精神看護 Vol.22 No.5【電子版】
- 出版社
- 医学書院
- 電子版ISSN
- 1347-8370
- 電子版発売日
- 2019/09/16
- ページ数
- 96ページ
- 判型
- B5
- フォーマット
- PDF(パソコンへのダウンロード不可)
電子版販売価格:¥1,540 (本体¥1,400+税10%)
- 印刷版ISSN
- 1343-2761
- 印刷版発行年月
- 2019/09
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概要
目次
ホワイトボードに描くという光景は、べてるの家が始めた「当事者研究」と切り離せないものです。
私と共同研究者の綾屋さつきさんは、なぜ当事者研究には、こんなにも当事者が行き詰った状況をドラスティックに変える効果があるのだろうということを研究しているのですが、そのなかでわかってきたのは、どうやら「ホワイトボードに描く」という点にも、何か秘密がありそうだ、ということでした。
当事者研究にとって、そもそもホワイトボードを使うというのはどんな意義があるのか。考察してみると、1つは「情報保障」だろうと。情報を共有する時に、ホワイトボードがあることで、ついていけない人を少なくするという効果があると言えます。
もう1つの意義は、ホワイトボードがあることで、当事者研究の極めて重要なエッセンスである「外在化」という現象を引き起こしているのではないか、という点です。
当事者研究では、「ホワイトボード」「ファシリテートする人」「当事者」の三者が三角形を作る状態が、外在化の準備状態なんだということを言います。
ホワイトボード上に本人の苦労を描き、本人自身はそれを“研究者の視線”で眺める。そして傍らにファシリテーターがいるというのもミソなんですが、ファシリテーターも、視線を本人に注ぐのではなくて、ホワイトボードに注ぐ。
つまり両者ともにホワイトボードに視線を注ぐ、その時に、本人と、本人の苦労を切り離す外在化が発生するということです。ですからホワイトボードはそれを生じさせる重要な仕組みになっていると私たちは考えています。
最近「メタ認知」という言葉をよく聞きますが、メタ認知は、本人にとっての現実を一緒にながめてくれる、もう1人の仲間がいて、初めて発生するのかもしれないということです。1人でトレーニングできるようなものではなくて、外在化は2人から起きる、というのが、べてるの家のホワイトボードの実践が教えてくれたことかなと思っています。
本日は、そんな大事なホワイトボードの役割が、グラフィックレコーディングを学ぶことによって補完・強化されるのではないかという期待をもって、このカンファレンスを開きました。このスキルをみんなで学び、高めるための会にできればと思います。よろしくお願いいたします。
■グラフィックレコーディングへの期待
向谷地 生良、池松 麻穂
■即興 当事者研究をグラレコする
会場参加者×向谷地 生良×清水 淳子
■基礎講座「グラレコって何だ!?」
清水 淳子
■[グラレコ体験談]線は光-ぼくの輪郭を取り戻すために
武田 俊
■対談
地域に出るなら、勇気と覚悟と本2冊!
春日 武彦×小瀬古 伸幸
■特別記事
介護職とにおい-語られずにきたものを語る
金井 聡
[新連載]
●患者さんが「怒った」事例をアセスメントして今日からの精神科看護に活かしたい…1
手加減なしにグーで殴ってくるAさん
田辺 有理子
[連載]
●間の間…8
帯電生活
伊藤 亜紗
●[発達障害当事者マンガ]私が経験している世界…2
感動しすぎる話
白井 風子
●うんこあるある…4
精神科の現場で遭遇したアンビリーバボーな話。
塩月 玲奈
●家庭で生活できない高年齢児のための「自立援助ホーム」を運営しています…2
障害を持つ児童への支援と課題
関 茂樹
●精神科に入職して初めて働く時に、やったほうがいいこと、やらないほうがいいこと…3
少し周りの状況が見えてきたあなたへ
山下 隆之
●MSEを穴埋め式問題で練習してみよう…7
慢性期統合失調症のケース
小野 悟、武藤 教志
●栄養精神医学…10
精神科におけるビタミンD欠乏の潜在的問題
奥平 智之
●当事者研究のスキルバンク…13
本日の研究者:坂 雅則さん
本日のスキル:自分を助けるオリジナルグッズの開発と活用
べてるの家