J. of Clinical Rehabilitation 32巻2号【電子版】
- 出版社
- 医歯薬出版
- 電子版ISBN
- 電子版発売日
- 2023/02/20
- ページ数
- 100ページ
- 判型
- B5
- フォーマット
- PDF(パソコンへのダウンロード不可)
電子版販売価格:¥2,640 (本体¥2,400+税10%)
- 印刷版ISSN
- 0918-5259
- 印刷版発行年月
- 2023/02
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概要
リンパ浮腫とはリンパ管やリンパ節の先天性の発育不全,または二次性の圧迫,狭窄,閉塞等によって,リンパ流の阻害と減少のために生じた浮腫である.本疾患は医療者側の認識不足のために,適切な治療がなされず放置されることで徐々に進行することが多い.リンパ浮腫が重度になると,手指や肘・肩の拘縮も生じ廃用手に陥ったり,浮腫の重みで歩行が困難になったりして,機能障害やADLの低下を引き起こす.しかし,リンパ浮腫の病態を十分に理解し,発症早期から適切な生活指導・治療を行えば,たとえ進行例であっても浮腫をある程度改善させて,患者自身がセルフケアを行うことで自己管理可能となる.
国際リンパ学会のコンセンサス文書では,リンパ浮腫の保存的治療の中心は複合的理学療法(complex physical therapy;CPT)であると提言されている.CPTはスキンケア,圧迫療法,圧迫下での運動,用手的リンパドレナージを包括的に行うことにより,患肢にうっ滞した過剰なリンパ液の排液を行う治療法である.現在,わが国でリンパ浮腫の入院治療を行える施設は数少ないため外来通院で実施していることが多い.外来での治療においては,CPTのみでは不十分であり,日常生活に対する指導を加えることが重要である.したがって,わが国においては,CPTに日常生活指導を加えた「複合的治療(CPTを中心とする保存的治療)」がリンパ浮腫に対する標準的治療として,「リンパ浮腫診療ガイドライン2018」において推奨されている.
リンパ浮腫は,がんサバイバーシップにおいて重要な問題であるが,リンパ浮腫診療を行っている医療機関はいまだ少ない.そこで,厚生労働省委託事業(2014年度から後援事業)がんのリハビリテーション研修の一環として,2009年度にリンパ浮腫研修運営委員会が発足した.運営委員会委員は関連する12学協会により構成され,1)人材育成,2)治療の質の向上,3)普及啓発活動をミッションとして活動を行っている.委員会では専門的なリンパ浮腫研修に関する教育要綱を作成し,研修プログラムの標準化に取り組んでいる.また,座学のリンパ浮腫研修(LEARN)を開催し,現在までに約3,000名が受講した.その後は,全国の養成校へ進み実習部分の研修が行われる.診療報酬に関しては,2008年に弾性着衣等に係る療養費支給およびリンパ浮腫指導管理料,2016年度には念願であった「リンパ浮腫複合的治療料」が新設された.リンパ浮腫治療が医療として認められたという意義は大きい.
リンパ浮腫の主な治療内容は,多層包帯法と弾性着衣による圧迫と圧迫下での運動であるにもかかわらず,今まで,リハビリテーション科医およびリハビリテーション専門職のかかわりが十分でなかったことは否めない.今後,関係諸団体の活動により,リハビリテーション分野においても,リンパ浮腫診療の卒前・卒後教育体制が整備され,全国の医療機関で地域格差がなく,リンパ浮腫診療が実践されることを望んでいる.
そこで今回,リンパ浮腫に関して豊富な経験をもつ先生方に,総論,生理・解剖,診断から保存的・手術治療まで解説して頂き,リハビリテーション専門職種にリンパ浮腫診療へ関心をもってもらうことを目的として,この特集を企画した.
本特集が,リンパ浮腫診療の質の向上に貢献し,がんサバイバーのQOL向上の一助となることを期待している.(編集委員会)
目次
リンパ浮腫の基礎知識―解剖と生理 保田知生
リンパ浮腫の診断 原尚子
リンパ浮腫診療の流れ 小川佳宏
リンパ浮腫複合的治療の実際 山本優一
リンパ浮腫の外科治療 前川二郎
■新連載
リハビリテーション治療中のリスクに備える医療機器管理
1. 酸素療法中の機器管理(鼻カニュラ,マスク,HFNC) 幸田剣,寺村健三
■連載
パラアスリートに聞く パラスポーツとの出会い
第6回 太田渉子選手(テコンドー) 藤原清香
ニューカマー リハ科専門医
石亀綾奈
回復期・生活期リハビリテーション医療に必要な内科的管理
11. 認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症を中心に) 川北慎一郎
オンライン診療とリハ
2.遠隔リハビリテーションの新展開 上月正博
知っておきたい神経科学のキィワード
12. ミラーニューロンシステム 竹内直行,出江紳一
リハビリテーション医療におけるACP―治らないかもしれない障害をもつ患者に対応する―
9.神経難病(ALS) 荻野美恵子
リハビリテーションスタッフがかかわるチーム医療最前線
22. 愛媛大学医学部附属病院の取り組み―多職種でかかわる廃用症候群の防止― 鴻上繁
リハビリテーションと薬剤
20.リハビリテーションにおける疾患・病態に応じた薬剤管理:④代謝性疾患 杉本研
リハビリテーション医学・医療の歴史秘話“あの時なにが?”
2.一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構の設立 久保俊一
臨床研究
SBMA患者におけるHAL®歩行訓練の最適間隔 犬飼晃,佐藤実咲・他