医学のあゆみ276巻2号
IgG4関連疾患――解明されてきた新たな病態
IgG4関連疾患――解明されてきた新たな病態 IgG4関連疾患――解明されてきた新たな病態
企画:川 茂幸(松本歯科大学歯学部内科学)
・IgG4関連疾患はわが国より発信された新しい疾患概念で,現在,全世界で多くの研究者が精力的に研究を進めている.自己免疫性膵炎とIgG4との関連,全身性病変との関連の発見が本疾患の疾患概念確立の端緒となった.
・IgG4関連疾患は諸臓器に分布し,全体像が明らかではないので詳細な疫学は不明である.自己免疫性膵炎の最新の疫学情報ならびにこれから推測されるIgG4関連疾患の疫学は本症の病態理解に大きく寄与すると考えられる.
・発生機序の解明に関して新規抗原の発見など進歩が著しい.また,精力的に自然免疫系の検討がされ,IgG4上昇機序などが明らかになってきた.これらが発生機序の全容解明への有力な道筋を示すことを期待したい.
看護管理 Vol.31 No.1
2021年1月発売
特集1 組織のダイナミクスを解明する質的研究 組織と個人に,変革と幸せをもたらす「知」を届けるために/特集2 どうする? どうなる? 2021年の継続教育計画 ウィズコロナ時代の人材育成を考える(後編)
特集1 組織のダイナミクスを解明する質的研究 組織と個人に,変革と幸せをもたらす「知」を届けるために/特集2 どうする? どうなる? 2021年の継続教育計画 ウィズコロナ時代の人材育成を考える(後編) 2015年度に武村雪絵氏が東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻看護管理学分野に着任して以来,武村氏の研究室では,「働く人や組織が潜在的に持つ力を引き出すこと」,ひいては「患者と看護職およびその他の医療従事者,組織や社会全てとその未来に幸せをもたらすこと」を探求してきた。
それに向けて,さまざまな研究アプローチによって組織現象を紐解き,組織の発展・活性化の動力源を明らかにし,現場に還元していくことを目指している。
2019年には,看護師長のビジョンが組織に与える活力に着目し続けてきた研究室員の磯部環氏による論文が国際誌“Journal of Nursing Management”に採択,公表された。本特集では,看護師長へのインタビュー調査をもとに看護師長のビジョンの言語化と明確化に取り組んだ同研究を紹介する。続いて武村氏から,組織を動かす動力源となりうるビジョン,ミッションやバリューを看護管理者が明確にすることの意味を提示する。さらに研究室員による座談会を通じて,臨床看護師と研究者の協働により現場のダイナミクスを解き明かす質的研究の意義,研究成果が現場を変革する可能性について論考する。
助産雑誌 Vol.75 No.1
2021年1月発売
特集 産後の母子を支える想いを聴く
特集 産後の母子を支える想いを聴く 2019年12月,「母子保健法」の一部が改正され,市町村に対して「産後ケア事業」の実施が努力義務とされました。2020年8月には「産前・産後サポート事業ガイドライン産後ケア事業ガイドライン」も改定され,産後の母子の支援に助産師が関わることの重要性はますます高まっています。現在,多くの事業者が産後ケアを実践されていて,またこれから産後ケアのサービスを開始しようとしている方もたくさんいらっしゃるかと思われます。お母さんや家族の産後の支え方は多様です。本特集では,さまざまな形で産後の母子を主な対象とした支援を行っている助産師の方々に,産後ケアのサービスを開始し,携わる中での想いを伺いました。産後ケアに携わっている方,これから産後ケアに携わろうとしている方に対して,先駆者の知見,そして情熱を共有し,これからの産後ケアを考えたいと思います。
訪問看護と介護 Vol.26 No.1
2021年1月発売
特集 倫理的感受性を高める ACPにも必要な「価値観を揺さぶられる」感性
特集 倫理的感受性を高める ACPにも必要な「価値観を揺さぶられる」感性 誰かの人生に深く関わる訪問看護の現場では、倫理的葛藤に直面することが多くあります。ただ、それを「課題」であると意識する機会がない限り、ケアを提供すべき療養者や家族を知らず知らずのうちに傷つけてしまう可能性さえあります。「よかれと思っていたこと」が、相手には不快なことだった。「きっとこうだろう」という思い込みで、失敗した。「本当にこれでよかったのだろうか」と今でも迷っている。本特集では、療養者や家族から学んだ貴重な経験を寄せていただくとともに、「価値観を揺さぶられる」ことの重要性に焦点を当てます。
保健師ジャーナル Vol.77 No.1
2021年1月発売
特集 差別と偏見と公衆衛生
特集 差別と偏見と公衆衛生 現代社会には,さまざまな差別や偏見が今なお,根強く存在する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で見られたように,これまでも感染症や東日本大震災における放射線災害など,公衆衛生に関わる場面において,深刻な差別と偏見が起きている。そこで本特集では,改めて差別と偏見のメカニズムに迫るとともに,これまでの事例を通じて,差別や偏見への対応や支援のあり方を考える。
病院 Vol.80 No.1
2021年1月発売
特集 地域医療構想を踏まえた 病院機能の選択
特集 地域医療構想を踏まえた 病院機能の選択 人口構造の急激な変化により各地域の傷病構造が大きく変化している.地域医療構想に先立って出された推計で示された変化が現実のものとなりつつあり,診療報酬の改定もその変化への対応を迫る形になっている.また,入院患者のニーズは複合化している.すでに要介護状態にある高齢者が発症する肺炎や心不全の急性増悪への対応が増え,急性期病院への入院に占める割合が高くなってきている.このような患者は治療後状態が落ち着くと,直接介護の現場や在宅に戻っていく.そして,その受け入れ態勢の可否が平均在院日数に影響する.つまり,急性期医療から慢性期医療のニーズ,そして医療と介護ニーズの複合化が高齢化とともに進んでいる.本企画では,こうした変化に各病院がどのように向き合って病床機能を整備していくのか,あるいは整備しようとしているのかについて,広く関係者の考えを伺った.企画:松田 晋哉(産業医科大学公衆衛生学教室教授)
理学療法ジャーナル Vol.55 No.1
2021年1月発売
特集 高齢者の膝関節の痛み
特集 高齢者の膝関節の痛み 高齢者の膝関節痛は日常生活を制限する原因になっている.また膝関節痛は変形性膝関節症や関節リウマチなどと疾患別に捉えられることが多いが,実際にはさまざまな原因が交絡し,1つの疾患として捉えることが困難な場合も多々みられる.この国民的課題とも言える高齢者の膝関節痛に対して,疫学,原因論,疼痛という観点から理学療法とのかかわりを紹介する.また理学療法はどの程度,疼痛に関して効果的なのだろうか.姿勢,変形性膝関節症,半月板,膝蓋大腿関節,関節周囲軟部組織とのかかわりを踏まえて解説する
臨床眼科 Vol.75 No.1
2021年1月発売
特集 もう悩まない ぶどう膜炎の診断と治療 達人の診療プロセスを教えます
特集 もう悩まない ぶどう膜炎の診断と治療 達人の診療プロセスを教えます -
臨床整形外科 Vol.56 No.1
2021年1月発売
特集 パラスポーツ・メディシン入門
特集 パラスポーツ・メディシン入門 -
臨床外科 Vol.76 No.1
2021年1月発売
特集 徹底解説 術後後遺症をいかに防ぐか コツとポイント〔特別付録Web動画付き〕
特集 徹底解説 術後後遺症をいかに防ぐか コツとポイント〔特別付録Web動画付き〕 多くの癌手術において,臓器損失によるデメリットが発生してしまう.それは,癌根治とのバランスのうえで考えなければならず,患者さんにとって納得しうるものもあろうが,しかし特に早期癌の患者さんにとっては,多くは無症状の方が有症状になってしまう.その意味でも,術後後遺症は極力発生させてはならないものである.
達人は,その経験や知恵,工夫から多くの“技”を持っているものである.本特集では,代表的後遺症を取り上げ,若手向けに,特に術後QOLを落とすような後遺症を起こさないコツとポイント,発生した場合の対処法を解説いただいた.術後後遺症を防ぐための技を本特集から学びとっていただければ幸いである.
BRAIN and NERVE Vol.73 No.1
2021年1月発売
特集 Neuro-Oncology
特集 Neuro-Oncology -
循環器ジャーナル Vol.69 No.1
2021年1月発売
これからの高齢者診療——循環器医が人生100年時代にどう向き合うか?
これからの高齢者診療——循環器医が人生100年時代にどう向き合うか? -
総合診療 Vol.31 No.1
2021年1月発売
特別増大特集 新型コロナウイルス・パンデミック 今こそ知っておきたいこと、そして考えるべき未来
特別増大特集 新型コロナウイルス・パンデミック 今こそ知っておきたいこと、そして考えるべき未来 -
medicina Vol.58 No.1
2021年1月発売
特集 エキスパートに学ぶ 最新の循環器治療薬の使い方
特集 エキスパートに学ぶ 最新の循環器治療薬の使い方 -
公衆衛生 Vol.85 No.1
2021年1月発売
特集 病気の治療と仕事の両立支援 キャリアをあきらめないために
特集 病気の治療と仕事の両立支援 キャリアをあきらめないために -
医学のあゆみ275巻12・13号
ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)――臨床応用の展望
ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)――臨床応用の展望
企画:平田雅之(大阪大学大学院医学系研究科脳機能診断再建学共同研究講座,同脳神経外科学,大阪大学国際医工情報センター)
貴島晴彦(大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学,大阪大学国際医工情報センター)
・ブレイン・マシン・インターフェース(brain-machine interface:BMI)とは“脳と機械の間で直接信号をやりとりしてヒトの神経機能を代行,補完する技術”である.
・体内埋込を必要とする侵襲型のBMIはようやく治験が行われつつあるところで,臨床応用には時間がかかっている.企業の参入により,今後の加速が期待されるところである.
・非侵襲型のBMIは体内埋込が不要な分,一足先にリハビリテーション分野での治験が完了し,臨床応用にも目途が立った.
医学のあゆみ274巻6・7号
がんにおけるカヘキシア――とくにサルコペニアの問題を考える
がんにおけるカヘキシア――とくにサルコペニアの問題を考える
企画:葛谷雅文(名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学)
・カヘキシア(悪液質)の定義は明確に定まっているわけではないが,一般的には複合的な代謝異常により骨格筋量の低下ならびに体重減少を併せ持つ病態を指す.
・がんに伴うサルコペニア有病率に関しては,治療前の有病率に関して報告されたメタ解析によると38.6%(95%CI:37.4-39.8)で,術後の合併症,化学療法の副作用,さらには生命予後に関しても悪影響を及ぼしている.
・カヘキシアはがんのみならず進行した臓器不全などの消耗性疾患にも関与している.膨大な患者がカヘキシアならびにそれに伴うサルコペニア状態にあることが想定され,この分野の研究,治療法の開発が重要になる.
医学のあゆみ274巻13号
冠動脈疾患とステント治療
冠動脈疾患とステント治療
企画:中村 淳(医療法人社団誠馨会新東京病院院長)
・ステント治療により,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療のクレディビリティは格段に上がることになった.理由は,急性冠閉塞が完全にコントロールでき,慢性期再狭窄は半分の30%になったからである.
・2002年のヨーロッパ心臓病学会で,薬剤溶出ステント(DES)が劇的に再狭窄を抑えたというエビデンスが発表され,冠動脈治療の大きな潮目が変わるときがきた.
・本特集では,冠動脈ステントを留置するに困難でかつ,最も注意が必要な病変に対してどのようにアプローチするべきかということに関して,日本を代表する循環器内科医師に詳説していただく.
医学のあゆみ274巻12号
多様な疾患の原因となるDNA損傷応答不全
多様な疾患の原因となるDNA損傷応答不全
企画:中西 真(東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野)
・損傷を受けたDNAは損傷の種類に応じた多様な仕組みにより適切に修復されなければならない.これらの仕組みに異常が生じると,がんや発生異常などのさまざまな疾患の原因となる.
・DNA損傷応答機構の研究の歴史は非常に古く,1960年代の後半には大腸菌においてDNAの組換えに必要な遺伝子が同定されている.その後もさまざまな種類のDNA損傷に対応する修復機構が同定されている.
・今後,DNA損傷応答機構への理解がさらに深まることで,がんや老化をはじめとするDNA不安定症に対する新たな予防・治療薬の開発につながるものと期待できる.
医学のあゆみ274巻11号
形成外科の最前線
形成外科の最前線
企画:森本尚樹(京都大学大学院医学研究科形成外科学)
・形成外科分野では自家組織移植,自家細胞を用いた組織再生が実臨床として長年行われてきている.わが国ではじめて承認された細胞使用製品である自家培養表皮は600例以上の患者の皮膚再生に用いられている.
・また,脂肪細胞を併用した乳房再生,軟骨細胞を用いた耳介形成手術と,細胞を自家組織と組み合わせた組織再生も行われてきている.最近では,付属器まで含めた皮膚・皮下組織全体の再生も提唱されている.
・微小循環評価,ロボット手術など組織生着に必要な検査,手技も実臨床に基づいた評価が行われている.また,瘢痕・ケロイド治療,レーザー治療など,“きれいになおす”ためにはこれらすべての理解が必要である.
