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医学のあゆみ274巻10号

第1土曜特集

肥満――外科治療と基礎研究の最新情報

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/09

肥満――外科治療と基礎研究の最新情報
企画:戸邉一之(富山大学大学院医学薬学研究部(医学)内科学第一講座)
木村 穣(関西医科大学健康科学センター健康科学科)

・近年の肥満症分野での大きな発展は,肥満症の病態についての基礎研究と高度肥満症に対する外科的治療の進歩である.
・基礎研究の分野ではアディポネクチン受容体作動薬の開発,脂肪組織のリモデリングの分子的レベルでの解明,ベージュ脂肪細胞の研究の進歩,中枢を介したエネルギー代謝,肥満症に伴う諸臓器の障害のメカニズムについて次々と解明されてきた.
・肥満外科手術による減量はその急速かつ劇的な減量効果により,臨床的意義のみならず肥満症の病態生理にも新たな視点を与え,興味ある研究分野となっている.

医学のあゆみ275巻5号

第5土曜特集

がんゲノム医療――網羅的解析からの知見と臨床応用の展望

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/10

がんゲノム医療――網羅的解析からの知見と臨床応用の展望
企画:小川誠司(京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座)

・がんはゲノムの異常に起因する疾患である.がんゲノムの異常を理解することは,がんの病態と治療戦略を考えるうえで不可欠であることは論を俟たない.
・次世代シーケンスのスループットは年々加速しており,これに伴うシーケンスコストの低下を背景として,がんゲノム異常の知見に基づいた医療はますます加速することは明らかである.
・本特集では,がんゲノム医療の展開を踏まえて,がんゲノム研究・がんゲノム医療の第一線で活躍されておられる専門家の方々に,近年のがんゲノム研究の最新の成果と,がんゲノム医療の現状について解説をいただく.

医学のあゆみ275巻3号

クローン性造血とは?――高齢化社会における新たな研究テーマ

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/10

クローン性造血とは?――高齢化社会における新たな研究テーマ
企画:北村俊雄(東京大学医科学研究所先端医療研究センター細胞療法分野,同幹細胞治療研究センター幹細胞シグナル制御分野)

・1996年に,BusqueらがX染色体不活化の偏りから同定した高齢者における血液クローンの偏りをARCHと命名したときに,“クローン性造血(CH)”という言葉がはじめて使われた.
・CHを有する人は造血器腫瘍を発症しやすいが,生命予後を悪化させるのは心筋梗塞,脳梗塞,癌であり,近年注目されている.本特集では,CHに関する8つの総説を専門家にご執筆いただいた.
・CHはこの超高齢者社会において社会的に重要な研究テーマであるが,数多くの疑問をかき立てられる研究対象として,基礎研究においても重要である.CHの研究はいまだ端緒についたばかりである.

医学のあゆみ275巻4号

ポリファーマシー――解消に向けた取り組み

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/10

ポリファーマシー――解消に向けた取り組み
企画:秋下雅弘(東京大学大学院医学系研究科老年病学)

・ポリファーマシー(polypharmacy)の背景にあるのは多病(multimorbidity)と複数医療機関・診療科の利用,つまり疾患ごとの専門医受診である.
・したがって,単純な薬減らしの話ではなく,総合的な視点から病状と生活機能を評価し,関係職種が協働して取り組まなければならない.
・本特集では,厚生労働省による“高齢者の医薬品適正使用の指針”でも取り上げられた病期や療養環境別の考え方,連携のモデルやツールをテーマにしたポリファーマシー解消に向けた最新の取り組みを紹介する.

医学のあゆみ275巻9号

子どもと環境――胎児期・幼少期の環境が与える影響

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/11

子どもと環境――胎児期・幼少期の環境が与える影響
森崎菜穂(国立成育医療研究センター社会医学研究部ライフコース疫学研究室)

・胎児期・幼少期の環境がさまざまな成人期慢性疾患の発症基盤と関連することが数多くの研究から徐々に明らかになり,より効果的な介入を行うために行動変容を促しやすい若年層への介入に期待が集まるようになった.
・また,子どもの貧困や格差の拡大,先進国で類を見ない低出生体重児の増加など,幼少期の問題が国の健康課題としてもあがってくるようになってきた.
・本特集では,胎児期・幼少期の環境曝露の健康への影響を動物モデル,疫学研究,脳画像など,さまざまな分野での最近の知見について紹介する.

医学のあゆみ275巻8号

ナッジ理論の医療への応用

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/11

ナッジ理論の医療への応用
小室一成(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)

・ナッジ(nudge)とは,“ヒジで軽く突く”という意味であり,行動経済学や行動科学分野において,“選択構造”という“選択肢を提示する形”を利用して行動変容を促す戦力のことである.
・英国ではナッジ理論を応用した減塩への取り組みが功を奏した.減塩に限らず,肥満予防としての摂取する砂糖や総カロリーの減量,さらには禁煙,運動,検診,ドナー登録にも応用可能ではないであろうか.
・本特集がひとつの契機となり,ナッジ戦略でわが国の健康長寿が達成されることを期待したい.

医学のあゆみ275巻7号

5G(第5世代移動通信システム)と医療

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/11

5G(第5世代移動通信システム)と医療
加藤浩晃(デジタルハリウッド大学大学院客員教授/アイリス株式会社共同創業・取締役副社長)

・現在,社会は“第4次産業革命”といわれる時代の大きな転換点に差し掛かっている.また2020年(令和2年:R2)は“リモートワーク&リモートライフ(R2)”を経験する時代となった.
・遠隔医療や医療AIなどが浸透していくことが予想されるこのような状況下で,基盤技術として注目されるのが,第5世代移動体通信システム“5G”である.5Gは高速・大容量,低遅延,多数同時接続といった特徴を持つ.
・Society5.0時代の基盤となる5Gの医療現場での取り組みは着実に進んでいる.本特集では,5G×医療の政策動向や医療機器としての展開,そして診断から手術に至るまでの取り組みを紹介する.

医学のあゆみ275巻6号

第1土曜特集

心血管イメージングの新時代

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/11

心血管イメージングの新時代
企画:伊藤 浩(岡山大学大学院医歯薬総合研究科循環器内科学)

・心血管イメージングは心血管疾患の診断,病態評価,リスク層別化から治療中のモニター,そして治療効果の判定に必須のモダリティーである.
・心血管イメージングといっても実に幅広い.心エコー図法,MDCT,心筋シンチ,MRI,PETなどの非侵襲的イメージングから,IVUS,OCT,血管内視鏡など治療ガイドに用いられる侵襲的イメージングまである.
・本特集の目的は冠動脈疾患,心不全,不整脈,成人先天性心疾患などの多くの分野における心血管イメージングの最前線と近未来をエキスパートに解説していただくことである.

医学のあゆみ275巻2号

在宅医療2020

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/10

在宅医療2020
企画:石垣泰則(悠輝会コーラルクリニック院長)

・高齢者医療から派生した在宅医療は,今やその対象は全世代であり,癌性疾患をはじめ認知症,障害者,病状が進行した慢性疾患患者,医療的ケア児まで広がる.
・2020年代は高齢化が進展するわが国にとってきわめて重要な10年であり,そのカギを握るのが在宅医療の充実である.
・これからは医療供給側が協力し,“治し支える医療”を提供するため有機的に機能分担することが重要で,地域差を踏まえたうえで標準的在宅医療をめざす必要がある.

医学のあゆみ275巻11号

心アミロイドーシスをどう診るか――最新の診断と治療

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/12

心アミロイドーシスをどう診るか――最新の診断と治療
企画:辻田賢一(熊本大学医学部循環器内科学)

・超高齢社会を突き進むわが国において,心アミロイドーシスが注目を集めている.加齢との関連が強く示唆され,健康長寿を考えるうえで避けては通れない21世紀の疾患である
・とくに野生型トランスサイレチンアミロイドーシスは想定されていたより頻度が高く,日常臨床において比較的遭遇することの多い疾患であることが明らかになってきた.
・本特集では,各エキスパートの先生方にわが国の最先端の心アミロイドーシス診断治療の現状を具体的に,そしてコンパクトにご解説いただく.

医学のあゆみ275巻10号

第1土曜特集

臓器線維症を科学する――病態解明と治療法開発への展望

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/12

臓器線維症を科学する――病態解明と治療法開発への展望
企画:稲垣 豊(東海大学医学部先端医療科学,同マトリックス医学生物学センター)

・現在,わが国において最も対応が急がれている生活習慣病は,医療費の3割,全死亡者数の6割を占め,急速に進む超高齢化を背景に,その対策は医学的また社会的にも一層重要となっている.
・これらの罹患臓器には線維化病変が共通して認められ,肺や肝臓ではがんの発生母地ともなるため,線維化の制御は生活習慣病の進展予防に直結する重要戦略と位置づけられる.
・本特集では多角的な視点と新たなツールを用いて臓器線維症の病態を掘り下げ,全身臓器の線維症にみられる共通性と臓器ごとの特異性を理解することで,新たな治療アプローチを模索することをめざす.

医学のあゆみ275巻1号

第1土曜特集

免疫リプログラミングと細胞デザイン

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/10

免疫リプログラミングと細胞デザイン
企画:吉村昭彦(慶應義塾大学医学部微生物学免疫学教室)

・免疫細胞は基本的に血液中を循環する細胞であり,標的に集積させたり,逐次補充することが可能である.免疫分野でもリプログラミングという言葉は最近よく使われるようになり,重要な研究要素となっている.
・免疫老化はさまざまな免疫細胞に現れるが,最もよく研究されているのはメモリーT細胞で,この存在比率や異常がヒトの寿命に大きく影響する.腫瘍免疫や感染免疫では“老化”に近い“疲弊”という現象が知られている.
・このような免疫老化やT細胞疲弊を解除する方法が見つかれば,がん治療のみならず健康寿命の延長におおいに貢献できるであろう.“免疫リプログラミング”や“細胞デザイン”はまさに今求められている研究テーマといえる.

医学のあゆみ274巻9号

第5土曜特集

AIが切り拓く未来の医療

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/08

AIが切り拓く未来の医療
企画:浜本隆二(国立研究開発法人国立がん研究センター研究所分野長,一般社団法人日本メディカルAI学会代表理事)

・近年,深層学習を中核とした機械学習技術の進歩,安価で高性能のGPUの登場を含む情報基盤技術の進歩,またパブリックデータベースの拡充などにより,大規模なデータを利活用することが容易になってきた.
・医療AIに対する期待および可能性は大きいものの,改正個人情報保護法の下で要配慮個人情報と定められた医療情報の取り扱い,また機械学習・深層学習技術に特有の問題点など,解決すべき課題も多いのが現状である.
・本特集は医学分野・情報科学分野のみならず,法律,生命倫理,プライバシー,医療機器の薬事規制など,さまざまな分野において国内第一線で活躍しておられる専門家に,医療AIの現状・期待・課題を論じていただく.

医学のあゆみ274巻8号

急速に変わる緩和ケア――薬物療法の進歩からアドバンスケアプランニングまで

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/08

急速に変わる緩和ケア――薬物療法の進歩からアドバンスケアプランニングまで
企画:森田達也(聖隷三方原病院副院長,同緩和支持治療科)

・症状緩和を越えて緩和ケアをとらえなおそうという試みとして意思決定過程,とくに,諸外国で制度化されたアドバンスディレクティブからの流れをくむアドバンスケアプランニングがある.
・がん患者での診断時早期から緩和ケアを提供しようという流れ,心不全患者に緩和ケアを提供しようという流れ,そして,安楽死や自殺幇助の枠組みのなかで緩和ケアの役割をどこに位置づけるかといった領域がある.
・本特集では,それぞれの領域のまさに先端を現場から紹介し,緩和ケアの多様な方向性を伝えることができれば幸いである.

医学のあゆみ274巻5号

第1土曜特集

細胞競合による生体制御とがん

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/08

細胞競合による生体制御とがん
企画:井垣達吏(京都大学大学院生命科学研究科)

・発生中の組織のなかで細胞同士が生存競争し,争いに勝った細胞が成体の一部を形成できるという“cell competition(細胞競合)”の概念は,1975年にMorataとRipollによってショウジョウバエではじめて示された.
・最近,異なる要因で起こる細胞競合で共通に機能するメカニズムが見えはじめ,細胞競合を特異的に制御する転写因子Xrp1が発見された.細胞競合研究は今,静かにフィナーレの第4楽章へと突入しつつある感がある.
・細胞競合は,遺伝的背景の異なるもの同士が限られた生息域(スペース)や資源(栄養)を奪い合う“適者生存”を想起させることから,地球上に存在するあらゆる生物を支配する根源的な生命原理に迫れるのではないか.

医学のあゆみ274巻4号

外国人診療

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/07

外国人診療
企画:鈴木敦詞(藤田医科大学医学部内分泌・代謝内科学)

・外国人診療を行ううえで最初の障壁になるのは外国語である.医療の専門教育について,どの程度英語を用いるべきかということは,一般教養としての英語教育とはまた異なった課題である.
・JCIのような国際的な病院機能評価システムや,JMIP,JIHのような外国人患者受け入れ体制に対する評価や推奨制度が広がりつつある.これは外国人患者が,より一層安心して医療を受けられるための仕組み作りである.
・本特集では現在,外国人患者受け入れのための体制づくりがどこまで進んでいるかと,医療スタッフの教育を含めた人的リソースの供給体制とを主眼におき,さらにスポーツ医学の観点からも執筆いただく.

医学のあゆみ274巻3号

HIFと疾患――ノーベル賞受賞と将来展望

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/07

HIFと疾患――ノーベル賞受賞と将来展望
企画:南学正臣(東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科)

・2019年のノーベル医学・生理学賞は,低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)の酸素感知および応答経路を解明したGregg Semenza,Peter Ratcliffe,William Kaelin Jr.が受賞した.
・酸素生物学は生命の最も基本的な原理に密接に関連するものであり,さらに虚血性心血管疾患,脳卒中,腎臓病から癌に至る,さまざまな疾患の病態生理にも重要であり,そのことが評価されノーベル賞の受賞対象となった.
・本特集では,酸素生物学およびHIFとその関連する問題について,各分野のトップランナーの先生方をお招きし,解説をしていただく.

医学のあゆみ274巻2号

熱中症に立ち向かう――予防と応急処置

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/07

熱中症に立ち向かう――予防と応急処置
企画:三宅康史(帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター,同救急医学講座)

・かつてはそれほど注目されていなかった“熱中症”だが,そういえば,いつから熱中症とよばれるようになったのか.筆者が学生のころには,熱射病や日射病という診断名で習った記憶もおぼろげながらある.
・今後,さらなる温暖化,高齢化,貧困化,孤立化による熱中症リスクが高まるなかで,夏期の気象の変化や熱中症の現状分析,的確な診断と有効な治療法について,最新の知見と見解をまとめていただく.
・今回の企画により,熱中症への理解が深まり,それぞれの立場で熱中症の予防・早期発見と発症時の適切な対策が進むことを切望する.

医学のあゆみ274巻1号

第1土曜特集

アルコール医学・医療の最前線2020 UPDATE

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/07

アルコール医学・医療の最前線2020 UPDATE
企画:竹井謙之(三重大学大学院医学系研究科消化器内科学)

・アルコール医科学・医療の諸分野の最近の進歩は瞠目するものがあり,また学際領域からも新たな知見が生まれ,他にも広く波及する新しい概念とアイデアを涵養している.
・一方,アルコール関連問題はますます社会的問題としての意義を増しており,飲酒運転や女性・若年者・高齢者の飲酒問題など,医療と社会・経済的問題とが不可分の関係にある.
・テーマの多様性を反映し,多彩な分野のエキスパートに“最新のエビデンスを最新の視点のもとに”執筆をお願いする.本特集がアルコール医学・医療の最先端を知るための導きになれば幸いである.

医学のあゆみ273巻9号

第5土曜特集

ゲノム編集の未来

出版社:医歯薬出版

印刷版発行年月:2020/05

ゲノム編集の未来
企画:山本 卓(広島大学大学院統合生命科学研究科,同ゲノム編集イノベーションセンター)

・ゲノム編集は,細胞内で標的の遺伝子を狙って改変する技術である.CRISPR-Cas9を使った方法が報告されて以来,その簡便性と効率性によって基礎研究から応用分野までさまざまな分野での利用が広がった.
・医学分野でのCRISPR-Cas9のインパクトはさらに大きく,遺伝性疾患の発症機構の研究や治療法の研究のため,モデル細胞・動物をゲノム編集によって作製することが可能となっている.
・本特集では,国内トップランナーのゲノム編集研究者に,ゲノム編集の基礎と医学分野の最新のゲノム編集技術について執筆いただく.

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