言葉の力、作業の力
自己を対象とした事例研究を読み解く
長年うつ症状に悩まされ,名医の治療を受診しつつも「言葉」による対話型の精神療法に限界を感じていた著者.ある日,なにげない作業を通して,自分の心が解き放された経験をきっかけに,「作業」をさらに深く理解したいと大学院での研究を思い立つ.その思いに突き動かされ,精神科作業療法の第一人者 山根寛教授を見出し,京都大学大学院の院生として作業療法の治療的機序の研究と,うつ病の当事者として,自身の体験を通して治療効果を確かめたい旨を山根教授に申し出る———————————.
本書は当事者である著者が作業療法士である山根寛教授の指導のもとで,作業療法を実際に体験し,自身を事例に研究,最後には学会にて発表するに至るまでの過程について,著者自身による記録と山根教授による解説によって記されている.著者がどのような体験をし,どのような作業の効用を感じていたのか.また,精神療法(言葉)と作業療法(作業)の持つ力やその相関性とはどのようなものなのかが凝縮された一冊となっている.
さらに,本書の巻末には主治医であり,わが国の精神医学界の泰斗笠原嘉医師も交えて著者,山根教授の鼎談にてそれぞれの思いを語り合っていただいた.
作業療法の本質,とりわけ当事者の体験を通してしか知ることができない,作業の持つ力やそのありかたを学ぶことのできる,わが国にはこれまでにない新しい形の精神科教本である.
頸損晩夏
創りつづけた頸髄損傷35年の生活の記録
著者は26年前に「明日を創る」という本を出版している.事故で頸髄損傷となり,首から下の機能を失いながらも,自宅に戻り,自立した日常生活が送れるようになるまでを描いたものだ.その表紙の装丁,イラストも口にくわえた電子ペンで息を使って自ら描き、本文もマウススティックで打ち込んで仕上げた.当時なんの福祉機器もなく,多くの頸損当事者が寝たきりのままの生活を強いられ,失意のどん底にとどまっている中にあって,彼の自立は奇跡にふさわしかった.著者がどのように自立の道を探っていったのか,その仕掛人となった支援者たちとの交流を克明に記録したその本は,当時,当事者,専門職を問わず全ての人々に広く感動を与えた.
それから26年の歳月が過ぎた.著者はその後も活動を続け,障がいを持つ人の社会参加,就労支援,政策提言をも行っている.いつの間にか支援される側から支援する側になっていたのだ.しかし,麻痺した手足は一度として動くことのないように,動くことのない社会的現実とも直面してきた.障がい者の内側にも,彼らを取り巻く外側にもバリアーは厳然と存在し,簡単には超えることはできない.本書は、受傷当時に支えあった仲間が再会し,奇跡の出会いからの日々を,それぞれが体験した26年を振り返り著した,明日障がいを持つかもしれない仲間たちへのアドバイスとメッセージである.
リハビリテーション職種のキャリア・デザイン
資格があっても仕事が無い?!
これからの将来、リハビリテーション職種=PT・OT・STの雇用は不安定になり、労働市場において極めて熾烈な競争を強いられることになります。近い将来に生じるPT・OTの過剰供給、地域包括ケアシステムの推進、高齢者数の増加の頭打ち、ロボットテクノロジーなどの技術革新、国家財政のひっ迫等が、リハビリテーション職種に熾烈な競争を強いる原因となります。
不確かな時代の中で、不安を感じているリハビリテーション職種の方は少なくありません。
「長い将来、この仕事をやっていけるのか?」
「将来に漫然とした不安がある」
「自分がやりたいことがみつからない・・・」
将来の自分を思い描けていますか?
現代は、全てのリハビリテーション職種にとってキャリア開発の視点が不可欠な時代といえます。
リハビリテーション職種を目指す学生・若手が自分に向き合い、自分の人生を切り開くためのキャリア・デザインの方法論をわかりやすく解説します。
エキスパートによる生殖領域の外科的手法
生殖内視鏡と不妊治療のコツ
生殖医療における外科手術や侵襲的検査は,身体的にはもちろん,精神的な苦痛を強く感じうる.本書では,内視鏡下手術や子宮鏡,精管造影の検査など,術者の技量で患者の満足度やQOLに大きな差異が出てしまうこれらの手法についてまとめた.執筆陣には,今まさに現場で活躍しているエキスパートを揃え,経験に裏付けされたコツと知識をできるだけ詳細に解説してもらった.明日からの手技が変わる,叡智が詰まったバイブルである.
日本排尿機能学会標準用語集 第1版
下部尿路機能およびその障害に関する標準用語集の最新版.International Continence Society (ICS,国際禁制学会)が出版した標準用語報告書のうちの主な3編に,International Children’s Continence Society (ICCS,国際小児禁制学会)の1編を加え,学会を代表するエキスパートたちが,これらに準拠して編集した.下部尿路機能障害の診療・研究に携わる本邦の専門家が,学術活動の場で使用できる共通言語を提供する.
リーダーのための育み合う人間力
自分も周りも大事にして元気な職場をつくる
現任リーダーは1人で抱えてがんばりすぎていませんか? 次世代リーダーは自分に務まるのかと不安を抱えていませんか? 変化の激しい時代は、能力が高く強いリーダーが1人いたところでどうにもなりません。求められるのは、各人が強みをいかしてリーダーシップを発揮できるようにしかけをつくり、仲間と一緒に育ち合う場をつくれるリーダー。そのために必要な人間力の育み合い方をトップマネジャー歴17年のオカンが伝えます。
進展ステージ別に理解する
心不全看護
心不全の病態と必要なケアを、病の軌跡にそって、リスクのある状態(ステージA)から難治性心不全(ステージD)まで、進行ステージ別に解説する。器質的疾患の予防、心不全の初回発症の予防、心不全発症後の再入院予防、心臓リハビリテーション、補助人工心臓を使用する患者へのケア、緩和ケアのポイントがわかる。心不全患者の退院支援や在宅ケアについても解説する。「心不全パンデミック」時代に必携の1冊。
看護管理 Vol.30 No.5
2020年05月発行
特集 今こそ再考したい事業継続計画(BCP) 地域医療とスタッフをどう護る?
特集 今こそ再考したい事業継続計画(BCP) 地域医療とスタッフをどう護る? 近年,甚大な自然災害が毎年のように発生しています。診療継続をはじめとする病院運営全体に支障を来した病院が多数発生した状況から,厚生労働省は全病院に対して初めて事業継続計画(BCP)の策定状況に関する調査を行いました。その結果,BCPが要件となっている災害拠点病院を除く一般病院では,策定が進んでいない状況が明らかになりました。現在,新型コロナウイルスの感染が拡大し,現在進行形で事業継続への対応が迫られています。診療機能や地域医療,そしてスタッフを護るため,多職種によるBCPの早期策定,あるいは見直しが求められています。本特集では,BCP策定の基本的な考え方と,各施設の取り組みを紹介します。
助産雑誌 Vol.74 No.5
2020年05月発行
特集 妊娠期からできる虐待防止の方策 「気になる妊婦」を見つけるための連携と支援
特集 妊娠期からできる虐待防止の方策 「気になる妊婦」を見つけるための連携と支援 昨今,世間では痛ましい虐待事件が多発しています。本来愛されるべき子どもが傷つけられ,果ては亡くなってしまうニュースを見るたび,こうした子どもたちを何とか救うことができたのでは?と思う方も多いのではないでしょうか。また,日常の業務を振り返ると,何となく「気になる」と思った妊婦はいませんでしたか? 確かに直感ではあるものの,何となくおかしいと感じる─こうした妊婦を早い段階で他職種につなぎ,連携をとって関わっていくことができれば,将来発生するリスク・事件を未然に防ぐことができると考えられます。本特集では,「気になる妊婦」や「特定妊婦」といった虐待リスクの高い妊婦への支援方法と実際を取り上げ,助産師が関われるタイミングで,虐待を未然に防ぐためにできることを考えます。
訪問看護と介護 Vol.25 No.5
2020年05月発行
特集 「喪失」に直面する人へのケア
特集 「喪失」に直面する人へのケア 「喪失」は、誰もが人生の中で幾度となく経験するものです。「老化や病気、障害によって心身の健康が損なわれる」「死別によって大切な人を失う」。在宅ケアの現場ではこのような形で喪失体験をもつ人と出会い、それに伴って生ずる悲嘆や葛藤に対するケアが求められることになります。「喪失に対するさまざまなケアこそが、在宅ケアである」。そう言っても過言ではないのかもしれません。本特集では、喪失とそれに対するケア(特にグリーフケア)という視点から、その意義と必要性を確認していきます。(企画協力)坂口 幸弘(関西学院大学人間福祉学部人間科学科教授)
保健師ジャーナル Vol.76 No.5
2020年05月発行
特集 母子保健の危機 援助職としての源流
特集 母子保健の危機 援助職としての源流 近年の児童虐待相談対応件数の増加や,虐待による子どもの死亡事件の発生が続いたことを踏まえ,2018年に「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」が設けられ,さらなる対策の強化が進められている。児童相談所と警察との全件情報共有の動きも広がる中,本特集では,「取り締まり」や「監視」ではない虐待防止につながる支援のあり方をさまざまな視点から紹介し,援助職として子どもの虐待防止にどのように取り組むべきかを考える。
看護教育 Vol.61 No.5
2020年05月発行
特集1 ナイチンゲール生誕200年に看護を考える/特集2 遠隔授業はより身近に
特集1 ナイチンゲール生誕200年に看護を考える/特集2 遠隔授業はより身近に 2020年5月に、ナイチンゲールの生誕200年を迎えます。看護の礎を築いた彼女が生まれてから2世紀、さらに時代の区切りとしても2020年代が始まる節目の年になります。この機会に、わが国の看護教育の来し方行く末を見てこられた先生方に、ナイチンゲールと現在の看護教育のつながり、そして、これからの看護に求められるものについて、お言葉を寄せていただきました。/通信回線の高速化やソフトウェア・サービスの普及によって、インターネットを介した授業がしやすくなり、大学はもちろん、小・中・高等学校でも遠隔授業の取り組みが広まっています。昨年発表された「看護基礎教育検討会」の報告書でも、教育環境に関して、遠隔授業が実施可能であることがあらためて示されました。
遠隔授業には、学外の専門家に授業をしてもらったり、他校と学生同士が交流をもちながら合同授業を行ったりと、さまざまな可能性があります。その実践例について知ることで、限られた資源のなかで高い教育効果を生み出すための選択肢を増やすヒントとなれば幸いです。
病院 Vol.79 No.5
2020年05月発行
特集 地域包括ケアで輝く病院
特集 地域包括ケアで輝く病院 高齢化が進み、良質な地域包括ケアを提供するシステムをいかに構築するかが問われている。なかでも病院には、変わりゆく医療ニーズに的確に対応し、地域の中核的施設としての役割が求められている。本特集では現状を踏まえ、今後の方向性を探るために、すでに地域で機能しつつある好事例から具体的戦略を学ぶ。
臨床画像 Vol.36 No.5
2020年5月号
【特集】結核の画像診断
【特集】結核の画像診断
関節外科 基礎と臨床 Vol.39 No.5
2020年5月号
【特集】アスレティックリハビリテーションの奥義
【特集】アスレティックリハビリテーションの奥義
臨床眼科 Vol.74 No.5
2020年05月発行
特集 第73回 日本臨床眼科学会講演集[3]
特集 第73回 日本臨床眼科学会講演集[3] -
臨床外科 Vol.75 No.5
2020年05月発行
特集 taTMEのすべて〔特別付録Web動画付き〕
特集 taTMEのすべて〔特別付録Web動画付き〕 直腸癌手術における重要な選択肢としてtaTME(trans anal total mesorectal excision;経肛門的全直腸間膜切除術)は昨今世界的な広がりを見せている.その大きな理由として腹腔鏡手術の課題であった骨盤深部での操作性に優れていることが挙げられ,taTMEによる手術成績向上が今後期待される.一方,経腹アプローチと異なる解剖学的なメルクマールの理解や,技術的なピットフォールが多々あり,近年の国際的な臨床試験から示されたように腹腔鏡下TMEは根治性の確保という観点からも決して容易な手術ではない. そこで,今回の特集ではtaTMEの手技に焦点を絞り,(1)安全に行う,(2)標準化する,(3)より高度な手技への展開という観点から,「taTMEの手術手技を極める」ためにご解説いただいた.本特集を役立てていただければ幸いである.
編集室より:本号では関連する動画を配信しています。ぜひご覧ください。
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理学療法ジャーナル Vol.54 No.5
2020年05月発行
特集 投球障害を捉える 動作,機能解剖,エコーの活用,予防に対する理学療法士の英知
特集 投球障害を捉える 動作,機能解剖,エコーの活用,予防に対する理学療法士の英知 投球動作は下肢からボールへの流れがある複雑な動作であるため,要素主義による対応にも限界がある 反面,パフォーマンスのアウトカムデータが確立されているとは言えない.しかしながら障害をみる視点の 違いにより,マクロ,ミクロ,予防,治療などさまざまな観点からの工夫がなされてきた.モーションキャプ チャーやエコーなどを用いる新しい観点やフィールドで利用可能な類似点からモニタリングする理学療法士 の英知が結集する領域でもある.人の動きを深く知るための絶好な話題であり,他のスポーツ動作の目標に も数えられる.
臨床泌尿器科 Vol.74 No.4
2020年04月発行 (増刊号)
特集 泌尿器科診療の最新スタンダード 平成の常識は令和の非常識
特集 泌尿器科診療の最新スタンダード 平成の常識は令和の非常識 -
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 Vol.92 No.6
2020年05月発行
特集 高齢者のめまいを治す
特集 高齢者のめまいを治す -
