J. of Clinical Rehabilitation 30巻14号【電子版】
- 出版社
- 医歯薬出版
- 電子版ISBN
- 電子版発売日
- 2021/12/20
- ページ数
- 100ページ
- 判型
- B5
- フォーマット
- PDF(パソコンへのダウンロード不可)
電子版販売価格:¥2,640 (本体¥2,400+税10%)
- 印刷版ISSN
- 0918-5259
- 印刷版発行年月
- 2021/12
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概要
身体を動かすために重要な機能の一つである関節機能は,その機能障害を生じることによって下肢関節であれば立位や歩行はもちろん,上肢においては物を持つことや着替え,食事等のさまざまな日常生活動作を阻害する.関節は骨と骨をつなぎ,その形態や構造の他,筋肉,関節軟骨,関節包,靭帯といった多様な構造物から構成されている.実際にリハビリテーション治療では,疾患や障害により失われた関節機能の回復を目指す他,機能障害を補うため,他の機能が保たれている関節や代替手段による代償が行われる.こうした代償方法を獲得するために,さまざまな訓練治療や補装具等によって日常生活が維持できるようリハビリテーション治療が行われている.
関節疾患の急性期は,その関節機能を保護するためにまずは安静が指示され,疼痛や関節破壊の原因となっている病態を取り除くことが一般的に行われる.しかし急性期を過ぎて永続する障害や疾患を抱え,こうした治療が長期化してしまうと,安静による活動制限が二次的に廃用や拘縮等を招く.さらに,障害や疾患を抱えた患者にとって,さらなる侵襲的な治療はリスクが高くまた手術も難しくなり課題が多い.さらに機能障害を補うために習得した代償方法によって,長期経過の中で機能が保たれている他の関節の障害等の二次的な機能障害を招くこともある.
本特集では,急性期治療の後に疾患や障害を抱えた状態で社会復帰した患者に長期的にどのような問題が生じるのか,活動性を維持するためには何に気を付けなければならないのかといった点にフォーカスを置いて経験豊富な先生方に解説をしていただいた.さらに,疾患や障害固定後の慢性期の長期経過の中で,疾患や障害によって引き起こされる二次的な障害が課題になることがあり,これを回避するためにはどのような治療や支援が必要なのかについても取り上げていただいた.
脳梗塞後遺症では膝関節や足部変形を中心に泉知子先生らに,脳性麻痺者の移動機能を中心とした下肢関節について朝貝芳美先生に,上肢関節機能を中心として車椅子利用者や脊髄損傷者については梅本安則先生らに,四肢外傷と関節拘縮について吉田直記先生らに,関節リウマチについては菊地尚久先生に,血友病に伴う関節機能障害については後藤美和先生らにご執筆いただいた.今回特集で取り上げた疾患は,一部で限られてはいるものの,長期経過の中で臨床診療の場面で対応することも多いと思われる障害や疾患を採用した.年齢を重ねることに加えて,疾患や障害の長期的な経過の中で特有の課題に焦点を当て,その治療や知見についてご説明いただいた.本特集が読者の皆様にとって,実際の臨床現場において役に立つ内容であれば幸いである.(編集委員会)
目次
脳性麻痺(下肢関節から骨盤-移動機能を中心に-) 朝貝芳美
車椅子利用者・脊髄損傷者-上肢関節機能を中心に 梅本安則,垣田真理・他
四肢外傷と関節拘縮 吉田直記,上月正博
関節リウマチ 菊地尚久
血友病患者の関節機能を守る 後藤美和,藤原清香
■連載
巻頭カラー 症例でつかむ!摂食嚥下リハビリテーション訓練のコツ
3.脳血管疾患に対する顎引き嚥下のコツ 保田祥代,小口和代・他
ニューカマー リハ科専門医
渡慶次香代
新型コロナウイルス感染症とリハビリテーション医療
6.COVID-19受け入れ拠点病院(重点医療機関)におけるリハビリテーション医療 尾花正義
リハビリテーション職種が知っておくべき臨床統計:基礎から最新の話題まで
15. 一般化線形モデル,一般化線形混合モデル 京極真
リハビリテーションと薬剤
6.リハビリテーションでよく遭遇する症状・症候と薬剤:③せん妄 諸冨伸夫
リハビリテーションスタッフがかかわるチーム医療最前線
10.新型コロナウイルス肺炎患者に対するチームでのリハビリテーション診療について- 福島県立医科大学附属病院- 大井直往
ヘルステックとリハビリテーション医療
7.リハビリテーション医学領域におけるビッグデータ利活用 百崎良,山本吉則・他
リハスタッフが知っておくべきプレゼン(学会発表・講演)のコツ
7.学会発表・講演:1. フレームワークと形式 水野篤
心に残ったできごと―リハビリテーション科の現場から
神経難病の患者さんに寄り添うー石垣先生と在宅診療 森真由子
臨床研究
入院時運動FIMのみから予測される標準的な運動FIM利得に対して要因が及ぼす影響を掛け合わせて運動FIM利得を予測する 徳永誠