
J. of Clinical Rehabilitation 31巻10号
嚥下造影検査所見の解釈と対策
嚥下造影検査所見の解釈と対策
飲食物を食べ飲み込むことは,人が生きていくうえで必要な栄養を取り入れるという基本的行為であるというだけでなく,人間らしく生きていく誇りや喜び,そして幸せとも関係が深いものである.そのため,この機能が障害された場合に,回復を強く願う人は多く,リハビリテーション(以下リハ)治療においても,最も重要な治療対象として取り扱われることになっていく.
リハ治療における治療戦略の組み立てに際しては,何が治療ターゲットであっても機能評価が欠かせない.たとえば歩行がターゲットであれば,歩行に関連する筋力やバランス等の丁寧な評価に基づいて歩行訓練の計画が練られる.摂食嚥下リハも同様で,正しい機能評価が適切な治療方針の礎となる.ところが,摂食嚥下の機能評価には,ひとたび食物が口に入り唇を閉じてしまえば,食物を直接観察することができなくなるという特殊性がある.食物摂取中の対象者の動きや反応(ムセ等),音等を頼りに評価していく方法論はある程度確立しているものの,食物が見えていない状態で機能推定をしているに過ぎないという弱点を,臨床経験を積めば積むほど思い知らされてしまうのが実情ではないだろうか.
嚥下造影検査(以下,VF)は,嚥下の準備期から食道期までを包括的に見える化するもので,最も重要な異常所見である誤嚥や咽頭残留の見落としが少ない優れた検査法である.検査法としての歴史もあり,疾患や病態ごとに,どのような嚥下動態(異常所見)が録画できるかについての知見も積み上げられ,標準的な実施方法については,2001年に日本摂食嚥下リハビリテーション学会より示され,さらに改訂も続けられている(2014年版が最新).そのため,VFによって得られた正常所見と異常所見から,嚥下機能を読み取ったうえで,リハ治療計画に結びつけるという作業は,多くのエキスパートが臨床現場で当たり前に日々くり返していることである.ところが,疾患別や病態別の嚥下動態に関する解説は充実している一方で,VFで発見する異常所見をどのように解釈して治療計画に結びつけていくかという,思考過程の解説はあまりされてこなかったと思われる.思考過程の習得は,解説を読むだけで簡単に身につくものではないかもしれないが,読者の臨床過程に少しでも溶け込み,適切にVFを活用できるエキスパートが増えるきっかけとなることを,この特集に期待する.(編集委員会)

医療観察法と司法精神科作業療法 臨床ハンドブック
医療観察法に基づく医療(医療観察法医療)において、作業療法士はその黎明期から専門的多職種チーム(Multi-Disciplinary Team:MDT)の一員として、一般精神科医療の対象者に比べて、より複雑なニーズを抱える医療観察法対象者の治療に携わってきた。
本書は、司法精神科作業療法を臨床現場でより効果的に実践するために、また精神障害領域以外の方々にも医療観察法医療と司法精神科作業療法の現状を広く知ってもらうために、医療観察法の施行以来、これまで司法精神科に深く関わってきた経験豊富な作業療法士がその経験知と実践知を余すところなく披露。
医療観察法病棟に勤務する現任の作業療法士や、新たに医療観察法病棟に配置される作業療法士、指定通院医療機関を中心に地域で医療観察法対象者のケアに関わる作業療法士にとって必携の一冊。

関節外科 基礎と臨床 Vol.41 No.10
2022年10月号
【特集】運動器疾患に対する体外衝撃波療法
【特集】運動器疾患に対する体外衝撃波療法

ICUとCCU 2022年7月号
2022年7月号
特集:わが国における臓器移植医療の現状と未来
特集:わが国における臓器移植医療の現状と未来

小児科診療 Vol.85 No.10
2022年10月号
【特集】食物アレルギー 「食べる」ということを根本から見なおしてみる
【特集】食物アレルギー 「食べる」ということを根本から見なおしてみる 食べることは日常生活そのものです.疾患の基礎知識と最新の動向をおさえつつ,当事者の生活を支える視点での対処法も考える特集です.

産科と婦人科 Vol.89 No.10
2022年10月号
【特集】産婦人科における素朴な疑問と解説(1)婦人科編
【特集】産婦人科における素朴な疑問と解説(1)婦人科編 月経はなぜあるの?という本質的な疑問や子宮腺筋症の原因は?という最近の知見に対する疑問など素朴で答えにくい婦人科の16コの「なぜ?」について解説いただきました.

ココが知りたい 清拭クロスを使った清掃・消毒
◆環境消毒は重要! では環境清拭クロスはどうやって選べばいいの? どうやって使えばいいの? にすべて答えたこれまでにない一冊が登場!
◆「除菌」「抗菌」「抗ウイルス効果」など、謳い文句も性能も様々な環境清拭クロス。医療施設・介護福祉施設の感染対策に長年携わってきた筆者がわかりやすく的確に解説。これであなたもクロス選びにもう迷わない!!

赤ふん坊やと学ぶ! 地域医療がもっと楽しくなるエッセンス111
「ここの地域の医療は何もかもが理想的で、すべてが完璧」、「このまちの医療は素晴らしすぎてもう望むものは何もない」という場所は日本全国どこにもありません。それぞれの地域に根差した医療を実現させるため、地域医療・介護従事者らは、行政関係者、住民の皆さんと一緒に解決策を探しています。地域課題解決には終わりがなく、だからこそ楽しい一面もあるのです。凝り固まってしまった考え方を少し変えてみたり、患者さんのご家族に思いを馳せてみたり、今日からできることはいろいろあります。
本書では福井県高浜町のマスコットキャラクター“赤ふん坊や”の4コママンガで面白おかしく地域の問題を取り上げ、解決策を探っています。真似できることもたくさん! 自分ひとりだけで背負うのではなく、多職種で地域医療を上手に支えていきませんか?
序文
地域医療の現場に出て、早14年半が過ぎようとしています。
子どもの頃、インフルエンザや胃腸カゼでかかった地元の個人診療所。医療機関なのに落ち着いた雰囲気で、挨拶や会話を交わす周りの患者さんの表情も穏やか、居心地のよさすら感じるあたたかい医療の現場を、朧げに想像しながら医師になった自分。
研修医として総合病院で研鑽する中で感じたのは、生来健康で現役専業農家の70歳男性の肺炎と、寝たきり・施設入所中の90歳男性の肺炎が、ほぼ同じ土俵―起炎菌は? 抗生剤の選択は? 入院適応は? 呼吸状態の管理は?―で議論されていることへの違和感でした。肺炎が治っても、本質的な問題解決にならないのではないか? あの診療所ならどう対応するのだろう? という思いが膨らみ、悩み抜いた結果、生活現場に近い医療を学ぼうと、卒後4年目で高浜町の町立無床診療所に赴任しました。確固たる研修制度もなかった当時、卒後4年目で地域医療の現場に飛び込むというのは、無謀で珍しいことだったんだと思います、ある都道府県のへき地医療担当者にすら止められたぐらいですから(笑)! 実際に地域医療の現場に立ってみると、おそらくこれはその担当者が心配していたこととは別のことだと思いますが、すぐにその難しさを体感しました。それまで病気を診て病気を治していればよかったものが、患者さんを本質的に理解し、時には家族や地域に視線を向け、全体的に最適な医療を提供する必要があったためです。疾患、患者さん、家族、地域と、視野の倍率を下げて広角にみていくと、目指すべきゴールや理想までがぼやけてしまうのを感じましたし、それに対して絶対的な正解が用意されていないことも確認できました。それでも、理想の医療、理想の地域を追い求めて試行錯誤を繰り返し、現在に至ります。
本書は、そんな14年間の学びと実践の試行錯誤から得た知識と知恵をまとめ、私と同じように目前のキュア・ケアが腑に落ちない地域医療従事者の皆さんが、多少のヒントと思考の後押しを得ていただくために執筆した、「きっかけの書」です。気軽に読んでいただけるように、やわらかい文章でマンガとともにお届けしています。流して全部読んでいただいても、気になる項目だけ読んでいただいても、マンガだけ読んでいただいてもかまいません。私が長年お世話になっている福井県高浜町のマスコットキャラクター「赤ふん坊や」と一緒に、楽しく医療と地域を読み解くことで、読み終えた後に、もっと地域に根差したい、もっと人・地域と向き合いたいと思っていただくことを目指しています。人を想い、地域が大好きな方すべてに本書が届き、共に地域医療を楽しめることを祈っています。

みえる生命誕生 改訂新版
受胎・妊娠・出産
助産学・母性看護学・産科学に関連した目をみはる美しさのビジュアル図鑑.手に取りやすいサイズになってリニューアル! 生殖器の解剖から,遺伝,周産期(生殖・妊娠・分娩・産後)の正常過程と異常過程,不妊治療や生殖医療まで―豊富なイラスト・写真・超音波像・X線像にコンパクトな解説がつき,“教科書”だけではイメージできなかった知識を視覚的に理解できる.参考書や臨床で使える資料としてはもちろん,妊娠・出産に興味をもつ一般読者にも有用な一冊.

麻酔Vol.71 No.9
2022年9月号
周術期における免疫学:基礎と臨床
周術期における免疫学:基礎と臨床 免疫学は炎症、がん、移植、自己免疫など、医学の広い領域を扱い、集中治療領域では基盤となる学問分野であるが、一般の麻酔科医が必ずしも精通していない領域である。周術期における免疫応答に関連する諸問題を考えるために、免疫学の基礎から臨床までを解説した。

麻酔Vol.71 No.8
2022年8月号
投稿論文掲載号

形成外科 Vol.65 No.9
2022年9月号
私の乳房再建選択アルゴリズム
私の乳房再建選択アルゴリズム 乳房再建手術に関わる形成外科医は,一定のアルゴリズムをもって再建に臨んでいる。選択する項目としては,再建をするかしないか,一次か二次か,一期か二期かなどのほか,それらを選択する基準に,患者の希望,年齢,癌のステージなどがある。どのような基準で再建法や再建材料を選択しているか,各著者のアルゴリズムを解説した。

形成外科 Vol.65 No.8
2022年8月号
顔面骨骨折の診断と治療
顔面骨骨折の診断と治療 近年の交通事故の減少,シートベルトの普及などにより,発生数の減少が見られるが,顔面骨骨折は形成外科医にとって日常的な疾患であり,基本分野として身につけるべき診療分野である。本特集ではツールの進歩によって診断学・治療学も変化していることを踏まえ,近年の顔面骨骨折の標準的な診断と治療を,形成外科レジデント向けに企画した。

泌尿器外傷診療ガイドライン 2022年版
泌尿器外傷全般に関して臓器別にCQ形式で編集された本邦初のガイドラインです。
腎尿管外傷、膀胱外傷、尿道外傷、生殖器外傷の4つの領域に分けられ、30のCQで構成されています。
実臨床での疑問が解決され、すぐにでも役立つガイドラン!
是非、ご覧ください。

デキる看護師の検査値note
看護師が統合的なアセスメントを実践するには,①患者との医療面接,②臨床検査・画像検査などのデータ,③身体所見・病歴の理解,が必要です.本書では,そのひとつである「検査値」についてアセスメントに必要な情報をまとめました.忙しい臨床で直感的に判断しがちな検査データも,理論的に読み解くことができれば,常に的確な患者ケアを行い,医師と意思疎通が図れる「デキる看護師」になります.本書は,看護師がよく直面する9つのシーンを切り口に,病態生理の解説,検査値の評価方法,症例を用いたアセスメントの実践で構成しました.また,執筆者らによるwebセミナーも配信中です.本書とともに見ることで,さらに理解が深まりアセスメント力が身に付きます.

臨床雑誌内科 Vol.114 No.5
2014年11月号
高齢者の感染症はこう診る-外来・病棟から在宅まで
高齢者の感染症はこう診る-外来・病棟から在宅まで 1958年創刊。日常診療に直結したテーマを、毎号"特集"として掲載。特集の内容は、実地医家にすぐに役立つように構成。座談会では、特集で話題になっているものを取り上げ、かつわかりやすく解説。

総合リハビリテーション Vol.50 No.9
2022年 09月発行
特集 脊髄損傷の多角的マネジメント
特集 脊髄損傷の多角的マネジメント リハビリテーション領域をリードする総合誌。リハビリテーションに携わるあらゆる職種に向け特集形式で注目の話題を解説。充実した連載ではリハビリテーションをめぐる最新知識や技術を簡潔に紹介。投稿論文の審査、掲載にも力を入れている。5年に一度の増大号は手元に置いて活用したい保存版。雑誌電子版(MedicalFinder)は創刊号から閲覧できる。 (ISSN 0386-9822)月刊,増大号を含む年12冊

臨床泌尿器科 Vol.76 No.10
2022年 09月発行
特集 男性不妊診療のニューフロンティア 保険適用で変わる近未来像
特集 男性不妊診療のニューフロンティア 保険適用で変わる近未来像 泌尿器科診療にすぐに使えるヒントを集めた「特集」、自施設での手術テクニックを紹介する「手術手技」、話題のテーマを掘り下げる「綜説」、そして、全国から寄せられた投稿論文を厳選して紹介する。春に発行する書籍規模の増刊号は、「外来」「処方」「検査」「手術」などを網羅的に解説しており、好評を博している。 (ISSN 0385-2393)
月刊,増刊号を含む年13冊

精神医学 Vol.64 No.9
2022年 09月発行
特集 学校で精神疾患を「自分のこと」として教育する
特集 学校で精神疾患を「自分のこと」として教育する 時宜にかなった特集、オピニオンを中心に掲載。また、臨床に密着した「研究と報告」「短報」など原著を掲載している。「展望」では、重要なトピックスを第一人者がわかりやすく解説。
(ISSN 0488-1281)月刊,増大号を含む年12冊

医学のあゆみ282巻12号
ウェアラブルデバイスと未来の医療
ウェアラブルデバイスと未来の医療
企画:水島 洋(国立保健医療科学院研究情報支援研究センター)
・近年,ウェアラブルデバイスによる健康管理が可能になってきており,深部体温や心電図,発汗量,昇降高度,SpO2なども測定可能になっている.
・さらに血糖値の連続測定が可能な機器もあり,食後のスパイク血糖値がはかれるばかりではなく,食事指導や栄養指導との連携も期待されている.
・新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の流行対策として,医療の情報化の現状の課題が多く指摘されてきたなかで,新しい動きが進みつつある.