の一部であり,これに対して化療や宿主免疫は必ずしも有効でない.しかし適切に対処すれば恐れる必要はない.
11章 MAC症と肺癌
一言まとめ:MAC症には肺癌が合併しやすい.最大の問題は定期的な観察中に肺癌が出現してもMAC症陰影の中に紛れて発見が遅れがちということである.常にそれが起こりうるということを念頭に注意深い読影と対処が求められる.
12章 RAに合併するMAC症
一言まとめ:RA患者にはMAC症が多い.RAには高率に気道病変,間質性肺炎が合併しこれらがMAC症の母地となるためである.しかし適切に対処すれば予後は一般人と同じである.生物学的製剤など必要な治療は行ってよい.