医学のあゆみ270巻9号
第5土曜特集
脳機能イメージングの最前線
脳機能イメージングの最前線
企画:大久保 善朗(日本医科大学大学院医学研究科精神・行動医学)
・脳機能イメージングは,脳血流や脳代謝のような特定の生体機能情報を画像化する検査法で,MRI装置を用いた機能的MRI(fMRI)や,PETやSPECTなどの核医学検査法が含まれる.
・脳機能イメージングによって,脳の形態異常を伴わないために,これまでは評価することができなかった精神疾患でも,さまざまな脳機能の異常を評価することが可能になっている.
・総論では主にMRIとPETについて最近の技術進歩を紹介し,各論では脳血管障害,認知症などの器質性疾患や,統合失調症,発達障害など精神障害について,脳機能イメージングを用いた最新の研究成果を紹介する.
医学のあゆみ270巻10号
第1土曜特集
TRPチャネルのすべて
TRPチャネルのすべて
企画:富永真琴(自然科学研究機構生理学研究所細胞生理研究部門,同生命創成探究センター温度生物学研究グループ)
西田基宏(自然科学研究機構生理学研究所心循環シグナル研究部門,同生命創成探究センター心循環ダイナミズム創発研究グループ)
・transient receptor potential (TRP)チャネルは、1989年にショウジョウバエのtrp遺伝子が同定されて以来,世界で精力的に研究され,大きな機能的多様性を有するイオンチャネルファミリーを形成することが示されてきた.
・TRPチャネル機能異常は多くのチャネル病を引き起こし,多くの後天的疾患や癌の発生においてTRPチャネルが重要な役割を果たしていることが明らかにされ,阻害薬あるいは刺激薬の有用性が大いに期待されている.
・今後,原子レベルでの構造解明の上にTRPチャネルを標的とした薬剤が開発されることが期待される.TRPチャネルと疾患との関連ももっと研究されて行くであろう.現在までのTRPチャネル研究を本特集でまとめた.
医学のあゆみ270巻12号
がんの多様性を司るがん間質のバイオロジー──新たな診断・治療法の創生につなぐ
がんの多様性を司るがん間質のバイオロジー──新たな診断・治療法の創生につなぐ
企画:渡邉昌俊(三重大学大学院医学系研究科基礎医学系講座腫瘍病理学)
・日本では2019年6月から“がん遺伝子パネル検査”が公的医療保険の適用となり,いよいよがんゲノム医療の本格的開始となった.
がんは遺伝子病であり,その浸潤・転移能などの特性が知られている.
・がん組織では正常組織固有の“構造”が喪失し,その喪失具合と“がん”の悪性・進展具合は密接に関連している.がん細胞は種々の細胞や基質と相互作用し,自分に有利な環境を作り出していくと思われる.
・本特集では,がんの多様性をがん間質の視点から研究されている先生方に最新の研究データと考えをまとめていただく.がん間質の役割に興味を持つ機会になれば幸いである.
医学のあゆみ270巻13号
Glymphatic system
Glymphatic system
企画:安井正人(慶應義塾大学医学部薬理学教室)
・近年,脳のリンパの仕組みの解明に向けてglymphatic systemという新しい概念が提唱された.睡眠との関係やアクアポリンの関与,さらにはAlzheimer病の病態生理との関連も指摘されており,非常に注目されている.
・本特集では,脳のリンパに関する研究に従事する第一人者により,解剖学的アプローチから分子生物学,ライブイメージング,ヒトの画像解析に至るまで,それぞれの立場からの最新の知見と見解をまとめる.
・脳のリンパの仕組みがより詳細に解明されることで,神経変性疾患,神経免疫疾患や認知症の病態に対する理解が深まり,それらの疾患に対する新しい予防,診断,治療法の開発へとつながることが切望される.
医学のあゆみ270巻6・7号
てんかん:診断と治療の現在
てんかん:診断と治療の現在
企画:松本理器(神戸大学大学院医学研究科内科学講座脳神経内科学分野)
・てんかんは,脳神経系の代表的なcommon diseaseであり,わが国には約100万人の患者がいる.その原因は,周産期脳障害,皮質形成異常,腫瘍,感染,頭部外傷,遺伝性チャネル病など多岐にわたる.
・従来は小児に多い疾患と捉えられていたが,超高齢社会となり高齢発症のてんかんが急増した.また近年,自己免疫介在性の部分(焦点)てんかんの存在が明らかとなり,免疫療法で治療できる病態として注目される.
・本特集では,最新の生理・画像検査を取り入れた術前評価から,焦点摘出術やデバイスを用いた緩和療法といった外科治療まで,てんかんの診断と治療の最新情報を解説する.
医学のあゆみ276巻3号
法医学の新たな展開
法医学の新たな展開
企画:岩瀬博太郎(千葉大学大学院医学研究院法医学教室)
・日本における死因究明制度の不備が指摘されるようになり,政府として死因究明制度について議論されるようになった.
・千葉大学は法医学教育研究センターを設置するに至り,法病理学,法中毒学,法医画像診断学,臨床法医学,法歯科学,法遺伝学などのさまざまな分野を担う若手研究者が多く所属するようになっている.
・本特集は,主にそうした千葉大学に所属する30~40代の比較的若手といえる研究者を中心に,日本の法医学の現状や課題を執筆してもらい,次世代における議論を喚起できればと考え編纂したものである.
医学のあゆみ271巻8号
日本の医療経済分析の現状
日本の医療経済分析の現状
企画:田倉智之(東京大学大学院医学系研究科医療経済政策学)
・医療経済学は,医療分野におけるさまざまな問題を扱う医学と経済学の融合領域であり,両者の理論的な発展や方法論の開発を取り込みながら,時代や社会の要請に沿って進歩を続けてきている.
・日進月歩のイノベーションの動向や社会保険料収入と社会保障給付費の乖離,さらには地域コミュニティの変遷や介護福祉分野との連携などを背景に,今後,医療経済学に対するニーズはさらに高まると考えられる.
・本特集では,本領域の専門家諸氏に,わが国の医療経済分析の現状として,最新の理論や手法および成果の動向を取りまとめていただく.医療分野のおもな課題に対して,各種アプローチの道しるべになると推察される.
医学のあゆみ271巻9号
第5土曜特集
がん研究10か年戦略の成果と課題──基礎から実用化までをつなぐ研究開発
がん研究10か年戦略の成果と課題──基礎から実用化までをつなぐ研究開発
企画:堀田知光(国立がん研究センター名誉総長,公益財団法人がん研究振興財団理事長)
宮園浩平(東京大学大学院医学系研究科分子病理学分野)
・“がん研究10か年戦略”は,がんの本態解明,新規薬剤・医療技術の開発,新たな標準治療の確立などの8つの具体的研究事項を設定し,患者・社会と協働した研究を総合的かつ計画的に推進することとしている.
・AMEDは省庁連携プロジェクトとして,がん領域においてジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト(JCRP)を立ち上げ,基礎研究から実用化をめざした研究までを一貫したマネジメントの下に推進してきた.
・本特集では,JCRPの研究開発で得られた成果のなかから特筆すべき研究を取り上げ,当該研究者に具体的な成果と実用化に向けた現在の状況および今後の課題・展望について紹介いただく.
医学のあゆみ271巻10号
第1土曜特集
健康日本21(第二次)の中間評価とこれからの課題
健康日本21(第二次)の中間評価とこれからの課題
企画:下光輝一(公益財団法人健康・体力づくり事業財団理事長,健康日本21推進全国連絡協議会会長,東京医科大学名誉教授)
・国の健康づくり施策,21世紀における第二次国民健康づくり運動〔以下,健康日本21(第二次)〕は,2012年7月10日に厚生労働大臣告示として公表された.
・健康日本21(第二次)では,“健康寿命の延伸と健康格差の縮小”という大目標が掲げられ,それを達成するための9分野80項目の目標値が疫学研究の成果など科学的な根拠に基づいて設定された.
・本特集では,おもにこれらの項目の目標値の評価に関わられた専門委員会委員の方々を中心として,目標値の推移についての分析のみならず目標達成のための課題について論じていただく.
医学のあゆみ271巻3号
慢性疾患とサルコペニア
慢性疾患とサルコペニア
企画:小川純人(東京大学大学院医学系研究科加齢医学)
・高齢者において,フレイル(虚弱)の中核的な病態かつ重要な要素としてサルコペニア(加齢性筋肉減少症)が知られており,身体機能,臓器予備能,ADLの低下を伴いやすくなり要介護状態に陥る場合も少なくない.
・サルコペニアの病因や病態はいまだ確立に至っていない一方で,生活習慣病・慢性疾患がサルコペニアの発症・進展に関与している可能性について,最近の知見などから次第に明らかになってきている.
・本特集では,医療,介護,研究に従事する幅広いスタッフや研究者の方々を対象とし,慢性疾患とサルコペニアとの関連性について,各分野をリードする先生方から最新の知見をわかりやすく紹介いただく.
医学のあゆみ271巻6号
ゲーム依存
ゲーム依存
企画:樋口 進(国立病院機構久里浜医療センター院長)
・国際疾病分類の最新版であるICD-11にゲーム障害(gaming disorder)が新たに加わった.既存の医学的エビデンスから,ギャンブルとともにゲームがはじめて依存の一疾患として認められたわけである.
・ゲーム障害に関しては包括的対策が必要である.そのためには,まずゲーム障害の理解が進む必要がある.まだ歴史の短い疾病のため,医学的エビデンスの蓄積は十分とはいえない.
・本特集では,現時点で把握されているエビデンス等をそれぞれの専門家に執筆いただく.今後,実態解明,予防教育の広範な施行,相談システムの充実,医療体制の整備などが期待される.
医学のあゆみ271巻2号
腫瘍免疫研究の最近の進歩
腫瘍免疫研究の最近の進歩
企画:河上 裕(国際医療福祉大学医学部,慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所細胞情報研究部門)
・近年,CD8+T細胞を主要エフェクター細胞とする免疫療法は,複数のがん種で標準治療抵抗性の進行がんに対しても持続的な腫瘍縮小効果を示す症例があることが明らかになった.
・腫瘍免疫学の進歩は,臨床的には,治療効果予測や治療法選択のためのバイオマーカーの同定や複合がん免疫療法における治療標的の同定など,新しい個別化・複合がん免疫療法の開発につながる.
・本特集では,それぞれの分野の第一線の研究者により,腫瘍免疫学の最新知見と今後の展望について議論していただく.さらなる腫瘍免疫学とがん免疫療法の発展に向けて,読者の今後の活躍に期待したい.
医学のあゆみ271巻4号
肉腫治療の最前線
肉腫治療の最前線
企画:中 紀文(大阪国際がんセンター整形外科)
・肉腫は,ほかのがん腫に比べて発症頻度は低く“希少がん”に分類されるが,発生部位はさまざまで罹患患者の約1/3は遠隔(肺)転移を生じ,不幸な転帰に至る難治性疾患のひとつとされる.
・2019年5月29日 にはがん遺伝子パネル検査が承認を受け,診療現場で個別化医療の実現に向け“がんゲノム医療”の導入が本格化している.
・本特集では,このような動向を鑑み,基礎・診療の最前線でご活躍の先生方に,肉腫の発生や病態の解明,さらに診断や治療に対する新たな取り組みを多方面から解説していただく.
医学のあゆみ271巻7号
脊髄損傷治療はどこまで可能か
脊髄損傷治療はどこまで可能か
企画:松山幸弘(浜松医科大学医学部附属病院病院長,同整形外科学講座)
・脊髄損傷は年間100万人当たり40.2人発症し,国内で年間約5,000人の新規脊損患者が発症している.また,現患者数は約8万人(18歳以上)で,そのうち労災患者は約1.5~2万人と報告されている.
・脊髄再生治療の可能性については基礎研究,臨床研究を含め世界各国で進められているが,そのなかでも2018年,日本ではじめて保険認可された骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)移植が認められた.
・本特集では,現在どこまで脊髄損傷後の再生治療が進んでいるのか,また実際はどこまで可能なのかを脊髄再生治療のトップリーダーの先生方にご執筆いただく.
医学のあゆみ271巻5号
第1土曜特集
サイトカインのすべて
サイトカインのすべて
企画:村上正晃(北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野)
・1980年代のサイトカインクローニングの隆盛期から40年近い年月が経過し,基礎研究から見出されてきたサイトカインシグナルを標的とする治療法が臨床的に効果を示すことが証明されている.
・ここ10年ほどで,慢性炎症が自己免疫疾患ばかりではなく,多くの病気の根底の病態誘導機構として存在することが明らかとなった.さらに,免疫系以外のさまざまな生体応答にもサイトカインが関わることが示された.
・本特集では,サイトカインの発現調節機構や病態に対する最新の知見,さらに神経系や循環器系を含むさまざまな生命現象に対するサイトカインの役割について,それぞれの研究分野の第一人者の先生方に解説いただく.
医学のあゆみ271巻1号
第1土曜特集
トランスポーターのすべて
トランスポーターのすべて
企画:楠原洋之(東京大学大学院薬学系研究科分子薬物動態学)
・トランスポーターは脂質膜内外のイオン・低分子化合物を輸送する膜蛋白質である.分子内に基質結合部位を持ち,基質濃度の増加に伴う輸送速度の飽和,他物質による基質結合部位の競合から輸送速度の低下を生じうる.
・機能未同定のものを含めて400種以上が知られており,その生理機能は多岐にわたる.トランスポーター機能の欠損により基質となる物質の蓄積や欠乏を生じることで,疾患の要因または疾患修飾因子となりうる.
・本特集では,疾患・薬物療法におけるトランスポーターの重要性およびその解析法について,さまざまな角度から最新の知見を紹介する.薬物トランスポーター研究の現状を把握するうえでの一助になれば幸いである.
医学のあゆみ271巻12号・13号
肺高血圧症診療最前線──これからの肺高血圧症診療に向けて
肺高血圧症診療最前線──これからの肺高血圧症診療に向けて
企画:瀧原圭子(大阪大学キャンパスライフ健康支援センター)
・かつて肺高血圧症(pulmonary hyperten-sion:PH)は原因不明で予後不良の難治性疾患であったが,この20年間で診断および治療法は劇的に進化している.
・当初,家族性PH症例から原因遺伝子が解明されたが,遺伝子異常だけでなくPHの病因はきわめて多彩であるとともに複雑でもあり,その発症には “multiple-hits”が関与していることが知られている.
・本特集を通じて,PH病態の理解や治療法の画期的な進歩につながる研究が,近年超速の進歩を遂げていることを感じ取っていただくとともに,PHの臨床および基礎研究の魅力を知っていただきたい.
医学のあゆみ271巻11号
薬物乱用のトレンド:大麻をめぐる諸問題
薬物乱用のトレンド:大麻をめぐる諸問題
企画:舩田正彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部依存性薬物研究室室長)
・わが国における大麻事犯の検挙者は,ここ数年で一気に増加している.とくに,20歳未満の大麻事犯検挙者が増加していることが明らかになっており,若年層への大麻乱用拡大が危惧されている.
・大麻に関する規制状況については,わが国では大麻は厳しい規制が施されているが,海外ではここ数年で規制が緩和される傾向にある.
・本特集では,わが国の最近の薬物問題として“大麻”に焦点を当て,大麻の特性と海外の規制システム,乱用実態,薬物依存症の治療および回復支援について総合的に整理し,大麻乱用拡大に対する対応策を考察する.
リシェの美術解剖学
本書は、医師、解剖学者で彫刻家、製図家でもあるポール・リシェの著書『美術解剖学 ANATOMIE ARTISTIQUE: DESCRIPTION DES FORMES EXTETRIEURES DU CORPS HUMAIN』(フランス語)の日本語版である。130年前に出版され、以来、美術解剖学の教科書としてずっと読み継がれている。110以上の図が並べられ、文章は付属物としての位置づけである。
今回、美術解剖学の専門家が日本語に翻訳し、それを解剖学で多くの翻訳本を手がけている坂井建雄氏が監修している内容充実の本。
美術解剖学や解剖学に関する書籍が多く出版されているが、本書は最もスタンダードな教科書であり、美術解剖学の金字塔とも言える本である。
人体を描いたり触れることを生業にしている画家、彫刻家、漫画家、イラストレーター、アニメーター、CGアーティスト、ゲームクリエーター、デザイナーはもちろん、医師、理学療法士などにもぜひ読んでほしい。
レジデントノート Vol.22 No.16
2021年2月号
【特集】救急外来・ICUでの採血検査
【特集】救急外来・ICUでの採血検査 血算・生化学・炎症マーカー・血液ガスなど,救急外来・ICUで頻繁に行う採血検査の意義と使い所,結果の解釈を解説.そこから導かれる適切な治療や検査の精度・限界も押さえ,意味ある検査ができるようになる!
