
皮膚科の臨床 Vol.64 No. 10
2022年9月号
肉芽腫症
肉芽腫症
本特集では,多臓器を侵す原因不明の全身性疾患である「サルコイドーシス」を中心に,「肉芽腫症」の症例報告をまとめました。診断確定に必要な組織所見・各種画像検査の所見など,実臨床に役立つ知識が豊富に盛り込まれています。日々の診療に是非お役立てください。
エッセイ憧鉄雑感などの連載記事も好評掲載中!

手術 Vol.76 No.10
2022年9月号
癌外科医必読 腹膜播種の治療戦略と手術
癌外科医必読 腹膜播種の治療戦略と手術
手術がうまくなりたい消化器・一般外科医のための専門誌。マニアックなほど深堀りした特集内容やビジュアルでわかりやすい手術手技の解説を特長とする。本号の特集テーマは“腹膜播種”。日本腹膜播種研究会の『腹膜播種診療ガイドライン2021年版』の執筆メンバーを中心とする腹膜播種診療のプロフェッショナルが,がん種・病態ごとの治療戦略などをわかりやすく解説。他に類を見ない癌外科医必読の特集となっている。

整形・災害外科 Vol.65 No.10
2022年9月増大号
骨端症の現状と実際
骨端症の現状と実際
本特集では日常診療で遭遇することの多い骨端症であるOsgood-Schlatter病やPerthes病から,比較的珍しい骨端症まで網羅的にわかりやすく解説した。また,成長期のスポーツ障害としての骨端症の予防,超音波による診断や体外衝撃波療法など,最近の話題も多く取り上げた。

作業療法士プロフェッショナル・ガイド
作業療法士とは何か
現時点での作業療法士の知識,技術,振る舞い,態度,身につけるべき資質を平易に記述.各項目はエッセンス,本文(自らの体験を通して気がついたこと,苦労したこと,充実したこと,失敗,成功談など実践に役立つノウハウ,秘訣など),メモ(押さえておきたいこと,ちょっとしたウンチク関連用語の解説),マンガ,参考図書,文献,ワークショップ,問題提起で構成されている.

そうだったんだ!脂肪酸
循環器疾患との深い関係
PUFAあるいは脂肪酸といってもピンとこない方のために,本書は,PUFAに関する知識の乏しい初心者向けに,その作用機序から最近のエビデンスに至るまで,その分野のエキスパートが,わかりやすく記述することにより,医療従事者のPUFAに対する理解を深めることを目的とした.図版143点,表組30点,カラー写真9点,モノクロ写真1点.

今日の心臓手術の適応と至適時期
心臓手術に関する種々のガイドラインが出版され,外科医の技術的進歩にも目を見張るものがある.一方,各種のインターベンション治療,さらには薬物治療を含む内科的治療も大いに発展してきた.そのような進歩を踏まえ,本書は,患者・疾患を中心として,一方では内科医と外科医が協力して治療し,他方では互いを厳しく監視し合うという医療環境を目指すために心臓病専門医が手術を考える際の現在のゴールドスタンダードを示す.

琉球すみれ
木村浩子歌集
わが庭に舞踏会のごと華やぎて琉球すみれ群れ咲く朝(あした)
生き方そのものがドラマであり、詩である著者からの希望のメッセージである。
——短歌とは、他の文章とは違い、知れば知るほど深い意味が感じられ、日本人であることを喜び、また沖縄に移り住むようになって琉歌を知り、それを強く感じさせられています。しかし、琉歌は、わたしにとって、これからの学びの第一歩です。沖縄は、日本国ではありますが、いろいろな面で厳しくまた人間的なやさしさを感じさせられています。そのことは今後のわたしの人生の課題でもあります。(「あとがき」より)
唯一自由に動く左足指で絵を描き、短歌を作り、生活する重度障害者である著者。世界身体障害者芸術家協会会員であり、人間のやさしさをふっと感じさせる童画や俳画を主に描いてきた。
また、反戦・平和・障がいなど絵にできない心象には、その気持ちを短歌の短い言葉の中に込める。本書はこれまで約60年間に培ってきた短歌を選りすぐって集大成したものである。「人が好き、土が好き、そして私が好き」と人類愛を謳い、自然を賛美する透徹した眼差しが強く読者の心に届けられるだろう。

OPJリエゾン2022年秋号
診療報酬改定で二次性骨折予防継続管理料、緊急整復固定加算・緊急挿入加算が新設され、大いに注目を集める骨折リエゾンサービス。
特集では、以前からリエゾンサービス活動をしている看護師、理学療法士、医師が集まり、今回の診療報酬改定をどう活かし、どのようにリエゾンサービスをより地域に広げていくか語り合いました。
リエゾンサービスをすでにやっている人も、これから始める人にも参考になる内容です。

臨床栄養 141巻3号
ライフステージ・病態からみた肥満症の治療と栄養戦略
ライフステージ・病態からみた肥満症の治療と栄養戦略
肥満症は糖尿病や腎障害などの健康障害をもたらすため,本来は早期から治療介入すべき疾患である.しかし,わが国では自己責任論(≒スティグマ)が根深く,結果として透析導入患者が増加するなど医療経済的な問題にまで発展している.治療の基本は食事,運動,行動療法による減量であるが,残念ながら長期的な有効性は証明されていない.肥満症は遺伝的素因,食欲中枢異常,心理社会的な問題などが密接にかかわっているからである.いま,肥満症治療は変革期を迎え,減量・代謝改善手術はもちろんのこと,15%以上の減量効果を誇る薬剤の登場もいくつか控えている.しかし,それらによる治療のみで患者の病態や精神心理面まで改善するわけではない.とくに栄養面は重要で,たとえ手術や薬剤の介入があったとしても,病態はあくまで摂取した栄養の量やバランスで決定される.
患者が出生時から老年期までの人生を歩む中で,どのライフステージや病態においても,肥満症の問題は原則減量が解決する.しかし,医療の現場では,小児科から成人科へのトランジション,外科やメンタルヘルスとの連携,健康障害に応じた各専門科との連携,設備や受け入れ体制など,未解決の問題が山積みである.栄養管理面でも,たとえば小児や高齢者,妊婦の場合,腎障害を合併している場合に,減量を優先すべきか,栄養素の配分はどうするべきか明確な指針が存在しないため,漫然とした食事指導がなされているケースは多い.今回の特集は「ライフステージ・病態からみた 肥満症の治療と栄養戦略」と題し,小児期については花木啓一先生に,内科的治療全般については川瀬弘多郎先生と田中智洋先生に,減量・代謝改善手術前後の栄養管理は鮫田真理子先生に,腎障害合併例については金居理恵子先生に,透析患者については廣木奈津子先生に,肥満合併妊娠については竹田善治先生に,老年期については竹本 稔先生にご執筆いただいた.各領域のジレンマに対して最新の知見がわかりやすく解説されており,肥満症治療にかかわる管理栄養士はぜひ一読されたい.肥満症は心身両面に関与する「リバウンドする病気」であり,多職種チームによるフォローアップが大切であるという理解がより進むことを期待する.(特集にあたって)

糖尿病プラクティス 39巻5号
糖尿病領域におけるデジタル診療の最先端─情報通信技術は新たなる大海原の羅針盤たりうるか─
糖尿病領域におけるデジタル診療の最先端─情報通信技術は新たなる大海原の羅針盤たりうるか─
繰り返される新型コロナウイルス感染症のパンデミックのもと,新しい社会システムの構築が喫緊の課題であり,対策として一層のデジタル化が進められてきた.また,政府は近未来を「Society5.0」と位置づけ,多様なIT端末からサイバー空間に収集されたビッグデータを人工知能(AI)が解析し,フィジカル空間に還元するシステムが多くの社会課題を解決するものとして期待されている.デジタル化は医療・健康分野においても進められており,健診や診療の情報が統合・連携され,また個人が収集した健康データのIoT(Internet of Things)連携による診療が研究開発されている.糖尿病はデジタル化と親和性の高い疾患として注目されている.そこで,今回の特集は「糖尿病領域におけるデジタル診療の最先端─情報通信技術は新たなる大海原の羅針盤たりうるか─」をテーマとし,近未来のデジタル化糖尿病診療について総論から各論まで,第一人者の先生方に解説いただいた.
最初にデジタルヘルスに関する総論として,医療情報のエキスパートである萩原郁哉先生と脇 嘉代先生からPHR(Personal Health Record)やデジタルセラピューティクスについて国内外の知見もふまえ解説いただいた.特に,国内でこれから進めるべき方向性は示唆に富むものである.次に先進糖尿病治療のトップランナーである川村智行先生から,糖尿病診療の本幹である血糖値のデジタル化とマネジメントについて現状から課題,そして近未来について示していただいた.さらに,臨床的視点に基づく疫学研究を進める溝上哲也先生からは,疫学データに機械学習を介して作成された日本人に適した糖尿病リスク予測モデルに関して解説いただいた.糖尿病診療のエキスパートである大西由希子先生からは,導入が進められている糖尿病治療・予防アプリについて問題点もふまえた解説をいただいた.また,地域で遠隔医療の先進的な試みを進める白神敦久先生らからは,オンライン診療におけるご自身の試みを含めた現状からエビデンス,さらに課題までを紹介いただいた.最後に,本特集の企画者の一人である中島がPHRの最前線として,新しいデジタルヘルスにおける情報の扱いかた,その二次利用や精密医療への展開,そして国や産業界の動きまで幅広く解説した.
本特集を通じ,海外で先行する糖尿病領域のデジタルヘルスについて,ツール・システム・社会制度,さらにはわが国独自の課題まで幅広い最新情報を理解していただき,その活用による質の高い個別化医療の未来を多くの医療者に考えていただく端緒になれば幸甚である.〔特集にあたって 松久宗英,中島直樹〕

Medical Technology 50巻9号
苦手克服!小児エコーの基本マスター
苦手克服!小児エコーの基本マスター
非侵襲的で繰り返し実施できることから,エコーは小児においても非常に有用な検査です.一方で,身体の大きさによる技術面での難しさや,成人とは異なる対象疾患などの面から,小児エコーに苦手意識をおもちの方も少なくないようです.
そこでこのたび,小児ならではの検査室での工夫や正常値などの基礎知識に始まり,実際の手技や疾患に関する知識に至るまで,基本を網羅した特集をお届けいたします.本特集が小児エコーの苦手克服の一歩につながれば幸いです.(編集部)

J. of Clinical Rehabilitation 31巻10号
嚥下造影検査所見の解釈と対策
嚥下造影検査所見の解釈と対策
飲食物を食べ飲み込むことは,人が生きていくうえで必要な栄養を取り入れるという基本的行為であるというだけでなく,人間らしく生きていく誇りや喜び,そして幸せとも関係が深いものである.そのため,この機能が障害された場合に,回復を強く願う人は多く,リハビリテーション(以下リハ)治療においても,最も重要な治療対象として取り扱われることになっていく.
リハ治療における治療戦略の組み立てに際しては,何が治療ターゲットであっても機能評価が欠かせない.たとえば歩行がターゲットであれば,歩行に関連する筋力やバランス等の丁寧な評価に基づいて歩行訓練の計画が練られる.摂食嚥下リハも同様で,正しい機能評価が適切な治療方針の礎となる.ところが,摂食嚥下の機能評価には,ひとたび食物が口に入り唇を閉じてしまえば,食物を直接観察することができなくなるという特殊性がある.食物摂取中の対象者の動きや反応(ムセ等),音等を頼りに評価していく方法論はある程度確立しているものの,食物が見えていない状態で機能推定をしているに過ぎないという弱点を,臨床経験を積めば積むほど思い知らされてしまうのが実情ではないだろうか.
嚥下造影検査(以下,VF)は,嚥下の準備期から食道期までを包括的に見える化するもので,最も重要な異常所見である誤嚥や咽頭残留の見落としが少ない優れた検査法である.検査法としての歴史もあり,疾患や病態ごとに,どのような嚥下動態(異常所見)が録画できるかについての知見も積み上げられ,標準的な実施方法については,2001年に日本摂食嚥下リハビリテーション学会より示され,さらに改訂も続けられている(2014年版が最新).そのため,VFによって得られた正常所見と異常所見から,嚥下機能を読み取ったうえで,リハ治療計画に結びつけるという作業は,多くのエキスパートが臨床現場で当たり前に日々くり返していることである.ところが,疾患別や病態別の嚥下動態に関する解説は充実している一方で,VFで発見する異常所見をどのように解釈して治療計画に結びつけていくかという,思考過程の解説はあまりされてこなかったと思われる.思考過程の習得は,解説を読むだけで簡単に身につくものではないかもしれないが,読者の臨床過程に少しでも溶け込み,適切にVFを活用できるエキスパートが増えるきっかけとなることを,この特集に期待する.(編集委員会)

医療観察法と司法精神科作業療法 臨床ハンドブック
医療観察法に基づく医療(医療観察法医療)において、作業療法士はその黎明期から専門的多職種チーム(Multi-Disciplinary Team:MDT)の一員として、一般精神科医療の対象者に比べて、より複雑なニーズを抱える医療観察法対象者の治療に携わってきた。
本書は、司法精神科作業療法を臨床現場でより効果的に実践するために、また精神障害領域以外の方々にも医療観察法医療と司法精神科作業療法の現状を広く知ってもらうために、医療観察法の施行以来、これまで司法精神科に深く関わってきた経験豊富な作業療法士がその経験知と実践知を余すところなく披露。
医療観察法病棟に勤務する現任の作業療法士や、新たに医療観察法病棟に配置される作業療法士、指定通院医療機関を中心に地域で医療観察法対象者のケアに関わる作業療法士にとって必携の一冊。

関節外科 基礎と臨床 Vol.41 No.10
2022年10月号
【特集】運動器疾患に対する体外衝撃波療法
【特集】運動器疾患に対する体外衝撃波療法

ICUとCCU 2022年7月号
2022年7月号
特集:わが国における臓器移植医療の現状と未来
特集:わが国における臓器移植医療の現状と未来

小児科診療 Vol.85 No.10
2022年10月号
【特集】食物アレルギー 「食べる」ということを根本から見なおしてみる
【特集】食物アレルギー 「食べる」ということを根本から見なおしてみる 食べることは日常生活そのものです.疾患の基礎知識と最新の動向をおさえつつ,当事者の生活を支える視点での対処法も考える特集です.

産科と婦人科 Vol.89 No.10
2022年10月号
【特集】産婦人科における素朴な疑問と解説(1)婦人科編
【特集】産婦人科における素朴な疑問と解説(1)婦人科編 月経はなぜあるの?という本質的な疑問や子宮腺筋症の原因は?という最近の知見に対する疑問など素朴で答えにくい婦人科の16コの「なぜ?」について解説いただきました.

赤ふん坊やと学ぶ! 地域医療がもっと楽しくなるエッセンス111
「ここの地域の医療は何もかもが理想的で、すべてが完璧」、「このまちの医療は素晴らしすぎてもう望むものは何もない」という場所は日本全国どこにもありません。それぞれの地域に根差した医療を実現させるため、地域医療・介護従事者らは、行政関係者、住民の皆さんと一緒に解決策を探しています。地域課題解決には終わりがなく、だからこそ楽しい一面もあるのです。凝り固まってしまった考え方を少し変えてみたり、患者さんのご家族に思いを馳せてみたり、今日からできることはいろいろあります。
本書では福井県高浜町のマスコットキャラクター“赤ふん坊や”の4コママンガで面白おかしく地域の問題を取り上げ、解決策を探っています。真似できることもたくさん! 自分ひとりだけで背負うのではなく、多職種で地域医療を上手に支えていきませんか?
序文
地域医療の現場に出て、早14年半が過ぎようとしています。
子どもの頃、インフルエンザや胃腸カゼでかかった地元の個人診療所。医療機関なのに落ち着いた雰囲気で、挨拶や会話を交わす周りの患者さんの表情も穏やか、居心地のよさすら感じるあたたかい医療の現場を、朧げに想像しながら医師になった自分。
研修医として総合病院で研鑽する中で感じたのは、生来健康で現役専業農家の70歳男性の肺炎と、寝たきり・施設入所中の90歳男性の肺炎が、ほぼ同じ土俵―起炎菌は? 抗生剤の選択は? 入院適応は? 呼吸状態の管理は?―で議論されていることへの違和感でした。肺炎が治っても、本質的な問題解決にならないのではないか? あの診療所ならどう対応するのだろう? という思いが膨らみ、悩み抜いた結果、生活現場に近い医療を学ぼうと、卒後4年目で高浜町の町立無床診療所に赴任しました。確固たる研修制度もなかった当時、卒後4年目で地域医療の現場に飛び込むというのは、無謀で珍しいことだったんだと思います、ある都道府県のへき地医療担当者にすら止められたぐらいですから(笑)! 実際に地域医療の現場に立ってみると、おそらくこれはその担当者が心配していたこととは別のことだと思いますが、すぐにその難しさを体感しました。それまで病気を診て病気を治していればよかったものが、患者さんを本質的に理解し、時には家族や地域に視線を向け、全体的に最適な医療を提供する必要があったためです。疾患、患者さん、家族、地域と、視野の倍率を下げて広角にみていくと、目指すべきゴールや理想までがぼやけてしまうのを感じましたし、それに対して絶対的な正解が用意されていないことも確認できました。それでも、理想の医療、理想の地域を追い求めて試行錯誤を繰り返し、現在に至ります。
本書は、そんな14年間の学びと実践の試行錯誤から得た知識と知恵をまとめ、私と同じように目前のキュア・ケアが腑に落ちない地域医療従事者の皆さんが、多少のヒントと思考の後押しを得ていただくために執筆した、「きっかけの書」です。気軽に読んでいただけるように、やわらかい文章でマンガとともにお届けしています。流して全部読んでいただいても、気になる項目だけ読んでいただいても、マンガだけ読んでいただいてもかまいません。私が長年お世話になっている福井県高浜町のマスコットキャラクター「赤ふん坊や」と一緒に、楽しく医療と地域を読み解くことで、読み終えた後に、もっと地域に根差したい、もっと人・地域と向き合いたいと思っていただくことを目指しています。人を想い、地域が大好きな方すべてに本書が届き、共に地域医療を楽しめることを祈っています。

全部のせ!LCI経鼻内視鏡よくばり完全マスターガイド -挿入・観察のコツから診断・治療まで全部まとめちゃいました-
経鼻内視鏡の使い方・活かし方、真のパフォーマンスを本当に理解できていますか?
本書では、経鼻内視鏡を“ハナカメ”と呼んでこよなく愛する著者が、最新のLCI技術を中心に、その活用方法と魅力のすべてを1冊にまとめ上げました。
熱のこもった解説と症例写真を目いっぱい盛り込んだ、経鼻内視鏡の見方が一変すること請け合いの楽しくて使い勝手満載の“マニュアル兼リファレンス”の誕生です。
経鼻内視鏡に関する知識を整理したい、アップデートしたい、その技術をしっかり自分のものとして身につけたいと願う(完全マスターしたいと願う)すべての方におすすめします!
序文
今回、大好きな「ハナカメ」の本を出すことができて本当にうれしいです。しかも大ファンである川田先生とご一緒できるなんてもうこの上ない幸せです。
私が経鼻内視鏡にどっぷりはまったのは、当時勤務していた病院の山本俊院長から「経鼻内視鏡を導入するから、この年末年始の間になにかテーマを考えておきなさい」と冬休みの宿題を言い渡されたことがきっかけです。それまでもバイト先等で経験はありましたが、当時ライトガイドは1個で薄暗く、画像はなんだかぼんやりとしてメルヘンの世界、という印象でした。まあ、ぶっちゃけ好きではなかったのですが、今では受ける患者さんも使う医師もみんながハッピーになるよう“ハナカメのすばらしさ”を広めることが人生の歓びとなりました。
使用開始当時から院内で自然に経鼻内視鏡は「ハナカメ」と違和感なく呼んでいましたが、その呼び方いいじゃん、と川田先生にもご賛同いただき、堂々と「ハナカメ」と呼称させていただいております。
「ハナカメのすばらしさを世界に発信(=全国学会で発表)しよう」と駒澤先生とコンビを組んでから15年ほどになりますが、メーカーさんの努力と技術の進歩により画質はものすごスピードで進化しています。新しい経鼻内視鏡でもCMOSが搭載されたこともあり「経鼻は画質が悪いから」と今でも思っている先生がおられたら、ぜひ実際の画像を見ていただきたいと思います。
LCIの画像はいろいろな可能性を秘めていますが、初めはなんだか画像のギラギラ感が気になる先生もおられるかもしれません。この本を手に取っていただいた先生がLCIの、そして「ハナカメ」の魅力にはまっていただければ幸いです。
結城美佳
この度、同じハナカメ仲間の結城先生にお声がけ頂き、経鼻内視鏡とLCIの本を出すことになりました。
もともと私は外科医で、大学を卒業して1995年に母校である東京医科歯科大学第一外科に入局しました。当時、食道癌手術の名医である遠藤光夫教授が主任教授で、関連病院で研修を積んだのち、2001年に帰学する時にいくつかある専門班の中から食道班を選ぶことになりました。ちょうど専門班を決める前の年に在籍した多摩がん検診センター(現東京都がん検診センター)で半年間診断学の勉強をする機会があり、食道造影や胃透視、早期大腸癌の拡大内視鏡など、deepな消化管診断学を教育してくださる消化器内科の先生方に出会い、内視鏡診断に興味を持ちました。
ある関連病院を回った時に、手術症例が全然なくて、当時の上司の先生に「川田、自分で癌を見つけて、自分で手術する気持ちで内視鏡にも取り組め」とご指導いただき、「内視鏡検査治療にも明るい外科医」の基礎ができました。
食道癌は特に手術と内視鏡治療の侵襲の大きさが違います。外科手術後の患者さんの大変さを考えると、癌の早期発見が大事で、そのためにはどうしたらいいのか。医科歯科大では現日本消化器内視鏡学会理事長の井上晴洋教授、直接研究指導をいただいた河野辰幸教授、永井鑑先生、熊谷洋一先生ら、手術にも内視鏡にも明るい諸先輩がいらして熱心に食道癌診療に取り組んでおりました。さらに転機となったのは2002~2005年まで都立駒込病院でお世話になった門馬久美子先生です。門馬先生を知らない方はいないと思いますが、食道癌・頭頸部表在癌の内視鏡診療に関わるたくさんの事を教えて頂きました。門馬先生に出会えていなければ、今の私はないと心から感謝しています。
当時NBIや超拡大内視鏡など最新の技術を学んだ後に出会ったのが、性能が非常に悪かった経鼻内視鏡です。私はそのギャップに愕然としながら、経鼻内視鏡に取り組みましたが、ふとしたことで咽喉頭観察でのメリットに気づき、機器の性能向上、FICEからLCI/BLIの導入等、時代と共に経鼻内視鏡が進化していくのを肌で感じつつ、結城先生、駒澤先生を始め多くのハナカメ仲間に出会い、この本の執筆に至りました。経鼻内視鏡を握るのが「嫌々」だった私が、「検査をもう2度と受けたくないと思った方へおススメする」ようになるまでの過程がギュッと詰まった本に仕上がりました。
是非明日からの診療にお役立て下さい。
川田研郎

みえる生命誕生 改訂新版
受胎・妊娠・出産
助産学・母性看護学・産科学に関連した目をみはる美しさのビジュアル図鑑.手に取りやすいサイズになってリニューアル! 生殖器の解剖から,遺伝,周産期(生殖・妊娠・分娩・産後)の正常過程と異常過程,不妊治療や生殖医療まで―豊富なイラスト・写真・超音波像・X線像にコンパクトな解説がつき,“教科書”だけではイメージできなかった知識を視覚的に理解できる.参考書や臨床で使える資料としてはもちろん,妊娠・出産に興味をもつ一般読者にも有用な一冊.