
歩行を診る
観察から始める理学療法実践
臨床に即した歩行の診かたとそれに対するアプローチについて,各々の分野で研鑽されているエキスパートが理学療法士の立場から執筆.まず歩行に関連する事項を整理し,各論では臨床に即した理学療法士による各疾患の歩行の診かたとそのアプローチ(症例データも含む)を提示.最後に,注目されているいくつかのアプローチについて紹介している.若手理学療法士・学生にその手がかりを呈示する1冊.

J. of Clinical Rehabilitation 31巻6号
生活期リハビリテーションの実践
生活期リハビリテーションの実践
急性期や回復期でのリハビリテーション医療は,医療保険を利用して行われ充実してきた.一方,生活期のリハビリテーション医療は,医療保険,介護保険等を利用して,主として在宅および施設で行われる.「生活期」は以前,「維持期」,「慢性期」といわれてきたが,疾病治療ではなくリハビリテーションの観点から,機能や活動・参加が変化し得ることもあり,「生活期」とよばれるようになった.急性期,回復期の期間は6カ月程度であるが,生活期の期間は圧倒的に長く,医療従事者(医師や療法士を含む)の関与量は少なくなる.
地域包括ケアシステムにおける地域医療では,病気の治療や救命にとどまらず,安心と安全が備わった地域で生活することが目的となる.その中でリハビリテーション医療は極めて重要であり,急性期・回復期・生活期のリハビリテーション医療は段階に合わせて各々の役割を理解し,シームレスな体制作りが求められる.これまでも急性期から回復期,そして生活期のリハビリテーション治療によって,在宅復帰支援を受けた高齢者が,生活機能やQOL(quality of life)の向上・維持を目指してきた.そのために,介護予防をはじめライフステージに合わせた継続的なリハビリテーション治療(訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション等)の提供や,地域住民も含めた総合的な支援等を実施してきた.
今回の特集では,生活期リハビリテーションのオーバービュー,実践編として,外来リハビリテーション,通所リハビリテーション,訪問リハビリテーションについて,専門の先生方に解説をお願いした.外来・通所・訪問リハビリテーションにおいても医師の役割は重要であり,リハビリテーション処方,多職種と共同で行う評価,終了時期の判断を適切に行わなくてはならない.療養型施設には,医療・介護療養病床,介護医療院,介護老人保健施設,特別養護老人施設が存在する.療養型施設でのリハビリテーション医療の実践,効果や問題点について説明いただいた.小児の生活期リハビリテーションについての情報量は少ない.発達障害児等の外来リハビリテーション,重度障害児の訪問診療・リハビリテーションについて,専門の先生に執筆いただいた.
今回の特集を通読すれば,生活期のリハビリテーションについてある程度の知識は得られると思う.生活期に関心をもち,生活期のリハビリテーション医療に従事するスタッフが増加することを期待する.(編集委員会)

≪考える理学療法≫
[内部障害編]評価から治療手技の選択
内部障害系理学療法を行う過程で患者の呈する症状と徴候を的確に捉え,臨機応変に対処し,clinical reasoningを重視した評価から治療への橋渡し的な考えかたを症例を通して提示する.総論で内部障害を理解するための基礎的な知識を再確認し,理学療法実践に必要な知識を概説する.各論では,日頃,理学療法士が遭遇しやすい内部障害の症状と徴候を挙げ,評価項目選択の意義と臨床場面で実際にあったケースを基に選択した治療について提示した.

≪考える理学療法≫
評価から治療手技の選択[中枢神経疾患編]
中枢神経疾患に対する理学療法は至難の業といわれる.本書は,そうした中枢神経疾患に対する理学療法を行う過程で,クリニカルリーズニングを重視した評価から治療への橋渡し的な考え方とはどういうものかを,ポイントを絞ってわかりやすく解説.中枢神経疾患患者の病態や障害に関する理解を深め,実施技術の向上に役立つ実践的な内容.すべての理学療法士におすすめの1冊.

Medical Technology 50巻6号
悪性腫瘍の早期発見に必要な細胞診の目を養う
悪性腫瘍の早期発見に必要な細胞診の目を養う
早期発見・早期治療が大切といわれるがん医療において,細胞診検査はその発見に大きく寄与し,重症化を防ぐための二次予防に貢献しています.
本特集では,細胞診における悪性腫瘍の早期発見を目的として,まず総論として予防医学における細胞診の役割をご解説いただきます.つづく2 章では,臓器別に細胞像の見え方や悪性腫瘍を見逃さないためのポイントをご紹介いただきます.各領域において,細胞診が果たす役割を理解し,経験の豊富な先生方の着眼点・考え方を学んでいただければと思います. (編集部)

臨床栄養 140巻7号
最新知見に学ぶ! フリーシュガー/アデッドシュガーと健康のかかわり
最新知見に学ぶ! フリーシュガー/アデッドシュガーと健康のかかわり
肥満,メタボリックシンドローム,生活習慣病,糖尿病,心血管疾患など,現代の健康問題は必ずしも思うように改善していない.食事がもっとも大きな要因であることはよく知られており,エネルギー産生栄養素である,脂質,糖質の栄養が重要だと考えられている.これまで主に脂質の栄養が注目されてきたが,最近になり,糖質,とくに後から加えられるアデッドシュガー(添加糖類)の健康への影響に注目が集まっている.2012年にNature 誌に“The toxic truth about sugar”という論説が掲載され,改めてアデッドシュガーの問題がクローズアップされるようになってきた.2015年にはWHOがフリーシュガー(遊離糖類)の摂取を抑えるようこれまでよりも強い勧告を出した.さらに,WHOは加糖飲料に税金をかけるよう各国に要請するようになった.すでに多くの国で砂糖税が導入され,アデッドシュガーに関係する公衆衛生上の政策に大きなパラダイムシフトが起きている.
一方,アデッドシュガーの健康へのマイナス面だけではなく,これまであまり注目されてこなかった,新規の糖質の研究が進み,生活習慣病に対して有益な影響を与えることもわかってきた.アデッドシュガーの健康への主要な影響は,フルクトースの問題であることがわかっている.生化学の教科書においても,その代謝経路が詳しく記述されており,脂質代謝異常のメカニズムも書かれている.ところが,これらの記述のほとんどは半世紀前の結果を基にしており,いくつかの問題点が指摘されてきた.最近になり,フルクトースの代謝が主に肝臓で起こるのではなく,小腸が主要な臓器であることがわかり,さらに腸内細菌叢が重要であることもわかってきた.いま,生化学における,フルクトース代謝の大きなパラダイムシフトが起きている.また,糖の食欲を制御する腸-脳相関系による機構なども新たに明らかになってきた.
このような現状を踏まえ,アデッドシュガーと健康との関連や世界的な社会政策の動向,また機能性糖質や希少糖の特徴,さらに日本料理からみた砂糖などの観点から最新情報をご提供いただいた.アデッドシュガーと健康のかかわりを改めて考える機会となり,肥満やメタボリックシンドロームをはじめ,さまざまな疾患の予防につながるような食生活を考える機会になればと考えている(「特集にあたって」).

ケースで学ぶ
実践!水・電解質診療
多様な臨床現場でこう考える!こう治療する!
日常臨床に潜み,あらゆる臨床現場で遭遇する水・電解質・酸塩基平衡異常.その対応は決して腎臓内科医だけが担うわけではない.本書は,内科の様々な分野における水・電解質異常について考え方と対応のポイントを症例ベースで解説する.押さえておくべき生理学的知識と体液・各電解質異常に関する病態・診断・治療についての解説とあわせて,一冊で各臨床領域における水・電解質異常診療について理解を深められるよう網羅した.

日本看護協会機関誌
看護 Vol.74 No.7
2022年6月号
特集1 日本看護サミット2021 看護職の就業継続が可能な働き方で、看護の未来を拓く
特集1 日本看護サミット2021 看護職の就業継続が可能な働き方で、看護の未来を拓く
特集1 日本看護サミット2021 看護職の就業継続が可能な働き方で、看護の未来を拓く
「日本看護サミット」は、2年に1度、看護のトップリーダーたちが集結し、看護の政策課題の解決に向けた戦略を、議論・提言・検証する場であり、2021年度は2022年2月4日にパシフィコ横浜国立大ホール(横浜市)で開催しました。
今回は2015年以来6年ぶりに、看護労働政策を取り上げ、〈解説〉においては、この間の看護職の労働環境の改善の取り組みについて、成果と今後の課題を整理。〈特別講演〉〈鼎談〉〈シンポジウム〉では、就業継続が可能な看護職の働き方について、さまざまな立場から実践報告や提言、ディスカッションがあり、「サミット宣言」(巻頭グラフ、p.5)が行われました。

訪問看護、介護・福祉施設のケアに携わる人へ
コミュニティケア Vol.24 No.7
2022年6月臨時増刊号
総特集 コロナ禍の訪問看護事業所・施設で何が起きたか
総特集 コロナ禍の訪問看護事業所・施設で何が起きたか 総特集 コロナ禍の訪問看護事業所・施設で何が起きたか
新型コロナウイルス感染症のまん延は、医療機関で働く看護師だけでなく、訪問看護事業所や高齢者ケア施設で働く看護師にとっても未曾有の事態の連続でした。
新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されたのは2020年1月。以降、全国的に感染が拡大する中で、多くの医療・介護従事者が、感染対策をはじめ、感染者や利用者・入居者等へのケアのあり方を模索し続けました。
総特集では、訪問看護事業所・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設を取り上げ、事業所や施設における感染対策、感染者への対応、クラスター発生による入居・入所者の日常生活の変化などを紹介した上で、訪問看護事業所や施設は今後どうあるべきかについて考察します。

スローエシックスと看護のアート
ケアする倫理の物語
倫理に関係する6つのキーワードを著者が集めた物語から読み解いていく.スピードや効率性が重要視される現代だからこそ,迅速さや画ー的なケアではなく,立ち止まってゆっくり考え,振り返ってみようというスローエシックス(slow ethics)の考え方を提唱している.スローエシックスにより人間らしさを改めて問いかけ,それを確認・回復させるきっかけとなる呼びかけの書.

がん疼痛治療25の秘訣
がん患者の疼痛治療における選択肢は,年々充実してきている.それだけに,各々の患者に対して何をどう使い分けるのかの判断は困難になってきたとも言えるだろう.そんな現状を踏まえて本書では,突出した診療経験数を誇り延べ300回以上の講演を行ってきた著者が,がん疼痛治療の正しい考え方を親しみやすい「格言」を使って解説した.いち読すれば,難なくがん疼痛治療の秘訣が身体に染み込む,実になる1冊である.

胆と膵 2022年5月号
2022年5月号
特集:術後胆膵運動生理機能リバイバル
特集:術後胆膵運動生理機能リバイバル

ICUとCCU 2022年4月号
2022年4月号
特集:Point of care ultrasound(POCUS)
特集:Point of care ultrasound(POCUS)

小児科診療 Vol.85 No.7
2022年7月号
【特集】血液・腫瘍疾患,急ぐべきときは「今」-oncologic emergencyを知ろう
【特集】血液・腫瘍疾患,急ぐべきときは「今」-oncologic emergencyを知ろう 頻繁に遭遇しないものの速やかな対応が求められる腫瘍救急.血液・腫瘍疾患を疑う場面で適切な初期対応を行うために,今すぐ役立つ一冊です.

産科と婦人科 Vol.89 No.7
2022年7月号
【特集】産科診療の進む道―診療ガイドラインの先にあるもの―
【特集】産科診療の進む道―診療ガイドラインの先にあるもの― ガイドラインがどう変わっていくのか,その先を見据え,今後の改訂で変化が想定される項目や,新たに取り上げられる可能性のある項目について解説いただいています.

運動療法と運動処方 第2版
身体活動・運動支援を効果的に進めるための知識と技術
根拠に基づく医療が求められている中,近年急速に集積されてきた運動療法のエビデンスを紹介し,運動療法の指導の実際について解説.運動療法指導に必須の運動生理学・生化学の基礎分野から,メディカルチェック,疾患別運動療法,運動種目別解説という構成で,各項目でトップレベルの研究者・臨床医が執筆.臨床医・研究者,健康運動指導士,理学療法士,看護師,栄養士など,現場のコメディカルスタッフにもおすすめの一冊.

臨床試験の計画・実施・報告 -食品の機能性のエビデンス-
機能性表示食品やトクホ(特定保健用食品)の開発担当者,これから臨床試験を計画されている方の必携図書。
機能性表示食品として実際に届出された臨床試験において,消費者庁の検証事業の結果,実施における問題点や,報告・記入の不備が多いことが明らかになっている。それらの結果も反映させながら,臨床試験を計画・実施・報告するための重要ポイントを解説。また,2021年 6 月 30 日に施行された「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(新倫理指針)」下で行われる臨床試験についてもわかりやすく解説している。

皮膚科の臨床 Vol.64 No. 7
2022年6月号
薬疹・薬物障害
薬疹・薬物障害
今月号の特集は「薬疹・薬物障害」です。免疫チェックポイント阻害薬によるirAEや,糖尿病薬による薬疹など,多彩な症例報告が集まっています。その他,症例報告やミニレポート,エッセイ憧鉄雑感やAckermanの『診断病理学の実践哲学を読む』,巻頭言など毎号好評の連載記事も,もちろん変わらず掲載されています。日々の診療に是非,お役立てください。

熱、諍い、ダイヤモンド
西アフリカのエボラ対策は、新型コロナの写し絵だ
エボラウイルス病との闘いに関し、医師であり人類学者でもある著者ポール・ファーマーが医学的観点に加え歴史的・社会的背景も踏まえて著述。なぜ、西アフリカなのか? なぜ、ここまで深刻な問題になり、対応が難しいのか? 著者ならではの視点・手法で問題を徹底的に掘り下げ、根っこ(root cause)にまで深く入り込んでいく。著者を「完成された医師の理想像」と仰ぐ岩田健太郎先生による翻訳。詳細かつ示唆に富み、COVID-19等パンデミック対策の参考にもなる書。

血管糖尿病2011
●糖尿病研究と血管障害研究をつなぐVascular Diabetesの創生
●双方向性,話題性,先進性,スピード感をキーワードに,最新研究動向を解説
●「私が推す2010年のこの1報」:執筆者による最新論文の推薦と講評
●Annual Bookとして企画されたが,残念ながら2011年版のみの発行にとどまった